オモイダシテヤアノママゴト

オモイダシテヤアノママゴト


タノシイナア

シアワセダナア

「皆さん、落ち着いて並んでください。全員分の食事はちゃんと用意してありますからね」

ユメガカナッテウレシイナア

ズウットコックサンニナリタカッタカラ

違うでしょう、そうじゃないでしょう私の夢は美食家だったはずです。

見当違いなことを考えないでください。どうか、どうかお願いします。


「この辺り一帯を仮説食事スペースにしていますので」

「どうぞ、お好きなところにお掛け下さい」

ミンナデタベルトオイシイネ

…確かにそうですがなぜ今こんなことが頭に浮かぶのでしょうか。

イズミさんのことを思い出して罪悪感が湧く権利なんて、私にはあるわけがないのに。


スクウタメココニタツ

ノゾマレテココニタツ

…気負いすぎですね、美味しい食事を食べるための心意気は大切ですが考えるすぎるのも毒です。

ミンナノタメニ、“ワタシ“ノタメニ

ダイジナモノノマモリカタヲオシエテアゲル

誰に何を?私が指導者を気取るだなんておこがましいでしょう?

第一、救世主ごっこをするためにここに立っているわけではないですから。

ジャアナンデ?

ナンデココニタツ?

思考が廻る。私を無視して。

……私はなんのためにここに立っているのか。

ジブンが投げかけたはずの質問の答えに詰まる。なんと答えるべきかわからない。






「あの、えと、すみません」

私の前に比較的新しく入ってきたエサがやってきました。

「どうされましたか?」

「こんなおっきな戦争…初めてで…どうしたらいいか……わかんなくて…」

「でもいつも通りのハルナさんにいっぱい勇気をもらいました‼︎」

かわいそうに、ココに来たばかりなのに大きな流れに巻き込まれてしまって。

美味しいものも、楽しいことも、気持ちがいいことも、まだ味わい尽くせないままここまで来てしまって。

オロカナニエガグダグダトツヅケル

「でも…私たちは勇気をもらえるけど………ハルナさんは辛くないですか?」

「こんな私が役に立てるとは思わないですけど。それでも本心をお聞きしたくて」

「わがままですよね、こんなどこまでも自分勝手な質問。こんなこと聞いたところで風紀委員の方達の苦労が軽くなるわけじゃないのに」

なんて優しい方なのでしょう、客人に寄り添う料理人のような姿勢。

このような方達のために料理を振る舞いたいものです。

ナンテツゴウガヨイノダロウ

オロカサモココマデクルトワラエテシマウナ




そんな優しさに当てられてあレわカんナくナっチゃッた?

安心させるためが半分、本心が半分の微笑みを彼女に向けます。

「重ね重ね本当にありがとうございます。ですが、私は平気です。平気なんですよ。」

「私は……そう私は……」

スベテハワタシノタメニ

「自分ではない“誰か”をシアワセにしたくて、美食の道を歩むようになったんですから!」


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