アルヴィシアさんの摩訶不思議で奇想天外なプロイキッシャーたち

アルヴィシアさんの摩訶不思議で奇想天外なプロイキッシャーたち


≪人間だった頃に所持していたプロイ≫

・命の水

モデル:勇士と若返りのりんごと命の水

材料:竜の涙

木のバケツから湧き出る水。飲むと体が活性化して温まり、凡ゆる傷や病は直ぐに治る。要は飲む仙豆。一日に湧き出る量は限られているが寒い冬にはよく飲んでいた。

【由来】

命の水:「aqua vitae(アクア・ヴィータ)」or 「quinta essentia(クィンタ・エッセンチア)」前者はラテン語の直訳、後者は中世ヨーロッパの錬金術の第五精髄から概要はwikiで


・変身の泉

モデル:兄と妹

材料:虎、狼、鹿、人の硝子体

ガラスのコップで出来た道具。コップで水を掬い、水を物や生き物にかけると虎・狼・鹿のどれかに変身し、もう一度かけると人間に変身する。変身した者は使用者に服従し、その効果は使用者が解除するまで解けない。水以外だと効果が変わり、上記の命の水でかけると幻獣や妖精に変わったりする。なお直接飲むと好きな動物にできて、真祖になった後に吸血衝動を誤魔化す為に人間に変身する事もある。

【由来】

変身の泉:「Quelle der Metamorph(クヴェレ・デア・メタモーフ)」ドイツ語の直訳、個人的に変身譚は神・人間に関わらず世界各地に存在するその中でもオウィディウスの「変身物語」から採用しました


・預言の舌

材料:魔女の歴史

舌そのものがプロイキッシャーであり、様々な物語で預言する魔女の概念をカタチにしたもの。親切な者には素晴らしい未来を、横暴な者には恐ろしい未来を与える魔女の言葉。即ち言った事を本当にする力であり、預言というより現実改変に近い。発する言葉の一つ一つが詠唱となり、夜の饗宴の様に他のプロイキッシャーの力を底上げも出来る。

【由来】

預言の舌:「Venefica Ex Ors(フェーネフィカ・エクス・オース)」魔女のラテン語訳でもっといいのがありそう


・黒白鳥

モデル:鵞鳥白鳥

材料:ライ麦パン、りんご、プディング、ミルク、鵞鳥と白鳥と渡鴉の羽、自身の血

偵察用の二羽の使い魔。名は鵞鳥がフギン、白鳥がムニンと言う。探す事に関しては飛び抜けて優秀で、魔術や神秘による結界すらすり抜けて探し物を見つけ出す。モデルが「鵞鳥白鳥」の関係でかまど、りんごの木、岸、川を認識し辛く、此れらが二つ以上揃うとその場所を知覚出来なくなる。

【由来】

黒白鳥:「Riversi Raven(リバーシ・レイブン)」19世紀のイギリス発祥のボードゲームのリバーシ(日本のオセロ)から取りました。鵞鳥白鳥が元ネタですが二羽の名称からオーディンのワタリガラスが源流だと思ったのでカラスを意味するravenに


蝋燭の童女「Little Nancy Etticaot(リトル・ナンシー・エティコート)」

本体:白い蝋燭/燭台

材料:蜜蝋で固められた鳥の羽根 自身の血 藺草

モデル: リトル・ナンシー・エティコート(マザーグース)、イカロースの翼

白いペティコートを着た少女の形をした蝋燭とゴシック調の燭台。燭台に蝋燭を取り付け、火を灯すことで建物内部での魔術を含む文明に基づく自身への加害を禁止し(文明そのものの行使は可能)、蝋燭の火が消えれば元に戻る。実際には神秘によって強制力を持たせているためより強い神秘には命令できない。元々ギリシャのイカロースの逸話より『人間が生み出した技術への過信を、戒めるプロイ』であったが、クリスマスでの蝋燭の火が持つ効果に着目したアルヴィシアが改良し現在の形となった。この蝋燭は実際に動くし、喋るし、談笑してくれる。

