カイ おで産卵
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コイツにここまで痴態を許した最初の日はいつだったろうか。カイドウは下半身から背中に走る快感に脳を揺らされながら考えた。
おでんに出会い数度の付き合いの後の見受け。だというのに当座の資金と自由を渡され、それでも傍を離れる気にならなかった後だったのをカイドウは覚えていた。
視線の先には半分程度しかない背丈の男。彼は何も身に着けておらず持っているものは半分まで減った酒瓶と、カイドウの秘所を濡らす用の油壺。
おでんの頭上の格子窓から差し込む月明かり。それは彼を闇に隠し、対して汗と熱気と欲情に包まれたカイドウをまざまざと見せつけている。
青い肌から生まれた汗は頬から顎、手の甲と滑り落ち肌の色とは対照的な真っ赤な裂け目に注がれた油に溶ける。
世界から見れば異常な、二人から見れば正常な月に1度の産卵の日。
カイドウが恥じて隠していたその生理現象を酒の肴と楽しみ始めたのは、おでんの元に留まってから3か月目だった。
すでに自ら、そして彼によって開拓されきった赤い土地は爪の伸びていない指を何本も飲み込み、それでもまだ固さを求めて魚の口のように開き涎を垂らす。
人差し指と薬指で広げ、中指を体の奥底にあるもう一つの口の入り口をコツコツと叩けばぎゅるりと内臓が動き始め、白く鉄のように固い楕円がつるりと下へ降り始める。
一番太いところが奥の口を通り抜ける同時に白い波に包まれ、勢いのついた卵は手で止まりそのまま手の平を汚しながら納まった。
「いつみても助平なもんだ」
腰を下ろしながらもつま先で立ち、本来存在しない穴から卵と子種を吐き出す様におでんは一切の嫌悪を抱かず立ち上がる。
影から出てきた姿は腋に酒瓶と油壺を抱え、雄の白い涎を根元まで垂らしながら足の間で止まった。
「それはどうも。 んぐっ」
カイドウが息を吐くと普段ならば一度で収まる下腹部の熱が再度燃え上がる。
すでに開ききった孔は二つ目を抑える事無く、一つ目より一回り小さい固さをまた吐き出した。
「おっと、明日は大吉か」
「占いじゃねェぞ」
こうして時折挟まれる普段と違う産卵を、おでんは吉兆と言って笑う。
だが何年もこの体に付き合ってきたカイドウは知っていた。産卵の前日に孔を自ら弄ると数を増やし、遊んでいた時間が長いほど大きさを増すことに。
当然それを伝える気はまだ無い。性剛のおでんに伝えれば、どれだけ数を、大きさを増せるか挑戦されて地獄を見るのがたやすく予想できた。
「はあっ……はぁ……いつまで見てやがる、さっさと続きを」
「ちょっと貸してくれ」
卵を手のひらで転がしながらようやく足を延ばして座り、何百何千と自分の体を貫いた雄を待っていると何か思いついたように卵を要求してきた。
「なんだまたあれか? 気持ち悪いからやめろって言っただろうが」
思い出されるのは槌を手に卵を要求された日。中身が気になるのかと冗談交じりの問いかけは聞き流され、おでんはその中身を一息で飲み干した。
その口が感想を言う前に恥ずかしさで拳を叩きこみ物理的に口を封じした事もあった。
また食われるのかとうんざりしながら小さい、けれどおでんの握りこぶし程の卵を渡すと違和感に気づいた。
今日は槌を持ってきていない。ならば握りこぶしでようやく割れるそれをどうしようというのか。
「この卵、俺の腹に尻に入るか試してみてもいいか?」
「フ、フヒヒヒ!! なぁーに言ってるんだ、尻に突っ込まれたことも無いのに入るワケないだろ!!」
疑問を浮かべるカイドウの前でおでんはしゃがみむと卵に油をたっぷり塗し、続いて見せつけるかのように両手と自らの肛門から直腸までまんべんなく塗りたくると、
手にした卵を自らの中に押し込み始めた。
入るわけがないと高を括っていたカイドウは、数秒の後に目を見開いて事態を理解しようとした。
自分が生んだ卵を、おでんは下の口で自ら咥え飲み込んでいる。
カイドウのようにすでに広げられ切った胎内とは違い、カイドウの舌先すら味わった事ない初心な茂みがを白が押し広げていく。
