イマジ沢芽のガキ大将ss

イマジ沢芽のガキ大将ss



学校の帰り道に立ち寄った公園で作業着を着た男が除草作業に精を出している。


作業帽に鮮やかな花のようなものが生えていて、そこが何か、変に見える。

男の名前は鳥花(ちょうか)。ストレリチア(極楽鳥花)。単子葉植物ゴクラクチョウカ科の属の一つ。

俺が住む沢芽市の外から来た観葉植物が意思を持ち、人間の身体を持った姿。

人間の身体をどうして持ったかについては小学生は知らなくて良い話だから知らないというフリをしておく。俺の協力関係にある其兵江ではないが、この街ではよくあることってやつだ。


俺からしたらちょっと変わった知り合いの植物でしかない。


「ハロー、鳥花。今日も暑いのに大変そうだな」

「…きみか。個体名は……宝江士九だったか。そう苦でもない」

「ふん。こんな暑さの中の除草作業とか…熱中症とか大丈夫なのか?」

「私は人間ではないではないから無問題だ」

「あっそ」


本当に苦を感じさせない平然とした顔で言われてしまった。本当に人間離れしてるな、コイツ。表情が変わらないのが何だか人形みたいだ。なまじ顔が整っていて花飾りをしているように見えるから余計にそう見える。

俺は人形は苦手だ。フランス人形とか、バービー人形とかああいう類のは…。


「どうした。何か考え事か?」

「…表情ころころ変えても何か不気味かもな…」

「何の話だ?」

「鳥花には関係ない話だよ」


関係ないついでだけど、コイツの被っていた帽子はたしか、もっと洒落たものだった気がする。

気のせいか。


Report Page