エンデヴァー王妄想(続き~終わりまで)

エンデヴァー王妄想(続き~終わりまで)

92 (直前~途中までは107に。31日微修正、1日加筆しました)



***




人は極限状態で本性が出る…ってほんとうだな。

 

…俺は…俺という人間は欲望に負けて忠誠心はおろか人の道をも踏み外した。

魔王に促されて脳無が泥の中に消えたとき、腕ほどの太さの生殖器が引き抜かれ、

こぼれ出た液体が王の脚を脛まで濡らした。

余波でひくついたそこを目にした瞬間、俺はもう何も考えられずその白い身体に手をかけていた。

 

身を起こそうとした王は自分を組み敷いてくる俺を見て、明らかに驚いたようだ。

「貴…様は…ホークスの…」

顔を覚えてもらえていて嬉しいという気持ちと早くも激しい後悔が押し寄せた。

「君の配下はねえ、たったいま僕の仲間になったよ」

「…なに?」

「あまりの痴態に君を見限ったんだ」

「ち…違…」

「おいおい何も違わないだろう?その姿を見て決めたんだ。主君を犯すとね」 

王の碧眼に宿った光がスッと消え、「無理もない」とでもいうように表情が翳る。

憂いを帯びた面差しには儚ささえ漂う。

ああ…!王にこんな悲しげな顔などさせるつもりはなかったのに…

「っ…王…!‥‥王…お許しください」

王は俺の目をまっすぐ見つめて…そして何かを悟ったかのような沈痛な面持ちで目を伏せた。

「…わかった」

 伏せたまつ毛が深い鼻梁に影を落とす。

…やはり綺麗なひとだ。

額にかかる乱れた髪も少しやつれた面差しすらも美しい。

目の縁には涙の跡が重なっていた。それに気づくと俺は胸が詰まり、何に代えてもこの人を守りたいと思った。なのに、俺もこの人を堕とし泣かせてみたいという気持ちが抑えられない。

 

俺が性急に押し倒すと王は抗議するような眼差しをちらと向けたが、それでも一切逆らうそぶりもなかった。

大きく脚を押し広げられてもされるがままだ。

その様子にもう、どうしようもなく血が滾り渦巻いて限界だった。

俺は下衣の紐を解くのももどかしくやみくもに欲望を尽きたてた。

「っ……」

濡れそぼり冷え切った肌に反してなかは熱く、散々に踏み荒されたはずなのになお絡みついてくる。

「…すご…い…」

身体中の骨が溶けそうなくらい気持ちがいい。

王は歯を食いしばって声をこらえ恥辱に耐えているようだが、つながった部分から鼓動と体温が急に上がっているのが分かる。

俺はあっという間に果てた。けどあまりのことにすぐには動けなかった。…俺は…とうとうあの人をこの手で…。

 

背後で魔王の陽気な声が響く。

「惨めだな…エンデヴァー!実に惨めだ!君の息子も、君が身命を賭して育てた部下も君を裏切っていく。しかも全て君の業が招いた形でね」

魔王は楽しげにまだ何かブツブツ言っている。本当に人の嫌がることをするのが大好きなクソ野郎だ。

その煩さで少しだけ冷静さを取り戻した俺はここまで来たら本当に王を泣かせようと心に決めた。


俺は体勢を整え王の上半身に腕を伸ばした。

触れてみると鍛えあげられた腹や胸は意外なほど柔らかい。

掌で撫でていると、ところどころでビクリと跳ねる箇所がある。

脳無らに何度もなぶられたらしい箇所は赤黒くなっていたが確かに指でそっと撫でるだけでも背が震える…間違いなく性感帯だ。耳たぶ、うなじ、喉から顎、脇腹、左の腰の背中、へそ周り、尻、足の付け根…あの怪物ら、好き放題しているようで王の弱いところを探しあて執拗にいたぶっていたのか。

そしてあんな拷問じみた凌辱の中でも王は快楽を得ていたのかと思うとその業の深さに慄然とする。あの諦めの表情はその後ろめたさからか…たまらない。


「ヒ…ッ」 

赤く充血した左の乳首に舌を這わせるとひときわ高い声が上がる。そこを吸い上げたとたん背が反り、王の性器が一気に固く張りつめた。

「っあ…や…め…やめろ!」

明らかに狼狽した声音で身をよじりだしたので跳ね飛ばされないように腰を落としさらに責め立てる。

「い…や…だ…あ…っく…あ…あああ!」

なぶられすぎて敏感になっているにしても反応が良すぎる。

やばい…こんなの…おっぱいが弱いとかえっちすぎるだろう!

