アバンスとエミリアの幸福
エチチ闘技場の元・作家あの激しい動乱が終結し、各地の復興のためにアバンスとエミリアが尽力する日々、そのわずかなひと時……
恋人たちの姿は安宿の一室にあった。
「すまない。あまりムードのないところで」
「安上りなのはいいことじゃない」
一緒に水浴びをし、互いにタオルのような布切れを身に巻き付けただけの格好での親しんだやり取り。
ウィンダのものと違って布切れ一枚で隠し通せてしまう自分のふくらみが高鳴り弾み、内ももが自然と期待に汗ばむ。
復興作業によって鍛えられ引き締まった腹の奥の奥もあらぬ期待に微熱をため込んではもだえている。
建前上はアバンスがしばらくこの場所に滞在するための宿探し。実際は……
「その分、頑張るからさ」
「……ふぁぁぁ」
実際は愛しさを捧げ、肌を重ねて寂しさを埋め合うため。わき目もふらずに目についた近場の宿に身を寄せた。
「石鹸の匂いがする」
アバンスはいつも、抱き合うと背後から顔を寄せ、髪に触れてくる。
「……どんな髪が、好みなの?」
尋ねてしまってから、自分の髪を誰のものと比較をしているのかに気づきハッとする。
「お前なら、何でも好きだ」
「んっ……」
その言葉にホッとして嬉しくなってしまう。頬の火照りを自覚して気恥ずかしさが増してしまう。
そうして彼が髪の匂いを嗅ぐ、そのわずかな刺激にすら悦び、切なくなってしまう。
「くぅ、ンッ……」
「うなじ、本当に弱いな」
「アバンスが……そうさせた、くせに……♥」
いつものように鼻をうずめられ、くすぐられて、軽くキスされて甘い響きを漏らしながら、骨の髄まで実感させられてしまう。
この時、この瞬間だけは、彼に惚れている只の女でいられる……。
「顔、こっちに向けてほしい」
ベッドの上、背中を預ける彼からの甘い囁き。同時に、彼の股間に座らせた女の芯が潤うのを感じて。
「ン……」
恥じらいと喜びをないまぜに、はにかんだ顔を彼のすまし顔に寄せた。
「ちぅ……っ、れちゅぅぅ……っ」
ぴちゃぴちゃと、すぐに割り入ってきた彼の舌とした先でふれあい、唾液を絡め吸い付き合う。
(ふ、ぁ……き、たぁっ……)
背後から回された彼の手が、布越しに胸のふくらみを揉み立ててきた。
相変わらずの優しい手つき。その愛撫に、思わず疼いた腰が軽く持ち上がり、ひとくねり。
うるさいくらいに響く胸の奥の鼓動が彼の耳にまで届いているだろうことにますますときめきを強める。こんなにも彼を待ちわびていた己を自覚してより肉の悦びへと浸かり込む。
「エミリア、また胸大きくなってないか?」
「そ、んなこと……っ、ふぁ!そこに口付けないでっ」
スピリットとして復活を果たしたこの身体が変化するはずもない。
それでも彼はまるで普通の女を扱うみたいに首筋に優しいキスを連ねてくれた。
「ん、くぅっ……本当に」
「……?どうした?」
ぷいと顔を背ければ、すぐさま追いかけて様子を伺おうとする。
「本当に、バカ……」
こんな、身体も貧相なうえに洗脳されていたとはいえあの動乱の原因となった人の娘を構いたがるなんて、本当におせっかいで……底抜けの馬鹿だ。
「ひどいことを言うな」
「……誉め言葉よ、本当にバカね」
か細い補足の声に応じてまた首筋にキスが降る。お礼とばかりに強く、あざが残るほどに強く吸われて小さな甘美が胸を突く。
「ふ、ぁ……」
腰の芯まで到達した甘い痺れに、陶酔した喘ぎが漏れ出てしまう。
「もし大丈夫だったら、お前の顔を見ながらしたい、と思っている」
「……私は、後ろから抱かれる方が安心する」
布切れの結び目をいじりながら囁く彼と問答をする。
「そうか」
そうして毎度同じ答えを引き出しては恥ずかしがる私の表情をのぞき込み、笑顔を向ける。