楕円は未通の穴をギチギチと広げながら、牛歩の勢いでその身を体内に収めていく。
やがて短径が境界を超えると、打って変わって抵抗なくその身を隠すと腹部を少しばかり膨らませ、その圧迫感に食いしばる。
「っ……おでんに玉子は必要だろ」
「お前いつ、いやどうやっ……なんでだ?」
「聞きたければそっちのでかい方渡してくれ」
「ああ……」
半ば無意識的に、カイドウは残された卵を渡した。
混乱していたからではない。厳密には混乱と、カイドウ自身にも理解できない感情が灼熱のように全身を駆け巡っていた。
いまだかつて感じた事のない感情と極大の混乱は目の前の光景を見続ける事しかできない。
二つ目の卵を受け取るとそれにも油を塗り始め、数回の深呼吸の後に先客の後へと続いた。
コツ、と固い音を鳴らしながら一つ目をゴリゴリと無理やり押し込み、一つ目より少しだけ大きい卵が姿を隠していく。
ゆっくりと指先が進めば、それだけ腹部の膨らみが中心へ寄っていく。皮膚の上から触っても感じられるだろう存在感に額から汗が落ちた。
その光景を眺めながらカイドウは、何時振りかの人獣形態での雄を使った自慰に張り付けられていた。
スリットから飛び出たソレは限界まで張りつめて鉄の固さを保ち、自らの体液で赤黒く、けれど泡で白を纏いながら右手の生み出す久しぶりの快楽に涙を流していた。
カイドウ本人に自覚はない。視線はもう間もなく二つ目も飲み込みそうな愛しい痴態に釘付けにされたまま瞬きすらされておらず、乾燥した瞳を生理的な涙が潤すほどだった。
視線は涙を流しながら縫い留められ、思考は過負荷で止まり、右手は意志と関係なく自信を慰める。
その異様な様を見ながらおでんはまだ濡れていない二の腕で口元をぬぐうと、顔を朱墨に染めながら二つ目を飲み込んだ。
「ハアッ、はあっ……はっ……この芸の為に、随分と前から一人で遊んでたんだ。 驚いたか?」
おでんは崩れた重心を確かめるよう雲が流れる遅さで立ち上がり、一歩を確かめるように歩くが酷使された骨盤は軋みを上げる。
フラフラとした歩みはカイドウまでたどり着くと放出直前で止まった彼の雄に腹部をこすりつけると、二人の間で飛沫が上がった。
そこでようやく意識を取り戻し瞬きをしたカイドウが見たのは、内側も外側も彼の子に塗りつぶされ、白い唇を舐めるおでんの姿だった。
「悪ぃ、もう立ってられねぇ」
カイドウの真っ白な腹部に背中から倒れこみ、明日の洗髪に苦労するなどと一欠片も考えず、いまだ表情が変わらないままのカイドウを見上げる。
「いつまで黙ってやがる。 面白いとかつまらんとか、なんかあるだろ?」
「……今すぐ、その卵を出せ」
「おい、せっかく入れたばかりっ……まあいい、わぁったよ」
険しい表情の濡れたカイドウの手が、おでんの歪んだ腹筋から異物を押しだそうと動く。
人形のように抱きかかえられた体勢のまま、指の動きに合わせて腹部に力を込める。
幸いおでんの訓練の賜物か。あるいは入れられて時間が経ってない故か二つ目はさして力む事無く吐き出され、一つ目もカイドウの指で下品な音と共に押し出された。
「産むのが好きでも、見るのは嫌いか。 まあそういう事もあるか。 で、どうする?おれが扱くか? しゃぶり合いか? それともまた割れ目で遊ぶか?」
圧迫感の抜けた腹部を撫でながら、足の間にある巨砲に視線を落とす。
カイドウと体を重ねた回数はもはや覚えていない。けれどそのほとんどが人の姿、あるいは人獣で体内に収めた姿であり、人獣のいきり立った雄を見るのは久しぶりだった。
人の姿の時より大きいそれは、強烈な淫臭をまき散らしながらまだ固さを保っている。
おでんもカイドウも疲労困憊とはいえまだ熱は収まっていない。カイドウが大きく背を曲げる事にはなるが、お互いのを口で刺激するのが顛末だろうと予想した。
だがおでんの想像は聞きなれない音で中断される。
まるで肉食獣が獲物を前にした時のような喉を鳴らす音が届き訝しむ中で視線を合わせて原因を理解した。
