乙女の深淵(オマケ)
「端末ありがとうございました。一応残金を確認してもらえますか?」
「分かった。……あんまり使ってないね」
「部屋着と…シタギ…と小物数点くらいでしたから。でも助かりました」
「また何か買いたくなったら言ってね」
「分かりました。その時はまた端末交換ですね」
後日
「エランさん、すいません。またお買い物していいですか?」
「いいよ。チャージ金額も戻しておいたから、前回より使って大丈夫だからね」
「はい、ありがとうございます。じゃあ交換ですね」
「………」
「買い物終わりました。エランさんは前の続きを読んでたんですか?」
「いや、違う物を読んだ(横暴な男の勝利とか考えたくもないし…)」
「何を読んだんですか?」
「女の子が異世界に飛ばされる話。まだ途中だけど…これ」
「あ!これ面白いですよね。途中まで話が通じないのがリアリティあって」
「…違う世界なんだから話が通じないのは普通じゃないの?」
「それがそうでもないんですよ~。理由があればいい方で、何故か最初から話が通じることが多いですね。これとかこれとか、あとこれも…」
「(えぇ…?)」
多少の違和感があっても、面白さで殴り飛ばせば関係ない。現実世界の法則はあえて無視をして、新たな世界を想像する。
少女漫画とは、そんな気骨に溢れたジャンルであるらしい…と、何度かの端末の交換でエランは学ぶことになる。