俺は脚で内腿を押さえながら右胸にも指を伸ばす。

すでに膨らみかけたそこを撫で上げすりつぶす。立ち上がったところを強く爪弾く。

「うあ…っつ!」

王の声が高くかすれて俺の腹に温かい液体がかかった。

「イっちゃいました…ね……乳首だけで」

「い…いうな……!」

「びっくりしました…」

「あんな声が出るんですね‥‥」

つい口をついた言葉に白い肌が耳まで染まる。

王は涙目で怒ったように俺のことをにらむ。普段なら震え上がるような恐ろしさなのに全くぜんぜん怖くない。むしろ可愛いくてしかたがない。なんだこれ。

もう頭がおかしくなりそう。いやなってる。

達したばかりで呼吸もままならないところなのに俺はもう待てなかった。

「王が…いけないんですよ」

「あぐ…っ…う…」

「あなたのせいでおれ気が触れてしまったみたいです」

卑怯なことを言っているのは承知だ。でもこの人は魔王が煽る度に反応している。

だからだからきっと…

 


***

 


まだ絶頂の余韻の冷めない王の性器をなぶりながら俺は中の急所を探る。

王のくぐもった嬌声は止まない。おそらくそうしていないと耐えられないのだろう。

前と後ろを同時に責められるのはやはりそうとうに効くらしく、口では「嫌」といっているのに中がきゅうきゅうと締め付けてくる。

手掛かりが見つかったので俺は体勢を変えて背後から侵入しそこを叩く。

「うあ!…あっ…あ…あ」

どうやら正解だったようでここで一度たたみかける。

「っ…だ…だ…ぁ…お…やめろ…」

王自身はまたはちきれんばかりに張りつめている。片手に余る大きさのそれに自分がされたらたまらないだろう箇所になんども指を這わせる。

「ダメだ…ああ…こんな‥‥おかしく…なるッ」

声はもう高く掠れて悲鳴のように切れ切れになる。

 

「いいよ…素晴らしい…エンデヴァー!恥知らずであさましい君の本性」

俺も何度も限界を迎えたが魔王の妨害でかろうじて正気が保っていた。

そう…おかしくなんてもうなっていた。

俺はひどく残酷な気持ちで王の吐精を眺めた。

休ませない。

「っつ…ああああ!」

さらに追い込んでいく。

さすがに惨いかなと思ったけど違う。

この反応。

この人は手ひどく追い詰められるのが好きなんだ。

それはおそらくは魔王に強引に引きずり出された性癖かもしれない。

あなたはこんなに繊細で純粋で怖がりでそんな弱い自分を許せない。

それがとてもかわいらしくてかわいそうでめちゃくちゃにしたくなる。

 

「っ‥‥もう…たのむ…も…やめて…くれ」

消え入りそうな声で懇願されてもやめない。

「嘘だ…ここがこんななのに‥?」

濡れそぼった鈴口に指を差し入れると白い喉をのけぞらせて身もだえ、掠れた叫び声さえ甘い。

もっと欲しいと全身で懇願している。

「…ん…あああっ…あ…う…」

何か別の段階に達しているような気配すらする。

意識が飛びかけるのをまた引き戻すように腰を入れる。

快楽と苦痛の境目はすでにもうない。鈍磨と覚醒を繰り返しながら感覚は深く鋭く王の体を指先まで侵していく。

…もう少しゆっくりと炙り出すように追い込みたかったな…とぼんやり思っていると伏せた王の顔からポタポタと床に涙が落ちた。


「はは!はははは!その顔が見たかったんだよ!エンデヴァー…!」

魔王が手を叩く。もう踊りださんばかりに喜んでる。

 

…ああ。俺は。

跪拝したいほどに崇めていた王を

神のような我が君をとうとう泣かせてしまった。

なのにまだ欲望のまま動く体を止められない。

こんなにあなたが好きなのに。

ああそうだ…俺はずっとあなたが好きだったんだ

あなたのことは将軍の頃から知っている。

その戦う姿の美しさに俺は剣を志した。

俺の気持ちはまっすぐなままなのに

俺のしていることといったら滑稽なほどちぐはぐだ。

組み敷いてるこの手にずっと敬愛の口付けをしたいと思っていた。

俺の腹の下になっているこの広い背中。

この背に憧れてひた走って来たんだ。

「王…」

俺もいつのまにか泣いていた。


この様子をしばらく満足げに見ていた魔王は短く拍手をすると

「久しぶりに良い夢が見られそうだ」と言い黒い霧の中に消えていった。

 

