エリアルちゃんが断罪される話

エリアルちゃんが断罪される話

禿げメロン(ベリーメロン)


 その日もエリアルは影霊衣の里の外れにある一軒家で一人で過ごしていた。

 わざと人目を避けるかのように建てられたその場所は、事実訪れる者はほとんどいない。たまに訪れるのは彼女の旧知の仲であるエミリアやアバンスくらいだ。

 過去の戦乱にて命を落とし、その亡骸を真空管に保存されていた彼女はシャドールによる大戦の終わりに生者として解放されるに至った。

 目覚めてみれば見知ったはずの幼馴染みたちが老人になるほどの時が経っていたことに当初こそ困惑したエリアルだったが、落ち着いた今ではかつての戦乱の贖罪をする日々を送っている。

 だからこそ、気が緩んでいたしまっていたのであろう。過去の自分を知る人間がいるなんて思わなかったのだろう、なんて。

 罪というものは影のように自分の後ろについて回ることを忘れていたのだ。



「じゅぷっ、ふぐっ、ん゛ぅっ……」

 昼間だというのにカーテンで閉めきられた薄暗い部屋の中で、そんなくぐもった声を漏らすのはエリアルだ。犬のように四つん這いにされた彼女の衣服は中途半端に破き去られ、その股ぐらと口にはそれぞれ太く黒々とした男の象徴が挿入されている。

 エリアルを犯す二人以外にもさらに数人の男が部屋に陣取っており、エリアルの痴態を下卑た目で眺めていた。

 エリアルの身体中にこびりつく乾いた精液が、すでに長い時間彼女が犯され続けていることを物語っている。

(もうどのくらい……時間が経ったのかな……)

 始まりは昨日の夜中だっただろうか。エリアルが夕食を済ませ、そろそろ就寝しようとした頃に玄関の扉がノックされたのは。

 ここに自分がいると知っている者は少ない。それもこんな時間に誰が来たのだろう?そんな疑問も当然抱いたが、何か緊急の用事があったのかもしれないとエリアルはその扉を開いてしまった。ここに来るのはいつも知人だけ。そんな認識が扉を開かせてしまったのである。

 しかしそこに立っていたのは数人の男達。その異様な雰囲気はエリアルもすぐ察知したが、それよりも男達の手が早かった。エリアルが杖を構えるよりも早く男の拳がエリアルの鳩尾に突き刺さったのである。腹部を殴られ痛みに悶絶するエリアルが、襲いかかってくる男達から逃れることなどできるわけもない。

 当初こそ必死に抵抗をしたエリアルだったが、男達から容赦なく振るわれる暴力にやがて屈してしまった。全身にできた青アザや生傷の数々が、その凄惨さを物語っている。

 さらに

(ボクがわるいんだ……)

 男達はエリアルのことを知っていた。その過去の諸行のことも。どこかで聞いたのか、或いはエリアルが過去に犯した殺戮の遺族だったのか。それはエリアルにはわからない。しかしそれが事実であることには変わりないのだ。過去の自分は命令されるままに何も考えず、戦争に荷担していたのだから。

 これはきっと罰なのだろう。あんなことをして平穏に生きようとした自身への。

 そう考えてしまったエリアルは一切の抵抗ができなくなってしまった。

 そんなエリアルに満足したらしい男達は次々と彼女の身体を欲望のままに貪り始め、そして今に至る。

「ぐぷっ、ん゛ぶっ、んぅぅぅっ!?」

 もはや何度目かもわからない射精がエリアルの喉に放たれる。吐き出すことは許されない。すでに精液で満たされたエリアルの胃は拒絶しようとするが、飲みきらなければまた拳が飛ぶだろう。無理やり飲み干すうちに目尻からまた溢れた涙は、赤く腫れた目蓋に沁みさせた。

 そして数秒遅れて膣内を犯すペニスもその欲望を放出させる。結合部から溢れおちた精液の水溜まりがどれだけエリアルが犯されてきたのかを物語っていた。

「はぁっ……はぁっ」

 二本のペニスが引き抜かれるとエリアルは力なく床に倒れ伏した。もはや四つん這いでいられるほどの体力すらないのである。色んな体液で汚れきった床は酷く不快な感触になっているだろう。だがそれすらもエリアルは感じる暇はない。

「もう……むり……ゆるし、て……」

 掠れた声で、許しを乞う。体力はとっくに限界だった。もはや身動ぎ一つエリアルにはできない。

 だがそれを許す男達でもない。次に近寄ってきた大柄な男は倒れ伏すエリアルの細い首にその太い腕を回すと、力任せに彼女の身体を抱き起こす。

「あ゛ぎっ……い、きが……」

 胸板と挟み込まれるように腕で首を締められ、息がまともにできない。ただですら疲労や凌辱によって体力の尽きかけていたエリアルにとって、それは本当の生命の危機だった。しかし抵抗する体力すら失くしているエリアルには、脱出のために暴れることすら許されない。

 そしてそれだけでは終わるはずもなく。

「い゛ぎっ……!?」

 呼吸が難しくなり、痙攣するエリアルに男はそこ杭のようなペニスを一息に突き入れた。

 生命の危機を感じたエリアルの身体は酷く硬直しており、すでに慣れきったはずのペニスを強く締め付ける。

「う゛ぎっ……あ゛っ……」

 男はそれを狙っていたのだろう。腕で彼女の首を締めながら男は腰を動かし始める。ペニスが突き入れられる度にエリアルは悲鳴にもならない声を漏らし、呼吸を求める身体は少しの酸素を求めて息をしようとする。

(これ……ほんとうに……しんじゃう……)

 幸いだったのは突き上げられる瞬間だけ、空気を取り込む隙があったことだろう。しかしそんな量などたかが知れている。酸素を求める肺が激痛を生み出し、苦悶の表情を浮かべるエリアルを男達はゲラゲラと笑っていた。

「ぴぎっ……い゛っ……」

 エリアルの意識が飛びそうになる中で、男のペニスが大きく膨らむ。

 皮肉にも膣が収縮でペニス強く締め付けたおかげで射精が早まったのだろう。最奥で再び大量の精液が放たれたのはすぐ後だった。

「げほっ……はぐっ……おぐっ……ごほっ……」

 ヘッドロックが解かれ解放されたエリアルは再び力なく床に倒れ伏す。嘔吐するかのような荒い息が、本当に死ぬ寸前まで追い込まれていたことを強く示している。

 もはや身体はピクリとも動かなかった。もしこのまま続けば凌辱が続けばやがて自分は二度目の死を迎えるだろう。

「さ、い……ごめ……なさ……ごめ……ん……なさ……ぃ」

 もはやうわ言のように呟きながら、エリアルは覆い被さってくる次の男を力なく見ていることしかできなかった。



 後に異変を察知した者によってエリアルは救いだされることとなったが、長時間の拷問じみた凌辱はすでに彼女の心を破壊していた。

 起きている時はずっとうわ言のように謝罪を繰り返す友人を見るたびに、エミリア達はエリアルを一人で暮させてしまったことを強く後悔したという。

Report Page