アドとエースの出会い1
「エース君が寝てる間に色々聞いたけど、食い逃げして川流しにされるってほんとに何やってるの…?」
「いや~しょうがねえだろ腹減っててよぉ…。」
苦笑いしつつもエースはあまり反省していないようだ。
「そう言えばエースさんとアドさんってどこで知り合ったんですか?」
モーダのその質問にエースが答える。
「聞いてくれ。初めて会った時、俺、こいつにいきなり撃たれたんだぞ?」
「え…アドさんって本当は恐い人なんですか…?」
「エース君…💢?」
「ほらおっかねえだろ?」
「私達が滞在する島に、七武海の勧誘を蹴った大型ルーキー率いる海賊団が来ました。その海賊団は島で名の知れた山賊を数日で5つ潰しました。その後事前の連絡も無しに仲間引き連れていきなり私達のところに来たら、その大型ルーキーが私のお父さんの首を狙いに来たって考えるのが普通だと思うけどな…?」
そんなこともあったな~と大笑いしてまるで意に介さないエースに呆れ果てるも、海軍のコックをしている両親には絶対言わないのでとキラキラした目で話を求めるモーダに、エースと共にその出会いを話し始めた。
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数年前、エースがまだスペード海賊団の船長だった頃、弟であるルフィが世話になった礼をしたいと雪山を登って赤髪海賊団を訪ねた時のこと。
「…あの洞窟がそうじゃねえかエース。」
「ああ、そうらしいな。」
副船長であるデュースが少し先に大きな気配を感じる場所を見つけた。
そこに近づこうとエースが一歩踏み出した瞬間だった。
「…!お前ら全員地面に伏せろ!」
立っていたら体に風穴が空いていたであろう場所を弾丸が通過していった。
「少し離れてろ。」
「おいエース!やっぱりやめておいた方が――――」
そんな言葉を他所にどんどん進んで行くエースの視界に、吹雪きの中うっすらと人との影が見えた。
その瞬間、球状のサークルが広がり、吹雪の音が消えた。
(…能力者か。)
鋭い気配を感じたエースは身構える。
「七武海の勧誘を蹴った噂の大型ルーキーさんが、私の父に何の用ですか?」
剣呑な雰囲気を纏った声の主が現れた。
「私の父…?おいエース、あいつ蜃気楼のアドだ…変な気は起こすんじゃねえぞ…!」
「へ~ぇ、四皇の娘が俺のことをご存じとはなぁ。」
挑発気味な言葉を発した両者を見て、デュースの肝は冷え込んでいた。
改めてアドと向き合い、エースは名乗った。
「俺はスペード海賊団船長、火拳のエース!赤髪海賊団船長、赤髪のシャンクスに挨拶をしに来た!戦うつもりはない!」
アドはエースを見定めた。睨み合う両者だったが、息を吐いたアドが銃を腰のホルスターに差した。
「嘘はついていないみたいですね。」
「分かってくれたみたいで何よりだ。」
ひと悶着あったものの、エース達は赤髪のシャンクスがいる洞窟にたどり着いた。