おでんを見下ろすその瞳は蜥蜴のものへと変わり、人の面影が薄く龍の色が強い姿がそこにはあった。
「あー、カイドウ?」
「先に謝っておく、悪ィな」
その言葉に反応す間もなくおでんは俯せに投げ出され、悪態を付くため振り返ろうとした瞬間彼の姿すべてが影に覆われた。
前を見上げれば飢えた獣の頭が逆さになっており、血走った瞳はすでに理性を捨て去っていた。
「おい、ちょっと待て! さすがに」
「コレなら挿いるだろ」
この後身に降りかかる事態を制止しようとするが、両太ももと陰茎で感じた熱が眼前に姿を見せた。
カイドウの爆発寸前の欲の塊。それは一般的な男の形ではなく、まるで動物のような形を思わせる先細りの形がそこにはあった。
「こんなのも出来るのか……」
「俺より先に卵なんか入れやがって」
「ああ、嫉妬してるのか、可愛いじゃねェか。 食うなら火傷に気をつけろよ」
興奮で川のように欲を流す金棒は、赤い花の縁をじっくりと舐めて涎まみれにすると、やがて城主とでも言わんばかりに我が物顔で貫いた。
「ぐっ……っ……!」
先の卵の比ではない圧迫感が臓器を中から押しつぶす。
呼吸すらままならない衝撃は一突きでおでんの甘えをすり潰す。
痛みに暴れたくなる体を意志で押さえつけ、両手を爪が食い込むほどに握り堪える。
どこまで入ったのだろうか。半分、あるいは全部だろうか?
当然そんなわけがない。2倍近く違う体格の雄はその半分すらも体に収まる事はない。
だがそれでも内側から食い破られる痛みを下半身全てで感じていた。
「グルルルルッッッ!!」
「ウっ、ぐっ、うぐっ!」
地獄を味わっているおでんとは対照的に、カイドウの意識は天国にいた。
半ば諦めていた愛しいコイツの熱さを感じる事が出来ているのだ。
たとえ先端しか入っていなくてもその部分だけでカイドウの脳は真っ白な愛欲にどっぷり漬かることができた。
自らの体内で味わうのとは違う興奮に、その身が餅のように溶けておでんに混ざってしまうとすら思った。
そしてウオウオの能力、それとも思い故か。おでんがどれだけ痛みに呻いてもその命に危険がないとなぜか理解できている。
だからこそカイドウは一突き目から全力をぶつけ、ちいさなかわいらしい体をもみくちゃにできたのだ。
ああ、だけどだからこそ願ってしまう。自らが小さく、あるいは彼が大きければ。今感じている快楽よりも強い絶頂をその耳で感じる事が出来るのに。
今この時だけは、彼の全身を抱きかかえられる自らの体格を本気で呪ってしまった。
「グルルッ……はっ、はぁ……おっおい!」
やがて龍は10を超える絶頂を迎えるとようやく理性を取り戻し、同時に真っ赤な青い肌を真っ青に染めた。
急いで萎えかけの性器を抜いて体を上げれば真っ白い沼とその中心に、息も絶え絶えな男がいた。
「激し、すぎ、だっ、うっおごっ」
腸の中すべてを真っ白に染め、まるで卵になってしまったと思うほど丸い腹は、出口を求めて滝のように口から溢れだし、鼻にまで流れた痛みで激しくせき込んだ。
「大丈夫かっ! どうすりゃいいんだ、医者? 呼んでどうなるっ!」
「慌て……すぎだ……風呂、連れてって、うぶっ……責任取って洗えよ。 お前の相手を、する男だ。 簡単に死ぬわけ、ないっ、」
「だが風呂なんかで」
「じゃあ風呂以外、どこに行くんだ? こんな姿見せられるわけ、ないだろう。 のぼせるまで、付き合えよ」
変身を解きおでんを抱えて顔だけ指で拭い足を進める。腕の中の男は脱力しているが受け答えがはっきりしている事にカイドウは大きく息を吐いた。
「なあ、口貸せって言ったら聞いてくれるか」
「正気か?」
「ここまで手酷く抱いたくせに?」
「……ちっ」
カイドウに逃げ道はない。 胃液と自らの精液塗れの口を吸えという脅しに屈服するしかなかった。
「おえっ、不味っ……」
「わははは、これで今日を忘れねェだろ。次はもっと優しくしやがれ」
驚いた。ここまで酷く抱いたのに、まさか次の機会を許してくれるだなんて。
その言葉にカイドウは思わずある言葉を自覚なく零したのだがそれは本人の耳にすら届かず、腕の中のおでんだけが真っ赤に煮えたのだった。