オリジナル特異点 中国
「私は再び、貴方を殺します。
貴方が救った世界を守る為に」
たった一人の英雄が、十陽を宿し、外敵を排し、玉座へ至った。
地を照らす唯一の太陽は消え、月夜が支配する古代中国。民は皆、皇帝に縋る他なく。
それは、過去の宿業。裏切りと絶望の煉獄。幾度も裏切られし英雄は蘇り、怨嗟の炎を以てして、地を、天を、人を呪い、嗤い、焼き尽くす。
宿怨回合王朝 カ
登場人物
カルデア側
逢蒙殺羿 逢蒙
反転逆神 天邪鬼
後日追加予定
敵側
十陽宿せし帝 羿(オルタ)
羿の后 玄妻
淫蕩皇帝 ヘリオガバルス
後日追加予定
その他
崑崙の仙女神 西王母
太陰星君 嫦娥
後日追加するかも
月が嗤う。民の理性は消え、ケモノと化す。
…もう誰にもあの女神は止めれぬのだと、カルデアを含め、全ての存在が理解していた。
終わりだ。当然の結果。神話に語られる存在に、人が敵う通りなどある筈がないのだから。…意識を手放し、私も理性を失おう。そうすればきっと楽になる。そうすれば、この下らない感情も、消え去って──────────
「玄妻。道具を借りる。これなら死に体でもなんとかなるだろう」
在るハズのない、声が聞こえた。今まで幾度も聞き続けた、愛しい/憎いあの声が。自分が再び殺したハズの、あの声が。
「逢蒙。弓矢を借りる。本来ならば師が弟子から借用するなど酒の肴にすらならぬが────此度は許せ」
何をするのですと、口に出した後に、愚問だったと自嘲する。男は振り返る事なく、弓矢を天に、月へと向ける。
射放つ瞬間、独り言のように呟いた。
「己ができるのは、星を穿つ事のみだ」
地より放たれし流星が、月へと顎を開いた。