アルバスのチンポ気持ちよすぎだろ
エクレシアは目を覚ます。見慣れた天井にいつものベッド。自分の部屋である。
夢の中で彼女はアルバスの熱く硬い肉棒にキスをして舌で舐め回していく。彼は少し抵抗するものの、エクレシアのされるがままになった。
(でもアルバスくんのおちんちんを舐めててすごく気持ちよかった)
エクレシアは胸がドキドキするのを感じた。彼女の傍らにあるのは本の山。昨日はそれを読みながら眠ったのだ。
「これが原因なのでしょうか?」
本の挿絵には男女がまぐわうものがあった。その顔がシュライグとフェリジットの写真を貼り付けてある。女が男のものを口にくわえている。
そもそもこの本はフェリジットから貰った本の内の一冊である。本人に聞くのが一番だ。
エクレシアはその本を片手に部屋を出る。分からないことがあれば他の人に聞く。それがフルルドリス姉さまの教えである。
(お姉さま、私はあなたの教えをしっかり守ってますよ。えっへん)
意気揚々と進むエクレシアは角から曲がってくるアルバスに気が付かない。頭と頭がごっちんとぶつかった。
「イッテテ…エクレシア平気か?」
「アルバスくん、ごめんなさい。うっかりしてました…」
アルバスは立ち上がり彼女に手を伸ばす。エクレシアは彼の手を取ろうとして昨晩の夢のことを思い出した。ちょうどアルバスの股間がエクレシアの目の前にある。
(彼の、アルバスくんの、おちんちんを…)
エクレシアは生唾を飲み込んだ。夢に見たものが彼女の目の前にある。どうにかして臭いを嗅ごうと出来る限りアルバスのズボンに近づいた。
「どうした。息が荒く…ってこの本は?」
もう少しというところで、アルバスは彼女からすっと離れた。そしてエクレシアが持っていた本を拾い上げてパラパラと読む。
「ちょっとエクレシア。これってエロ本じゃ…」
「わっ…わっ…見ないでくださいアルバスくん!」
正気に戻ったエクレシアは顔を赤面させて両手を横にぶんぶん降る。まるでその姿は初心な乙女なようで、さっきまで自分が何をしようとしてたのか覚えていない。
「エクレシアのものなのか?」
「ちっ、ちがいます!この本紛れ込んでいたんです!」
「誰かに借りたのか?」
アルバスの声が若干不機嫌になっていた。エクレシアはなぜだろうと思ったが、とりあえず今は自分の誤解を解きたかった。
「そうです。私、こんな本持ってません」
「やっぱり大人の方がいいのか?」
「?」
「別に嫉妬じゃない」
アルバスはぷんすかとしている。嫉妬と言われてもエクレシアにはいまいちピンと来ないのだ。
(シュライグとエクレシアは本を貸し借りする仲なのか…)
アルバスの心情はエクレシアには分からない。
『シュライグさん、こんな本が混じってましたよ』
『エクレシア、それは…!』
シュライグの慌てた声を聞いてエクレシアはクスクスと笑った。ペラペラとページをめくって雑コラのページを開く。
『仲間をエッチな目で見てはいけないんですよ?』
『…フェリジットには黙っていてくれ』
『シュライグさんの、ここ。大きくしちゃってどうしたんですか?まさか年下の女の子に言葉責めされて気持ちよくなっちゃったんですか?』
「…いや、そこまではないな」
「?」
アルバスが首を横に振る。シュライグの部屋でエロ本プレゼント交換が行われた。そこで手に入れたメスガキ物はアルバスは何度も読んでいる。
力と技が上の相手を知恵で翻弄し勝利を収める。挑発も立派な戦法だと納得したのだ。仮にフルルドリスと再戦することになれば試す価値はあるとアルバスは思っている。
エロ本に疎い彼がメスガキ分からせというジャンルがあることも、それを実行してフルルドリスによる分からせが起こることも、今のアルバスはまだ知らない。
「アルバスくん。それで私はこの本を返しに行かなければいけませんので」
「ああ、そうだな。オレも用事があるし一緒に行く」
二人は並んで歩く。ちょっとだけ気まずい空気が流れる。
「アルバスくんはそういうことに興味あるんですか?」
「ない訳ではないと思う。そういうものにドキドキすることは分かる」
「そう、なんですね…」
エクレシアとアルバスの手がちょっとだけぶつかった。どちらの顔も少し赤くなる。手を繋げればいいななんて少し思った。
「これは俺のものではない。それに…流石に悪趣味だ」
シュライグは淡々と言った。隣にいるフェリジットの顔があっという間に青くなっていく。フェリジットはなにかを言おうとして言葉が出ない。池の鯉のように口をパクパクとさせた。
「エクレシア、これはシュライグのものじゃなかったのか?」
アルバスは首を傾げる。
「エクレシア、これは誰のものなんだ?」
シュライグは静かに問い詰めた。
「フェリジット、平気か?顔が青白い。こんなことをされて気分がいいはずないが」
シュライグは隣の青白い顔をする彼女を気遣う。
「ええ、平気よ…ふふっ、平気」
フェリジットは力ない返事をした。