本当に、ずるい男だ。
「……っぁ!そ、こぉぉっ♥」
するすると、慣れた所作で股間の隙間に右手を忍ばせてきた。そのタイミングも緩やかに焦らす手つきもすべてが愛しく好ましい。
感じる場所も弱い部分もすべて知られてしまっている。しかしそれはアバンスにも言えることだ。
「お、ぅ……っ。結構大胆だな」
尻をゆすって、谷間に丁度挟まった勃起を摩擦してやる。彼は先端が弱いから特に重点的に責めてやる。
「……取り繕う必要、ないでしょう」
「あぁ。じゃあ俺も、狼になるとしよう」
いつでも私の前では狼になってくれるくせに。その言葉はあえて飲み込んで、今は与えられる幸せに身をゆだねようと決めた。
「……もう濡れてるな」
(それも、わざと。わざと私を辱めようとして)
くちゅっ―――ぬかるんだ秘裂に浅く食い入った指先との間で湿った音色が響く。彼の言葉にあおられるまま漏れ出る蜜の量と粘り気は増していく。
「く、ぅンッ……♥」
「我慢しなくてもいい」
この身体に至福を授けてくれるこのひと時を我慢してやり過ごそうなど、
「っ……そんなもったいないこと……しないわよ♥」
彼の前では意地を張るだけ損。分かってはいるがどうにも恥じらいが先行するが答えは明白、彼に恋をしているからだ。
「じゃあ存分に楽しもう」
にこりと笑う彼のその表情に抗えない。触れるか触れないかの微妙な距離感を保って頬を撫でてくる、大きな手。
それが勝手知ったる動きで股を割り裂き、とうに湿って待ちわびる扉を浅く、焦らしつつ掘り進む。
わずかながら生えた毛をくすぐる指一本一本の動きに至るまで、すべてが女の身と心を狂わせる。
「くふ、ぅンッ……も、もぅ準備、いい、からぁ」
触れ合う部分がなおさら熱を帯び、鋭敏さを増してゆく。演技ではなく心の底から媚びた音色を漏らしてしまう。
彼との触れ合いによって、満たされなかった心の空白が急速に埋められていく。その相乗効果もあっていともたやすく波の高みは訪れた。
「あぁはっ……っ~~~!!」
幾度となく腰が跳ねる。喜びに満ちた唇が上下ともにだらしなく緩んで、彼の指にたっぷりのヨダレをまぶしてすがる。
-- ぶしっ、びゅるっ――ぶぷぷ!
痙攣する膣口から潮を噴き、
「見なっ、見ないでっあぁぁ!やっ、あはあぁうぅ!」
カクカクと、壊れたゼンマイ人形のように揺れる腰を灼熱の剛直の上でくねらせ、牡の脈動の雄々しさに酔わされてまた小さな絶頂の波にのまれる。
「い、イイっ♥……っふ、ぁ、あァ!」
それでもなんとかして気持ちを直に伝えたくて、脳天が快楽に霞むのを幸いと素直な心根を吐き出して、更なる幸せを欲しがる尻をアバンスの屹立した股間へと押し付ける。
「欲しいのか」
「は、早、くゥッ……んむぅぅっ」
言い終わるより早く唇をふさがれ、そのまま身を反転。真向いで抱き合う形でともにベッドに寝転がった。
(あぁ、やっと……っ♥)
逞しい腕とやせ型なのに分厚い胸板に組み敷かれた肢体が、火傷しそうなほどに熱く硬直した彼のモノと触れ合い、期待に浸かって悶々とする。
まだ身の奥にくすぶる絶頂の余熱が牡の熱に炙られ、かすかな身じろぎさえ甘美な衝撃へと変えて無防備な裸体の奥にまで突き刺さる。
「くぅ……っ、あ、あぁぁっ……はや、くゥゥッ♥」
はらりとほどけた布切れが体の舌から引き抜かれ、とうとう身を守るものが無くなっていく。
「今……いく」
ぐちゅり、とひと際派手に伝わった肉のヨダレが絡む音色に耳を犯され、傘の張った硬く熱い肉の先で割れ目を押し開けられる。その感覚だけで小さな高みへと押し上げられる。
(ひぁっあ―――っ!感じ、すぎちゃっ、あふ、う!うぁッあひあああああ!)
