アメリア_夜1-4
突然行為を止め、会話が始まったのは。
もしかしたら互いの理性のブレーキだったのかもしれない。
「っ……そういえば、ミコトくん。ちょっと、質問」
「はいっ、えと、なんでしょう、アメリア、さん……」
背に回した手でボクの黒い長髪を撫でている。
アメリアさんの金髪とはまるで違う、黒い髪。
「きれい。とても綺麗な黒い髪。
年配の方なら濡れ烏の羽の色とか褒められそう。」
「……」
「もしかしたら、ちょっと答えづらいかもしれないけれど。
どうして髪を伸ばしてるの?」
そう聞いている間も彼女の指はずっとボクの髪を弄っている。
気恥ずかしくなる。
自分自身の一部にこうも関心を持ってもらえると。
「いえ、申し訳ないですが、特に理由は無いのです。
あえて言うなら、姉と妹との思い出というか……」
「大切?」
「はい、大切です。
……いろいろ大変でしたが、家族なので。」
手入れを口酸っぱく強制されたり、
無理やり梳かされたりもしましたが。
「いいね。大切なもの」
こうしてアメリアさんの目に適ったこと。
微笑みを見れて報われることもあったのです。