アルフル発散H
ある日の夜。呻くような声で目が覚めた。外から微かに聞こえるそれは、野犬などにしては弱弱しい。何か問題があってはいけないので、寝床から起き上がって音の発生源に向かう。発生源はエクレシアが連れている少年アルバスのテントからだった。
「フッ……フッ……」
こっそり覗くとアルバスが蹲っていた。病気かと思ったがどうやら違う。寝床の布切れを丸めて跨り、腰を振っているのだ。まぎれもない自慰。ここに至って、私は一つの結論を導き出した。
「そうか発情期か」
「……ッ!!!??」
こちらに気付き飛び上がるアルバスを前にしても頭は冷静だった。私の祖国ドラグマで言う所の邪教徒__獣族・獣戦士族・鳥獣族には発情期があった。発情期に彼ら彼女らは興奮状態に入り、異性同士でまぐわうのだという。そうした習性もドラグマでは不浄とされ忌み嫌われていたのだが、今回の本筋ではない。竜へと成るアルバスの力を考えれば、同質の状態になっても何らおかしくない。当のアルバスが直ぐに周りを片づけて寝ようとするのを引き留めた。
「無理するな。精神的にもきついのだろう?その状態ではいくら目を閉じても寝れまい」
「でも、いくらしても収まらないんだ…」
項垂れるアルバス。見れば彼の股間のモノは未だ元気に脈打っており、収まる気配が見られない。そこで、私は一つ提案をすることにした。
「分かった、私が発散させよう。行為をすればそれも収まるだろう?」
「!?流石にそれは…」
「お前の為だけではない。エクレシアの為でもある」
「エクレシアの…」
そう、個人で完結するなら私は何も言わない。だが、獣人の発情期は理性を奪い異性を襲うほどの衝動だ。それがアルバスの傍に居るエクレシアに向かうのは自明の理。確かな信頼で結ばれた二人の関係がレイプまがいの行為で崩れるのは何としても避けたかった。それを説明すると、さしものアルバスも首を縦に振るしかなかった。
「どれ、見せてみろ」
アルバスの股間を観察する。浅黒く血管が浮き出たソレはグロテスクでいて、なんだか引き付けられるものがあった。長さも太さも一般的な人間のソレよりは二回りは大きいだろうか。男特有の体臭が鼻につく。
「ん…ちゅ…れろ…」
口で亀頭に吸いつき、奥へ奥へと竿を飲み込む。こういう淫らな行為とは無縁な聖女でも、次代を残すための房中術は教えられている。実践するのは禁じられていたが、今や身を縛るドラグマの掟もない。他の者は寝静まっているから、遮る者もいない。私はひたすらに舐め回しながらアルバスのモノを射精へと導いていった。すこしすると口の中の肉棒が肥大しビクビクと震えだす。射精の時が近いと悟った私は、止めとばかりにピストン運動を開始する。
「も、もう…ぐっ!!」
「ん!?んんんんん…!」
アルバスの呻きと共に口内で白いマグマが爆発する。次から次へと吐き出されるそれは、どんどん飲み込んでいかないと窒息してしまいそうだった。数十秒の射精ののち口を話すと、アルバスの陰茎はすっかり縮んでいる。
「また何かあれば呼んでくれ。今日みたいに処理するからな」
「…恩に着る」
私は口元を拭った後、立ち上がってテントを後にした。まだドロドロの白濁が食道にこびりついている感覚がある。これがエクレシアに及ぶのを防げたのは上出来だ。一先ずの安寧が約束されたのだから。それにしても凄い射精量だった。あれだけの寮が中に出されていたらきっと…。
「馬鹿らしい…」
淫らな思考をシャットアウトし自分のテントへの帰路に就く。下腹の奥が、キュンと疼いた気がした。
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その後暫くの間、断続的に起きるアルバスの発情期に合わせて姓処理を行ってきた。抜いてしまえばアルバスはエクレシアを襲わない。それで終わり。そんな甘い考えが出てきた頃、それは起こった。
いつも通り口で性処理を終わらせるも、アルバスの様子がおかしい。今まで見られなかった反応を訝しんでいると、唐突にアルバスに押し倒されたのだ。
「アルバス!?」
「フ―――ッ!!フゥ――――ッ!!」