飛び始めていた意識が快感衝動で揺り戻され、また白熱に痺れて吹き飛んでいく。
連続で果てても息切れを起こさず、続けて幸せに浸ることができる。今のカラダでよかったと思える数少ない瞬間だ。
「そぉ、らッ……!」
ズブズブと長大な肉の楔がぬかるむ膣肉を掻き分け、一息に奥へ押し入ったとたん、
-- ずちゅっ!!
「あぁあぁあっ!深っいィッ♥」
子宮口まで届いた亀頭がノックをするように小刻みな律動を繰り返す。
「ここ、好きだよな」
「す、好きぃっ……そこっ、いいっ、あっくぅうぅううう!」
小刻みに痙攣を続ける肉ヒダがけなげに牡肉に吸い付いたまま蜜を分泌し続け、グッと腰を押し出した彼の顔と真正面で向き合って、気づけば唇を捧げ合っていた。
「んッ……ちぅ、ぅっ」
ピチャピチャと響く唾液の咀嚼音が火照る肌を更に火照らせ、キュンキュンと股奥の器官が切なげに泣く。
ぬめる膣肉を扱きたてながら最奥まで突きいった亀頭によって強めの一撃を咥えられた子宮が歓喜に震え、また果ててしまう。
「ん、ふ……っ、ちゅ、ちゅぅっ♥もっ……と」
もっとキスをしてほしい――言い終える前に彼の唇に吸い付いて舌を絡め、唾液を好感しては喉を潤して腰の奥を疼かせる。
率先して腰を押し付け、アバンスからの突き上げに合わせることで、より強烈な衝動を子宮に浴び、深く溺れていく。
それと同時にドロドロの膣肉が伸縮して牡肉を締め付け、大量の先走り汁を搾り取っていく。
「奥にッ、びゅ、びゅってかかって……るぅ……♥」
「強く吸いつかれて……食いちぎられそうだっ……!」
お互いが相手の生殖器官に捕食されているかのような錯覚に陥りながら、その劣情の命ずるがまま、ただひたすらに腰を、舌を、そして唇を押し付けて絡み合う。
(ヌヂュヌヂュ混ざり合う、私とアバンスの、スケベな汁の音……っ♥)
子宮口と亀頭がキスをする甘美な衝撃に合わせてお互いの腰に響く粘濁音。
卑しくて浅ましくて愛おしい。膣内に根を張った肉傘に抉られるその摩擦熱の刺激による過敏反応で片づけるには狂おしすぎる、かけがえのない感覚だ。
(アバンスの腕の中にいるときだけ、っ、安心……できる)
依存。恋慕。あるいは―――呼称など何でもよかった。今感じているこの胸の奥がひどく焼け爛れたような強烈な感情。それだけが本物なのだから。
「ん……ぢゅぅっ……」
彼の方から差し出された舌を吸った直後、視線が揺らぐほど強く腰骨を突かれ、眩暈とこらえきれない嬌声が噴き漏れる。
「はっ、ぁぐぅぅ!強っ、いィッ!」
「強めなのが気持ちイイ……だったろ?」
ひと突きごとに揺らぐ身に宿る痺れに背筋が震え、子宮が悦びにあふれる度に実感させられる。
アバンスから離れられない。離れたくなどない。
「ひぁっああぁぁァァ……♥そ、ぉだ、からあっ……も、っとォォッ♥」
突き上げられた腰が浮き上がり、生じた隙間を埋めるように肉棒が伸びて子宮を目いっぱい押し上げられ心の殻まで破られる。
取り繕いもせずはしたない嬌声を張り上げ、舌を突き出し垂れた唾液で口元を濡らす。細めた目じりまで垂れ下げる無様な牝のイキ顔を晒し、
「ッッ……!」
アバンスの肉がプクリと膨れた。隙間なく張り付いているおかげでより強く感じることのできる限界の前兆。
灼けた鉄のように熱く、硬く反り返った肉の棒に揺さぶられ、受け止める膣の奥もまたドロドロと溶けだすように蜜を潤ませ、震撼する。
「出してッ!アバンスの精液ッ!出しっ、てぇぇぇぇぇっ!!」
アナタの種を、熱を、鼓動を刻みつけて、孕ませてほしい――!
