カイザートリニティ支部にて
寮長(小号 カナデ)「どうか聞いてほしい」
150㎝程の比較的小柄な少女がその膝に差し掛かるほどの緑髪を揺らしながら玄関から建物に入った
「私は...ええと この建物を制圧するために来た だから一般人はどいてほしい」
ポケットからメモを取り出しどことなく棒読みで支部の人間に呼びかけた
先日の工務部のデモの事もあってか危険を感じた人々はすぐさま逃げ出し、カイザーに雇われているP.M.Cが少女を取り囲んだ
「一人で突っ込んでくるとはな...バカも突っ切ると厄介だ」
「vanitas vanitatum(すべては虚しいものである)だからこそ今日の事も昨日の事もただお互いに忘れてしまおう そうすれば私たちはきっと仲良くなれる」
少女は背中に背負った4本のSRの内1本を抜き...銃口を持ち手にして持つ
「金の支払いを忘れられたら 困っちまうぞ"小号 カナデ"」
「お金のことはお互い忘れないつもりだ ただ今から起きる争いの事を明日には忘れよう」
ゆっくりと近づくカナデにP.M.Cの放った銃弾が突き刺さる
「いたたたた...!」
だが銃弾を避けもせずただカイザーの支部長へと歩みを進める
銃弾の雨の中 思い出すのは かつて同胞をこの手で殺した記憶
こんな私が偽善を振りまくのはきっと罪なのだろう ただ惨たらしく惨めに銃弾の殺意に身を任せるべきなのだろう だが忘れよう 忘れられない使命のために
「思い出したよ この銃の使い方」
「そりゃこんだけ銃で撃たれりゃ引き金引くくらい思い出すまでもないだろ!...というより使い方が分からないのに担いでたのか⁉」
道理でレッドウィンターに行かせたのになにも音沙汰が無かった訳だと一人納得するカイザー支部長をよそにカナデはP.M.Cを"殴り飛ばす"
「...ちゃんと思い出せてねぇぞ!」
「いや問題ない 実績あるし同胞からのお墨付きもあるぞ」
次々と敵対する者を殴りつけSRが無残に変形していく
「リロードする カバーを頼む...いや確かこれは一人の時は言わなくても良かったか?」
ひしゃげたSRを投げ捨て新しいSRを背中からリロードする
「ふざけやがって!こんな銃を撃つなんて単純作業もろくにできねぇヤツに!」
そうこうしている内に先生が現れた───