声を掛けるも反応はない。牙を出して唸る姿はまるで野生の獣のようだ。所謂発情期の暴走。こうなってしまえば最早手がつけられない。なんとか振りほどこうとするも、巨大な獣に押さえつけられたように手足が動かない。目的を考えれば誰かに助けを求める訳にもいかない。彼が正気を取り戻すまで耐えようと心に誓っていると、アルバスは私の着物に手を掛け強引に引っ張った。着物が破れ露になる裸体。アルバスはそれに留まらず両の脚をこじ開け、ギンギンに膨張した怒張を膣口にあてがう。この行為の意図は言うまでもなかった。
「やめ……!……それは…!」
必死の抵抗も空しく、共に浅黒いモノが押し入ってくる。直後、破瓜の痛みと強烈な圧迫感が私を襲った。
「あ゛!!!?……が……ッ!!?」
アルバスのサイズは普通の人間の比ではない。その剛直は容易く最奥まで届き、子宮口を圧迫した。前戯もない、女を全く考慮していない荒々しい動き。痛みに慣れる間もなく、本能を叩きつけるようにアルバスがピストンを開始する。
「ぁぐ……!!とま……っれ゛……!!?」
痛みは次第に快楽に変わっていく。カリ首が、浮き出た血管が、ゴリゴリと膣壁に引っかかり、そのたびに電流の様な快感が脳を走る。
「う゛あ…!あ゛っ…!!あああああっ…!!」
教導軍の騎士長。最強の聖女。厳格な女傑の面影は既になく、与えられる快楽に喘ぐ雌の姿のみがあった。雄々しい雄の手にかかればこの程度。生物としての格付けがすんでしまったかのような敗北感があった。
(駄目だ…このままやられたら私は…!!)
主導権を取るべく身体を捩らせるも焼け石に水。どうすれば膣がより締め付けるのかを本能で察知し、アルバスは無意識に攻め方を変えていく。亀頭が最奥のウィークポイントを捉え、グリグリと押し付けられる。それに応えるように私の蜜壺は愛液を垂れ流しながら蠕動し、淫靡な水音がこだました。
「ひあ…んぅっふっ……んううううぅっ!!」
(私の弱いところを……的確に責められて…!)
快感の波の増大は留まるところを知らない。アルバスの逸物は限界まで膨張しており、射精まで恐らくそんなに時間はかからない。種を残す機会を逃すまいと、アルバスの手は私の腰を掴み固定してしまった。それに合わせ釘打ち機の様な獰猛なピストンが始まる。既に絶頂への道は開かれ、快楽の嵐は最大になろうとしていた。
「あっ…ほお”おっ…!?あ”っ!!ぎぃっ!?駄目だもうっ…!!いっ―――!!」
(堕ちる…!壊される…!!)
自然と両足がアルバスの腰をホールドする。既にエクレシアの事を考える余裕すらなく、自らを犯す雄から与えられる快楽を受け入れるだけの雌となった私。膣は精を求めて剛直を締め付け、射精を促した。それが最後の駄目押しとなり、ペニスから大量の白濁が発射される。それは瞬く間に膣内を埋めつくし、子宮まで流れ込んでいく。
「んああああああああああああっ…!!!ああ…はあ…」
(流し込まれてる…私の奥に…凄い…)
膣内がパンパンになる頃に、アルバスはさっきまでの激しさが嘘のように倒れこんだ。力を使い果たしたのだろう。対する私は、暫くの間中に注がれた精液の感覚を味わっていた。
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「すまないっ!!!!」
その後、正気に戻ったアルバスは私に謝り倒していた。理性が飛んでたとはいえ私を犯したのだから無理はない。私は今後近づかないとすら言いかけた彼を制した。今後のことを話す為に。
「姓処理は続ける。何回でも犯してもらって構わない」
「だが…」
「あれをエクレシアに味合わせる訳にはいかないだろう?」
そうだ、これはエクレシアの為だ。このすさまじい獣欲を向けさせないための対策だ。そう自分に言い聞かせるようにアルバスに囁く。そうでもしないと自分の良心が痛むから。子宮のどうしようもない疼きを感じながら、心の奥底に罪悪感をしまいこみ、彼女の為だと嘯く最低な女。自覚はあるが、もう戻ることはできない。あの時、雌としてのこの上ない幸福を教えられたのだから。