 

***


 

いつのまにか俺は寝てしまっていたらしい。

突然耳を割くような轟音が鳴り響き俺は飛び起きた。

何だ?爆発か…何が起こっている。

 

顔を挙げると仁王立ちの王が俺を見降ろしていた。

「…貴様」

地獄の果てからのような低い声が響く。

「お‥‥王っつ…!!!」

反射的に土下座をする

空気が一変した。

この威圧感。

この恐ろしさ……間違いない

いつもの「エンデヴァー王」だ…。 

甲冑とマントをまとい俺を見下ろす…さきほどとはすっかり別人の様相だ。

「貴様、ホークスのところの小僧で間違いないな」

「は…はっ」

「…なぜ全軍待機の命を破った…」

「俺はあなたが…心配で…」

我ながら説得力なさ過ぎて笑えてくる。

「馬鹿者が…!」

「でも王ご無事で」

「ご無事なわけがあるか!こちとらもはや体が…貴様のせいで尻が…」

言い終えるより前に青い斬撃が見えた…速すぎて避けられずやられたかと思ったが

気づくと王が前方に出ていた。

 「何で庇うんだよ…お父さん…そいつ…ついでに殺そうと思ったのに」

不機嫌な声が背後から響く。

「トーヤ、魔王はどうした」

「隠し持ってたダミーともども爆散させてきたぜ。ご上機嫌で地獄に直行だ」

 

トーヤ王子を見たのは初めてだった。目の色こそエンデヴァーと同じ青碧だったが、飄々とした風体で酷薄そうな笑みを浮かべている。これが父を侮辱した一族ともども村を焼いたとかいう蒼炎の君か…。

 

次の瞬間、音もなくその蒼い瞳が俺の前に現れた。跪いた俺のまえにひょいと腰を下ろしてきた。

「…あんたさあ」

「は、は…」

「その役、俺だったんだけど??」

何だどういうことだ…理解が追い付かない。

「トーヤ!まだそんな馬鹿なことを…。残党の確認はすんだのか」

「とっくだよ。…言っとくけど、これ内戦、クーデターだからな。この国のナンバーワンは今から俺」

「好きにしろ」

「そっちに攻め入ればお父さんも俺の配下だ。首を洗って待ってろよ」

王子は窓から姿を消していった。


***


 次々と外が騒がしくなっていく。

数百年ぶりに「魔王が眠った」隙をついてトーヤ王子が仕留めたらしい。

圧倒的強者の主を失った魔王軍は総崩れとなった。国境で待機していたエンデヴァー軍も攻め入り、ほぼ無血開城、配下も脳無も全て拘束することができた。

王の捕縛も何らかの作戦だったようだが、俺には知らされてはいなかった。

事の次第は秘匿はされたが、俺の行動は厳重処罰対象。上官のホークスからはすでに殺意のこもった眼を向けられている。

まあ当然といえば当然か。

王から直々に呼び出しがかかったときには死を覚悟した。

規律違反どころか王にあの乱暴狼藉…即刻打ち首だろう。

でも王に殺されるなら本望だ。

俺には過ぎた幸せだった。


王はあのあと去り際に「犬…いや…熊に襲われたと思って忘れろ」なんて言ってた。不器用とは聞いてたけどマジろくに嘘もつけない人なんだって愛おしい。少なくともあの涙は本気だったと俺は信じてる。

あの幸せなひとときを思い出しながら旅立とう。

覚悟して向かった先だった。


「貴様の働きが完全に魔王の警戒心を解いた。俺とトーヤだけでは正直疑われていた可能性も高い。結果論ではあるがその点は感謝している」

王じきじきのお達しだ。まさか褒められるなどとは微塵も思っていなかった俺は茫然とした。

そうだった。エンデヴァー王はいつだって部下の働きを正当に評価してくれる。

だから軍部からは絶大な支持があり、エンデヴァーの統率力ともなっているのだが。

だが、しかし寛大すぎないか…いいのかそれで…。

「貴様には懲戒処分も出ているが、そこだけは褒めねばならんな…褒美をとらそう。望みを言え」

「…王」

「望みを…」

「王…」

「…うん?」

「俺は王がいいです…」

察したらしい王は目を閉じると盛大にため息をついた。

「…こんな親父のどこがいいんだ…」

小声だったがそのつぶやきもしっかりと聞こえてしまった。

そんなあなたのなにもかもがいいんです俺は。

「まあいい。この俺に二言はない。一度くらいまっとうに本懐を遂げさせてやる」

 


