アメリア_夜1-3
「そうですか。まぁ、無理強いするのも酷ですね……。」
アメリアさんはそう言ってくれた。
良かった、と胸をなでおろすと同時に疑問が沸く。
あれ、もしかしてボク妹みたいに思われてる?
そういえば距離感の近さやスキンシップにしてもそう思えば……。
それはそれで納得いかないけれど。
……。
「じゃあミコトくん、目をつむって?」
「目? はい。閉じました。なんでしょう?」
「ふふふ」
ススッと、衣擦れの音がしたかと思うと。
「えいっ♡」
予想だにしなかった暴挙。
完全に油断していた全身に、アメリアさんの身体がぶつかってきました。
たとえどんな時でも第一はアメリアさん。
そう決めているからこそ動作に迷いは無い。
今の体勢、自身の力で受け止めるのは無理。
なら自分がクッションになる形で彼女に傷を負わせないように。
しっかりと抱きしめて。二、三歩分、がんばって、背中から地面に。
直後、衝撃はふたつ。
ひとつ。背中から落ちた先が、あるいは押し倒された先がベッドだったこと。
ひとつ。受け止めたアメリアさんが。
アメリアさんが一糸まとわぬ姿だったこと。
「え、あ、アメリアさっ」
言い終わる前にバッチリ視線があってしまい、慌てて瞳を閉じる。
何も見ませんでした。何も見ませんでした。
「ミコトくんさ。見なくてもいいから。」
「は、はい。」
「さわって確かめて?」
さわる。ここからさわるとは。
アメリアさんは、力を入れてより密着してくる。
目で見なくてもわかる、互いの吐息が触れ合う距離。
背中に回された手がゆっくりと背骨をなぞる。
繰り上がってくる未知の恍惚をなんとか我慢しながら、同じように相手の背を撫でる。
同じように感じているのか。時たま、アメリアさんの身体が跳ねる。
熱くなっていく互いの吐息、鼓動。
これは、流れに任せるのは、たいへん。