ウキョウ大佐の相棒、ヘルメッポ

 ウキョウ大佐の相棒、ヘルメッポ





 



 海軍本部 黄猿隊旗下 第〇〇艦 コビー隊所属 

艦長副官兼副艦長 階級 少佐



 △△△年◯月 懲罰雇用にて海軍第153支部にて入隊

 同  年△月 特例により海軍本部所属ガープ隊に移動

               〜

 △△▢年✕月 海軍少佐昇任をもって新設部隊黄猿隊旗下

        第〇〇艦艦長副官兼副艦長に任命

 △△▢年△月 世界貴族に対する不敬罪により2階級降格

        これを以てコビー隊より除隊

        海軍犯罪捜査局に移動


 備考  ..…....….……................................。

     ...........................なお、上官に対して反抗的な態度あり。





「おやおや、ガープ中将のところの方でしたか」

海軍本部大佐ウキョウは優雅に紅茶をすすった。もうすぐ彼の新しい部下がこの窓際にやってくる。


中略


ヘルメッポは何気なく新聞の経済欄に目をやった。バイザーからはみ出す彼の眉がきゅっとよる。

「おや、何気になることでもありましたか、ヘルメッポ君?」

「え、いや。 なんつーかこの海域の株なんスけど、ちょっと妙なきがするってか.......」

(ふむ、流石はボガードさんが見ていた子だ。 目の付け所が良い...) 

「ヘルメッポ君」

「なんすかぁ、ウキョウ大佐?」

「この海域、今牡蠣が旬だそうですよ?」

「はぁ....」

「第100支部、行ってみましょうか」

....今から。

「っはぁ!?」


 略略


「剃」

緩やかに笑みの形をした口元が静かにそう音を発した次の瞬間。ウキョウの姿はそこから消え、鈍い音を鳴らし支部大佐を名乗る裏切り者の脇腹を黒く染まった特殊警棒が強かに薙いだのだった。

「あぁ、私、覇気を使うのは不得手ですが、これだけは少々心得がありまして....」

裏切り者の無粋な手から開放されたヘルメッポの髪がさらりと舞った。ウキョウ大佐。海軍の厄介者。昼行灯。そう呼ばれる男のなんと底のしれないことか.......。

「動けますか、ヘルメッポ君?」

 呻く愚か者を拘束しながらウキョウが問いかける。ヘルメッポは血が滴る腕を抑え立ち上がった。ここで引いてはコビー隊副官のいや、コビーの相棒たる名が廃る。

「当たり前でしょうが!!」

「結構」

もたついては居られない。もうすぐ海賊共がここに来る。

本部に連絡はした。

援軍が来るまで、なんとしても耐えねばならない........。


 略略略


 朝日を背に受け、援軍に来た軍艦の艦長がウキョウら二人の前に立った。肩に羽織る白白とした幹部外套の内から筒状に丸められた命令書を取り出し、恭しく開いた。

「人事発令。

......................................、以上をもってヘルメッポ大尉の処分を撤回し本部少佐の階級に戻す。また、同時に海軍犯罪捜査局局員の任を解き、第〇〇艦艦長副官兼副艦長に任命す。

と、言う訳で、前後しますが、ヘルメッポ少佐は我が隊に返して頂きます、ウキョウ大佐」

 にっこりと頬にかすり傷をこさえた若き英雄は微笑んだ。

 また遠分、海軍犯罪捜査局はウキョウ一人になりそうである。


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