ウタのビブルカード概念2(アラバスタ)
「ほら、ルフィ」
アラバスタの海岸。
エースは懐から取り出した、綺麗に折り畳まれた紙をルフィへと投げ渡す。
「ん?」
「そいつを持ってろ。ずっとだ」
ルフィはペラペラと折り畳まれた紙を開き、ルフィの肩に乗ったウタも覗き込むがそこには特に何もないただ真っ白な紙きれだった。
「なんだ。紙きれじゃんか」
「そうさ。その紙きれがまた俺とお前を引き合せる。いらねえか?」
「いや、いる。いるけど…」
「どうした?」
「いや、何でもねえ」
ルフィにしては歯切れの悪い言葉。ルフィはこのやり取り自体にどこか既視感を覚え首を傾げる。
しかし、何でもないとルフィが言うとエースは納得しそのまま麦わらの一味へと別れを告げ、出発した。
エースと別れてから少しした頃。
ルフィは被っている帽子を手に取りリボンの内側をゴソゴソと探す。すると、すぐに目当ての紙が見つかった。
「あったあった!」
「なんだそりゃ?さっきの紙とはまた違う…てか何だこの絵」
その手に握られている紙は先ほどエースに貰った紙とは違い、イラストが描かれている。
「へったくそねー」
「失礼なやつだな!」
「ルフィが書いたのか?」
「あぁ。俺たちのマークなんだ」
「俺たちって、誰のよ?」
「……さあ?」
「おい」
仲間たちに問いかけられるが当の本人は首を傾げている。
そうしていると、唐突にルフィの肩に乗っていたウタが飛び出し、その紙を…正確にはイラストを示し始める。
「ギィ!ギィ!」
「おっ、どうしたんだウタ?」
「ギィギィ!」
イラストに向けて指を指すようなジェスチャーを繰り返すが、一味はイマイチその意図を汲み取れずにいたものの、ルフィが「あ!」と声をあげる。
「ししし、ウタもその絵が好きだってよ」
「ギィ!」
「この絵がかあ?…ん、どうしたウタ?」
「ギィギィ!」
ルフィの言葉に返事をするウタ。ルフィの言葉にどこか訝しげなウソップ。
そんなウソップのもとにウタは紙を持ったまま駆け寄り、ペチペチとイラストとウタ自身の腕を交互に叩き始める。
「もしかして、その絵をつけて欲しいの?」
「ギィ!」
ナミの言葉にウタは勢いよく返事をした。まるでその通り!と言うように。
「ウソップ!」
「いや俺かよ。まあいい、このウソップ様が完璧に仕上げてやんよ!」
そう叫ぶとウソップは何枚かの布を船室から用意し、ウタの腕にちょうど合うサイズの小さなワッペンをその場で作り始める。
「ほら、こっち来いウタ。付けてやる」
「ギィ!」
「動くなよ~……よし、完成だ!」
「あら、こうして見ると可愛いわね。それに名前も入れたんだウソップ」
「おうともよ!俺様の粋な計らいだ!」
「ししし!いいなそれ!」
「キィキィ!」
ウタは腕を誇らしげに掲げる。
その腕に取り付けられたワッペンは、ビブルカードに描かれていた新時代のマーク。
その中心に「UTA」とルフィの付けた名前がデザインされていた。