まるでお腹の空いた子猫のように媚びた鳴き声で懇願し、尻を振っては咥え込んだ肉幹を摩擦して先走りの露を飲み込んだ。
甘く疼く胸を彼の胸板に押し付けて腰の動きに合わせてズリズリと、肉と肉のぶつかる甘美が被さり、瞬く間に。
「いぐ……ぅぅぅっ」
「ああ、すぐにッ……!」
絶頂を知らせる言葉を吐き出して、抗えぬ衝動に浸る。
それに呼応した肉幹が雄々しく飛び跳ね、押された子宮がそれでも下がって、より間近で子種を浴びようと亀頭に吸い付いて寄り添う。
吸い付かれた肉の切っ先、亀頭はまるでいななくように鼓動を強め、狭い膣内をせり上がっていくとともにきしむベッドのスプリングに二人分の粘ついた吐息と濁音の音色が重なっていく。そして……
-- びゅるぅッーーー!
「ひぁッあくぁぁぁぁぁっ!き、た、ぁぁぁぁっ♥」
爛れた熱気を備えた白濁液が寸分の狂いなく子宮の入り口を打ち据えた瞬間、尖り立った両乳首と淫核が同調して甘美に溺れ、大量の潮を噴き上げた。
牝としての悦びに弾む尻をアバンスの腰にグリグリと押し付けて、一滴も逃すまいとその種を搾り取り、全身を突き抜ける甘美な衝撃に浸りつつ、イキ果てる。
-- どくッどくどくッ!ぼびゅっびゅるるるぶっ!
「う、ぉっ……、出るっ……!!」
搾り取られるがまま噴き出る滾りを受けてまた、
「ひぐッうぅぅっ!な、かぁっ……にッ、イィイッ……ンッ!ンンンッッ~~~!!」
もっと、もっとナカに、茹だるほどに――。
愛しさを伝えるため、より多くアバンスの熱を欲したがって突き出した舌を彼の舌と絡ませ、下の口に注がれた分、お返しとばかりに彼の唇に唾液を押し込んで攪拌する。
(あぁ、あ……広が、るゥ……!)
白濁の飛沫が直接子宮に飛び込んでくる。爛れた熱と脈動に晒されるその都度、腰は大きく縦に跳ねて甘美に溺れ、すぐさま真下の彼の腰に尻を押し付け、より間近で種付けの喜びを味わおうと肉幹をこねくり回す。
隙間なく触れ合う肉棒の切っ先からジワリと粘ついた白濁が膣肉へと染み入ってくる。それがまるで幸せが身に染みてくるようにも思われて……
「いァ……ぃぐ、ぅぅっ……♥」
卑しく泣きながら、啜るように子宮口で牡肉を引き込み、精を飲む。
「おぉぉっ」
呻く彼の口からこぼれる吐息と、喘ぐ牝の唇から吐いた息とがぶつかり、絡んで混じる。まだ余韻に痺れる腰をどちらからともなく回してグチュグチュと、はしたない音色を奏でる。
噴き出た白濁に子宮を押され、脳天まで突き抜ける幸せに歓喜して再び果てる。
抱き寄せるアバンスの腕、それはとても暖かく、優しくて―――いつまでも溺れていたくなる麻薬めいた魅力に満ちていた。