エース家と花火大会概念

エース家と花火大会概念

トレエスに脳ミソ焼かれまん民

今年もこの季節がやって来た。

この家に住み始めてからもう何年になるだろう。

最初は旦那と二人きりで眺めていた、あの綺麗な花火も、今では4人で並びながら眺めてる。


昼間は、あたしが子供達を連れて、縁日に遊びに行っていた。

旦那は仕事で行けなかったので、その分もあたしが写真を撮ってきた。


お面を着けたまま姉弟で手を繋いで歩いてる姿も、

わたあめを食べてる姿も、

ヨーヨー釣りをしている姿も、

当たらない射的に維持になってる姿も、

くじ引きに一喜一憂してる姿も、

ワガママを言い合ってケンカしてる姿も。


きっと旦那が見たくてたまらないだろう、愛しい我が子等の姿を、しっかりと記録に残しておいた。


子供の頃、あたしの写真を撮りまくっていた父ちゃんの事を思い出す。今ならその気持ちも分かる気がした。

きっとこの子達は見返すのを嫌がるだろうけど、それでもあたし達にとっては、何度でも、何年たっても、見返したくなる。大切な思い出だ。

そうして容量限界まで取った写真や動画と、縁日で買った食い物を土産に、家に帰った。


旦那は花火が上がる少し前に帰ってきて、さっきまで焼きそばを食べていた。

そして、花火が上がる。

娘は、あたしの横でパピコを食べながら、花火を見つめていた。

息子は、花火の音がまだ怖いのか、旦那にしがみつきながら、それでも花火の綺麗さに目が離せないみたいだ。

旦那はそんな息子を優しく撫でながら、花火の感想や、子供が喜びそうなアニメキャラクターの物が上がる度に、教えていた。


あたしは、そんな家族の方を見てばかりいた。


──ふと思い返すと、旦那と二人きりのときは、旦那の顔ばかり見てたな。

この子達が産まれてからは、泣いたり、遊んでどっかに行こうとしたりするこの子達を、心配して見てたり、旦那によじ登ってた娘を見て笑ったりしてたな──


そう思うと、多分、この花火大会を一番楽しみにしていたのは、あたしで。

なのに、一番真剣に眺めていないのも、あたし・・・なのかもな。

でも、それでも、一番この時に幸せを感じられているのも、あたしだと思うから。

だから、それで良いんだろう。


娘が星の形の花火を見つけて、それを教えてくれる。

その嬉しそうな顔を見ていたくて、また花火を見逃した。


まだ花火は上がり始めたばかりなのに、既に来年も、その先もずっと、ずっと楽しみだ。

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