そして俺はまさかほんとうに王の寝所に呼ばれた。

城門の左には毛先まで黒くなってるホークス。

右上の開口部には腕を組んで氷のような目で見降ろすトーヤ王子。

圧死しそうなほどの敵意が充満していた。

……地獄の門かな…

 

「参上しました」

たどりついた寝所には果たして大天使がいた…白いバスローブをまとった王だ。


…天国の扉だった。

 


 


終わり





****




エピローグ(ホークスと王)



ホークスは怒りが収まらない。

部下も部下だがエンデヴァー王の采配は到底納得いかないものだった。

自分は魔王を倒せる千載一遇のチャンスにあの人の身命を賭けた。

王を信じてはいたが同じくらい案じていた。

戻らないかも知れぬと王政を任されたときは神頼みさえした。

それを…。


「どうしたホークス。不満か」

「…あいつは俺の部下でもあります。単独行動を止められなかった責任を俺にも取らせてください」

「要らん。出立の経緯は聞いた。あれは全くの偶然。お前の責任ではない。勝手な行動は許されんからそれだけは良く言っておけ」

「エンデヴァー王。俺のことは分かりましたよ。ですが、あいつにまた…許すんですか??」

「許す?罰したが?」

「寝所に呼ぶと」

「…耳聡いな」

「っ…エンデヴァーさん!!!」

かつての将軍と参謀、つい昔馴染みの呼び名となる。

「大声を出すな」

「甘いなんてもんじゃないですよ」

「約してしまったのだから仕方あるまい」

「あなたヤられたんでしょう?…あいつに!」

「どこでそれを…」

「トーヤから聞きました。聞いちゃいましたァ!」

「状況的にああするしか奴は生き延びられなかった。…仕方あるまい…もう詮索してくれるな」

「だって!だってあなた…」

「泣いてたって」という言葉をホークスはかろうじて飲み込んだ。

あの魔王が満足するなんて、どんだけエグいことされたのだろう。ホークスは唇を噛む。

「…心配をかけたのは悪かった」

「ほんと優しすぎです。あいつは俺も良く知ってます。あいつ、あなたが好きなんですよ!しかも性的に!」

「そうらしいな。若い身空で難儀な癖を持って気の毒なことだ」

「何呑気なことを!!俺は悔しいです!もう密かに噂にもなってますよ。『王は命懸けで頼めば誰でもヤらせてくれる』とか」

「確かに誰が同じ状況になったとしても俺は同じことをする」

「そーいうとこですよおおおエンデヴァーさん!!!!」

「そんな物好きそうはいるまい」

「わんさかいるんですよそれが!ほんッとあなた自分がどう見られてるかわかってないんすね!!」

「…いいぞ。この際、誰だろうと相手をしてやる」

「ちょっ…」

「ただし俺に勝てたらな」

「………エンデヴァー…王…もうほんとそういうとこです」





***





エピローグ(トーヤ王子独白)





…ずっと見てたぜ…

エロ親父め

人が遠慮してんのにどこの馬の骨が知らん奴に犯されて良がってんじゃねえよ


俺の俺の気持ちは見えないふりしたくせに

あいつの気持ちには気づくのかよ

なんだよそれ


あんたのことで頭がいっぱいだったのにさらに悪化したぜ

決めた

俺の奴隷にして一生飼い殺してやるよ

ハイエンドたちもあんたの身体が恋しいみたいだ

ちょうどいいだろ


エンデヴァー…

あんたの何もかも欲しいんだ


俺を見ろよ


俺だけを見てくれ


そして俺と同じくらい狂ってくれよ



…お父さん





*****







(あとがき)

当初「エンデヴァーは可哀そうでも抜ける」って言葉どおりの方向性で

燈矢とAFOと俺くんとハイエンドでトドメかな…って思ったんだけど

燈矢とAFOの結託が炎司発狂するレベルで最凶だったので断念しました。

あと本誌も本誌だし親子のタブ―には心情的に踏み込めなかった…。

結果AFOがうるさおもしろい外野になってしまってちょっと残念でした。

この世界線では平和でもいいかなって…

お読みくださりありがとうございました。92





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蛇足(本誌現実逃避ネタ注意)