アース的には魔術師払いに最適なので地表の邸宅に置いて置くぐらいお気に入りのプロイ


「喜びの残響(bleibet meine Freude)」(ブライベト・マイネ・フロイデ)

材料:父の遺品、思い出、恋の喜び

数少ない遺品、父が使っていた古いヴァイオリンをプロイキッシャーにした物。そして彼女がアースに拾われてから最初に作ったプロイである。その効果はただ一つ、『自分の心を聴いた相手に伝える』だけ。父と母との美しい思い出、唐突な別れへの悲しみと苦痛、そして新たな出会いへの喜び、そんな自らの想いを拾ってくれた想い人に伝える為だけに作ったのがこのプロイである。

しかし、恋心だけは伝わらなかった。聴き手が理解できない感情は、このプロイでは伝えられないのだ。



≪真祖化してから創ったプロイ≫

・十三の騎士の影

モデル:シャルルマーニュ伝説

材料:ジュワユーズと呼ばれていたらしい剣の一つ、自身の爪

ちっちゃな剣のペンダント。刺すとそこから影の王が出てくる。王は基本動かずかっこいいポーズをしてるが王の影から十二の影の騎士が這い出て王を守護し敵を打倒する。十二の影は倒されてもまた王の影から這い出てくる。止めるには十二の影に守られている王を倒さねばならないが、長引くと騎士の一人がピポグリフを出して王を担いで空に逃げたりするので対空能力がないなら短期決戦が望ましい。あと十二の影を同時に全て倒すと王が一人で戦う隠し要素があり、十二騎士の力が王の中にあるのでめっちゃ強い。

王も十二騎士も影の癖に普通に喋るのでアルヴィシアは遊び相手としてよく召喚する。


・幻想の王

モデル:ゲルマン神話?

材料:母の遺体、自分の神経、星の王の血

戦火に焼かれた母の体に残ったグレートスリー、燃えて砕けたその残骸を整えて一つに作り直した至高の幻想。その効果は幻想の王アルベリヒを呼び出すこと。幻想の王とは即ち一つの神話(テクスチャ)そのものであり、王は顕現するだけで世界を変容させる程の神秘を宿し、一晩で都市を精霊の森に変えてしまう。これは固有結界云々ではなく、王の幻想の重さに現実が耐えられずに弾かれた結果であり、最終的には現実からは認識出来ない異世界(テクスチャ)に置き換わる。異世界の中には現実は一切ない。1+1が11になる様な異常領域に物理法則の入り込む余地はなく、生命も物質も全て幻想に変わっていく。使用者は王を呼び出すしか出来ないので一切の制御が効かないが、本人曰く「母の形見代わりとして作成したのでそもそも地上で召喚する気はない」との事。

呼ばれた幻想王アルベリヒは伝承と違い、鵞鳥に乗った子供好きな老婆の姿をしている。星の内海だと真祖や妖精によく読み聞かせをしている。


・誰かの為の世界(メルヘンシアター・トミーサム)

モデル:世界名作童話劇場、マザーグース

材料:童話の原本

古い本のプロイキッシャー。本の目次に作品のタイトルを書くと絵本として書き足される。子供が見るお話なら古い詩だろうと新しいアニメやゲームだろうと書き足せる。本を開きそのページに書かれている物、或いはキャラクターを取り出して使役し、若しくはページの中に閉じ込めて物語を追体験させる事もできる。要はほぼナーサリーライム。

しかし、上記の幻想の王と合わせて発動するとその性質は大きく変わる。この本の中に入った状態で幻想の王を呼び出すと、本の中が幻想の王の領域になると同時に王はグースおばさんに名乗りを変える。そして本に幻想と神秘が満ちると、弾かれる現実が存在しない空想世界にグースおばさんの力でカタチが宿り、本の中の物語の続きが始まる。つまり、本の中に新しい世界が生まれるのだ。一度生まれた世界はグースおばさんが居なくなろうと止まらず、何よりアラヤはこの本を観測できないので編纂も剪定もが存在せず、魔力が尽きるか本を壊すか文字通りのお終い(絶滅)にならない限り続いていく。

