ウタと性欲
ペルコロ最近ウタの様子がおかしい。
麦わらの一味、通信士兼歌手・ウタ。
ドレスローザで七武海の一角ドフラミンゴの計画を挫き、ぬいぐるみの体から人間の体に戻った少女。
人としての成長を置き去りにしてしまった彼女が人としての感覚を取り戻せるよう、麦わらの一味は献身的に接した。
当初は血が出ると綿を詰めてもらおうとしたり、風呂に着衣のまま入ったりと混乱もあったが、一味の協力で今ではごく普通の--精神的な幼さはあるが--女性へと成長していた。
そのような経緯から、彼女は一味の全員から妹のような感情を向けられ、見守られていたのだが。
最近ウタの様子がおかしい。
一味の狙撃手曰く、ルフィと遊んでいるときにしきりに体のどこかしらをさすっている。
一味の航海士曰く、寝付きが悪く眠りも浅い。
一味の船医曰く、体調は問題ないのに赤い顔で呆けていることが多い。
現在彼らはとある島に停泊し、その宿で体を休めている。
本人は大丈夫だと言うが、人形だった時からウタと関わりの深い3人は心配でたまらない。
この島にいる間にどうにかするべきではないかと頭を付き合わせるのだった。
一方ウタはルフィと客室で、珍しくボードゲームで遊んでいた。
サウザンドサニー号の物置で埃を被っていたものを、ウタが引っ張り出してきたのである。
「やったー私の勝ちー!」
「ンググ、まだ一回負けただけだ!も一回!」
「でた、負け惜しみー!」
顔の横でウタがワキワキと手を動かす。
お互いに買った負けたを繰り返し、今のところルフィは3勝、ウタはこれで4勝目。
ルフィの言う通り「一回負けただけ」ではあるのだが、ウタはこれで2連勝だ。
ルールを理解したウタは勝利を確信していた。
「じゃあ次も私が勝ったら何か……ふわぁ……」
「ん、ウタ、眠いのか?」
「んん……そうかも」
まだ遅い時間ではないが、昼間に島ではしゃぎすぎたせいか欠伸がでてしまう。
ウタの眠気を見てとると、ルフィは先程の悔しさも何処えやら、続きは今度にしよう、とあっさり言うとボードゲームをしまう。
ウタも一人用のベッドに向かい、ふと思いたってルフィに言った。
「ねぇルフィ、今日一緒に寝ない?」
ルフィは断らなかった。
「……ウタ、なんかあったのか?」
「んーん、なんか、昔を思い出して懐かしくなっちゃって」
「昔っていつだよ」
「フーシャ村で私が人形だった時。こうやってさ、ルフィにくっついて寝てたじゃん」
ルフィは閉口した。
当時から大事な仲間だとは思っていたが、大雑把な性格故、文字通りに彼女を振り回していたことを思い出したのである。
そんなルフィの内心を知ってか知らずか、ウタはクスクスと笑いながら自身に腕枕してくれている幼馴染みの体を抱き締めた。
「……あれ?」
「……?どうしたウタ」
「ルフィ、いい匂いするね」
「そぉか?」
「うん……なんか、ずっと嗅いでいたい……」
抱き締めた体勢のまま、ウタは数度深呼吸した。
最近体がおかしい。
妙に熱っぽかったりするし、なかなか寝付けないし、何処かわからないけどムズムズする。
チョッパーに聞いても分からなかったが、ルフィの匂いを嗅いでいると、これだ、と思えた。
「ウ、ウタ?」
困惑した声が頭上から降ってくるが、ウタの耳には届かない。
吸い込む度にムズムズが大きくなる。吐き出す程に熱が溜まる。
両足をルフィの足に絡め、体をモゾモゾと動かす。
どうにかしないといけないのに、どうすればいいのか分からない。
深呼吸し唸りながら、動かない幼馴染みの体に自分の体を押し付けているうちに、ルフィの腰の骨がウタの股を刺激した。
「ンァッ」
思わず声が飛び出した。
初めての感覚だった。
脳を突き抜ける痛みのような、しかし幸福を感じるパンケーキの甘味のような、奇妙な快感をウタは感じていた。
もっと
もっとほしい
グリグリと股をルフィの腰骨に押し付け、ルフィの匂いを胸一杯に吸い込む。
「ンぶ、んふぅ……ンア……あっ、ァンッ!!」
初めての快感はあっという間に頂点に達した。
快感が頭のなかを真っ白に塗り潰し、多幸感のなかで、ウタは意識を失った。
その後ウタは毎夜ルフィに『一緒に寝る』ことをねだり、ルフィが不眠と幼馴染みの痴態から解放されたのは、この島を出港し、チョッパーとナミの性教育が実施されてからのことである。