エピローグ・ダイアログ(ホークスとエンデヴァーとトーヤと…)



「よお鳥頭」

「トーヤ!なんだかんだ帰ってきてて安心したよ」

「黙れクソ鳥焼くぞ」

「あーべつに改心したわけじゃないのねハイ」

「これからエンデヴァーと話す…お前も来い」



「エンデヴァーさん俺親子水入らずに挟まっちゃってさーせん」

「俺は構わんが…」

「俺は正直できたらちょっと逃げたいですねハハハ!」

「鳥は黙ってろ」

「(お口チャック…)」



「…話とはなんだ、トーヤ」

「……………」

「(覚悟してたけど…やっぱ沈黙長!重!帰りたい…)」



「……んで…ずっとなんで…俺のこと避けてたんだよ…?俺が…声変わりしたあたりからずっと…。俺がどんな思いだったかあんた考えたこともないだろ。つーか、いつ最後に話したかなんて覚えてもないだろ」

「(…しょっぱなから重い…重いな)」

「覚えてるとも。おまえが俺に言ったんじゃないか」

「あ?」

「『お父さんことばかり考えてしまう』と…『寝ても覚めても好きな女の子のことを考えようとしてもお父さんの顔がちらつく』と…」

「…それ…は…」

「俺は悩んだ…だって嫌だろう?俺の顔がそんな…頻繁にしばしば出て来るなんぞ…だから俺はおまえから全力で逃げた。極力、目を合わせないようにした。どうしてもお前の顔が見たくなったときは眠ってるときにした…」

「…は?エンデヴァーさん!?」

「…そうだったのかよ…お父さん…」

「いや、エンデヴァーさんそれは」

「薬師にも祈祷師にも言われたさ。おまえが男が好きでも構わん。ただどういうわけか父親に性的な関心が向いてしまっているとな…」

「(あっそこは分かってたのか、よかった、この人たまに天然かますからなあ)」

「あんたのことばかり見てたのは本当だよ。あんたみたいになりたかったから…でもそのうち俺だけのものにしたくなった」

「おまえの想いに向き合えば俺が応じても応じなくとも火に油を注ぐと思った。離れていればそのうち忘れると思ったんだ…」

「忘れられるわけないだろう?!なんでそんな…結局ただ逃げてただけじゃないか」

「だから…だから俺は必死に探したんだ!俺によく似た女の子を!でも、見つからなかった…」

「エンデヴァーさん…(エンデヴァーさん…)」

「いらねえよそんな…代わりなんて…」

「……俺はお父さんに俺だけを見てほしかったんだよ。でも…んなの嫌だろ?気持ち悪いだろ?嫌いになるだろ…」

「馬鹿者、俺がお前を嫌うわけないだろう。お前はずっと俺の自慢の息子だ」

「………嘘だ」

「本当だ」



「じゃあ…あの村を焼いたのは怒ってる?あいつらクソだよ。お父さんのこと馬鹿にした」

「怒ってはいないが許すことはできん…立場上お前を罰するしかなかった。民を殺すのだけはいかん」

「もし俺が馬鹿にされてたらどう?」

「村を解体するくらいにしておくか…」

「ハハ…それ同じじゃねえの」


***



「鳥野郎…どっか行っちまったな…」

「気を遣ってくれたんだろう」



***



「トーヤ…」

「なんだよ」

「悪かった」

「今さらなんだよ…触んなよ!」

「抱擁もいかんのか…」

「あのさ…俺、我慢してるんだぜ。えらいだろ?今でもあんたのこと正直ブチ犯したいと思ってるよ。でも…しない。あんたの気持ちをきいてなんだかよけいキツくなっちまった…」

「トーヤ…」

「……俺やっぱ出てくわ」



「トーヤ!!!」

「え…??お…お母さん??」

「トーヤにぃ!」

「馬鹿兄貴!」

「ナツ君…フユミちゃん…」

「久しぶりすぎない?私たちそろうの」

「ショートはどうした、レイ」

「はいはい、もうすぐ来ますよ」

「もう黙って出てくなよな兄貴」

「トーヤにぃ…そんな顔しないで」

「お父さんもほら」

「にぎやかだな…トーヤ、皆がいれば気も紛れるだろう」

「うるせえ…うるせえよ…」




「…こんなことなら」

「どうした?」

「俺さ…」

「うん?」

「もっと早く帰ってくればよかったよ…」

「…そうか」

「トーヤ…おかえり」








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