これこそが第一魔法の果て、空想を書き記し肯定する神秘の極地。即ち、正真正銘のワールドメイキングである。


・『月の光 (Fetes Gallantes)』(フェテス・ガランテス)

モデル:艶なる宴、月の光

材料:叶わぬ初恋

オルゴール型のプロイキッシャー。発動すると「月の光」が流れ、曲を聴いた者は「かつての恋」を思い出して動けなくなる。対処法は「今好きな人」を思い浮かべる事、そうすれば体が少し動かせるのでその間にオルゴールを止めれば効果も停止する。

だが月夜に使うとその効力はより強大になり、心の強い者ほど強く永く、凡ゆる愛の区別なく月の光に囚われてしまう。こうなると最早抗う手段は、朝が来るまで月の光が当たらない場所で耳を塞いで僅かに意識を保つしかない。

嘗ても今も関係なく、愛を抱くなら神様だろうと月夜の光に魅入られる、それがこのプロイキッシャーの本質である。


或いは、生涯で一度も誰かを愛した事がない者ならば、このプロイキッシャーは何の意味もないオルゴールに過ぎないだろう。


・「鳴り響く小さな悲壮(Piano sonate pathétique)」(ピアノソナタ・パテティック)

モデル:ピアノソナタ第8番

材料:自身の涙、月の王の髪

本体:楽譜

上記の「喜びの残響」の改悪版。普段は楽譜の形状だが楽譜を開くとアップライト型のグランドピアノ(矛盾)が出現する。譜面には今一番弾きたい曲が書いてあり、それを弾くと自らの感情をそのまま叩き付けて強制的に相手を自分と同じ情動を抱かせる(楽譜と違う曲を弾くと唯のピアノとして使用出来る)。弾く者の情動が濃く演奏が力強くなる程に効果は増し、最後には洗脳と大差ない精神干渉具に成り果てる。思いを「伝える」のではなく「押し付ける」という、楽器としては文字通り「改悪」であり、もし憎しみや殺意を込めてしまえば灰色の男の宝具と同じ様に聞き手の心と体を破壊しかねない。例え強引であろうとも己の情動を相手に理解して欲しいという強い願望で創り上げたのがこのプロイキッシャーである。

しかしこのプロイは弾き手が聞き手の精神を凌駕する程の情動が必要で、相手が遥かに強大な精神を持つ場合は押し付けようが無く、結局は思い人に何も伝わらなかった。

魔道具としては強力だが、プロイとしても楽器としても改悪で終わってしまったのだ。


ちなみに月の王の髪はルージュとケンカした時に引きちぎった物を使用している。



・『極夜の大渦潮(Mørketid Malstrøm)』マルケティー・メイルストーム)

モデル:メイルストロム(スカンディナビアの大渦潮)、クラーケン、極夜、人類における『渦』

本体:黒い潮水

材料:北海の巨大古代種(クラーケ)、極地の月女神(マノ)の遺骸(ラップランド神話より)、自身の血

竿が刺さった瓶の中にある黒き潮水、黒き渦、混沌の回転。グレートスリーに匹敵するプロイキッシャーである。結界内に神代並みの濃密な魔力を含んだ黒い大渦潮を創り出し、その中にはかつての混沌と称されたかつてのあらゆる幻想が渦巻いている。この中は原初の混沌そのものであり、そこに存在する者は存在するだけ飲み込まれ混沌へと霧散する。「渦巻」という物は常に拡大し続け、同じ地点を通る事はない。故にその中心に座する者は道を誤らない。そのため、プロイの所有者にとっては秩序正しい〈宇宙〉であり、挑戦者にとっては無秩序(混沌)となる

つまりは、自分以外全員を霧散させるという無理ゲーである。常に拡大するという渦の性質上時間が経てば経つ程対処が難しくなる性質持ち、しかし神代の幻想が渦巻くこの渦を正確に認識できるのならば自身が混沌へと霧散しなくなる。

この材料となったクラーケ(サルトス)はルゥと対峙した個体と別であり、ラナの古城に生息していた個体でアルヴィシアの友達()として黒き渦の中で生きており、黒き渦の調整を行っている。因みに瓶の中は割と快適らしい

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