「あの、違うんですっ!フェリジットさんは…」
エクレシアは言葉を繋ごうとして飲み込んだ。
「エクレシア、どう違うんだ?」
アルバスはよく分かっていない。
岡目八目という言葉がある。
当事者から見えないことも第三者の目から見れば明白というものだ。困惑するシュライグ、顔が青くなるフェリジット、誤解を解こうとするエクレシア、状況がつかめないアルバス。
この場にいる第三者はルガルであった。
大体の状況はつかめているものの、どう対処するか考えることになった。ルガルは懐からひどい臭いのする胃薬を水で流し込む。
「待て、シュライグ。このままでは悪い予感がする。一旦、話し合う場を設けたい。お前の部屋でどうだ?」
「ルガルが言うならそうしよう」
「シュライグとフェリジット、そして俺で話し合う。それでエクレシアとアルバスなんだが、アルバスの部屋で二人は待っていて構わないだろうか?」
「分かりました。アルバスくんと待ってますね」
「まず、この本についてだ」
ルガルは件の本を掲げる。
「この本のジャンルだが、主に上流階級の婦人向けに書かれた騎士との恋物語だ。まあ平たく言えば不倫している話だ。その挿絵が雑に顔写真を貼り付けてある」
「女性向け…ということは持ち主が女性なのか?」
シュライグはしばし考える。
「なるほど。キットのイタズラということか」
クソボケ探偵は迷推理を披露した。フェリジットは変なことにはならないようで安堵する。
「そうね。キットには後で私が叱っておくわ」
姉はその場にいない妹に罪を着せようとする。
(それでいいのかフェリジット。安牌だが、もっと攻めることが出来るんだぞ)
ルガルは少し考えてからまた話し始めた。
「ふうむ、一件落着という訳だな。しかしこの本は書評家たちになかなか好評らしくてな。シュライグ、この際だから読んで見てはどうだろうか?」
「そうね。すごく面白い物語だからいいんじゃないかしら。私も好きな話だし」
「二人が勧めるなら俺も読むとするか」
「いいわね。読み進めながらでいいからこの本について話しましょ。外伝とか偽書とかもあるのよ」
共通の話題があれば少しは二人の仲も進展するかもしれない。親密度は一緒にいた期間に比例する。下手をすれば関係が破綻する寸前まであり得た。ルガルは持ち直したから良しと考えることにする。
アルバスとエクレシアはルガルを待っていた。まだ大人たちの話し合いは終わらない。
「あの本、人気なのか?」
「はい。人気です。舞台脚本としても使われてます。ドラグマが市井での上映禁止処分したので私も話だけは知ってました」
「上映禁止って酷いことするな」
「問題なのは偽書だったんです。上司と不倫相手は主従関係なんですけど、それを男色の関係として描いたのがマクシムスの怒りに触れました」
「マクシムスもそういうところあるんだな」
「原典の女の歌を替え歌にして『チンポ気持ちよすぎだろ〜』って。ふふっ、下品ですけど笑っちゃいました」
「女の子がチンポなんて…」
アルバスは顔を赤らめて視線をそらす。アルバスのせいでエクレシアは変な気分になった。
「アルバスくんはその…」
エクレシアはアルバスのズボンの膨らみに気がついた。
「…本のようにしていいですか?」
アルバスは無言でベルトを外した。金属のカチャカチャする音を聞きながら、エクレシアは彼のものを想像する。今朝の夢のように気持ちがいいのだろうか。
「エクレシア、これでいいか?」
アルバスのものは大きい。エクレシアが夢で見たものよりも、さらに。
「はい…」
エクレシアは恐る恐る竜の頭に火を近づけた。先端から液体が漏れ出ているそれをじっと見つめた。
意を決して、エクレシアはそれの形を確かめるように舐め始める。味わったことのない感触と匂いに頭がクラクラした。
(夢でみたものより、ずっと…)
エクレシアは夢中で舐め続けた。口にくわえたり、吸ってみたり、彼女が思いのままにアルバスの竜をもてあそぶ。
エクレシアが上目でアルバスを見ると、彼が未知の快楽で悦んでいるのが分かった。
(アルバスくん。とってもかわいい…)
ただ彼のものを舐めているだけなのに、なぜかそれが心地よく、他の何よりも気持ちよかった。
エクレシアは口の中の彼のものを舌で這わせる。そしてアルバスの竜が少し痙攣する。
「エクレシア、このままじゃ…」
アルバスはエクレシアの口から離れようとするが、エクレシアはそれを許さない。
快楽の証がエクレシアの口の中に吐き出された。エクレシアは少しえづきながらもそれをゴクリと飲み込む。
「えへへ、アルバスくんの熱いの飲んじゃいました」
「ごめん、エクレシア」
「ねえ、もっと続きをしませんか?」
エクレシアはアルバスの男性器を指でなぞる。彼の肉棒はその存在を主張している。
ルガルはアルバスの部屋の前でため息をついた。二人の音が外に漏れている。
(若い二人の方が展開が早いな)
これ以上は野暮だとルガルは部屋の前を去る。聞き耳を立てる趣味はなかった。