アザレア編

アザレア編


人がAIの奴隷であることに疑問を持ったアザレアはマイクロマシンの支配から逃れ自身の計画のために邁進しようとした矢先にシトリスと名乗るカーマでもスペクトラにも属さない人の形をしたなにかに遭遇する

「お前はいったい?」

「私は人でも機械でもない蟲惑魔、人を食べる生き物。あなたが知らないのも無理はないわ」

シトリスはアザレアを見下ろしながら答える

「あなたにはついてきてもらいたいの。あの子の幸せのために」

「ボクがお前に従うと思っているのか?……エンゲージ!」

アザレアは攻撃を仕掛けようとした瞬間手が震える

本能的にあの生物が人間の天敵であることを感じ取ったからだ

だがそれを振り切りアザレアは刀を構えて斬りかかる

「足元には気をつけないとダメよ」

「なっ!?」

アザレアは一歩踏み出した瞬間地面は崩れ穴が現れる

「あなたはもうあの子のもの。喜んでくれるかしら」

目を覚ましたアザレアの足場にあったのは粘着性のある葉であった

そのせいかじわりじわりと力が抜けていくのを感じる

直接的な痛みはないもののそれはかつて植えつけられたマイクロマシンと同じ不快感

を与える

「おはよう、目覚めはどうかしら?」

「くそっ」

アザレアは刀を振るうおうとするがシトリスの葉によって抑えつけられる

「ダメよ。ここでこんな物騒なものを取り出したらあの子がびっくりしちゃうから」

シトリスの口調は穏やかだがその目はアザレアを殺すこともいとわない冷たい光を宿している

「悪いようにしないわ。……いいこにしてればね」

するとシトリスは手を叩くと彼女によって捕らえられ性玩具となった女性たちが一斉に視線を向ける

「今日は新しい子が来たからちゃんと説明するね。寝たらだめよ」

シトリスの軽い言葉に反して漂う重い空気にアザレアは息を吞む

・男の幸福はなによりも優先されること

・シトリスによって捕らえられた性玩具たちは男に指名をうけたら必ず応じること

・性玩具たちは男を甘やかし褒め称えていい気持ちにさせること

・性玩具たちは男を満足させるために愛をもって奉仕すること 

・男を怖がらせたり、不快にさせることは絶対にしてはいけないこと

・性玩具同士の私闘や妨害行為は一切禁止とすること

その他様々なルールをシトリスは説明していく 

「………」

アザレアの中でシトリスへの敵意と憎悪が湧き上がる

支配を受けることはアザレアにとって最も屈辱的なことだった

「でね、ちゃんといい子にいてないとこうなっちゃうの。じゃあ今から間引きね」

間引きという言葉を聞いた瞬間、性玩具たちの表情が凍りつくと一人の女性がシトリスの葉によって溶かされ瞬く間に骨だけの姿になった

女性は元キープであり前の男からは積極的な奉仕を評価されていたが今回はそれが仇となり怯えさせてしまったのだ

「あなたたちはなんのためここにいるの?あの子とエッチするため?違うでしょ?あの子の幸せのためにここにいるんでしょ?あの子の気持ちに寄り添えない子は必要ないの」

シトリスの声と視線がより鋭くなる

恐怖のためか女性達は震えながら頷いている

「機械の次は化け物か……」

アザレアは静かに呟く

「これはね、とても大切なことなの。なにがよくて、なにがだめなのか、それをちゃんと知っておかないとどこかで決定的な食い違いがおきて、気がついたら取り返しのつかないことになっちゃうから。だからみんなも今日のことは忘れないでね」

シトリスはチラリとアザレアに視線を向ける

なにかを訴えかけるようなその視線はどこか悲しげであった

シトリスの意思に従い男に奉仕する行為はアザレアにとって屈辱以外の何者でもなかった 

だがなにもなさないまま他の有象無象と同じようにシトリスの糧になることはそれ以上に耐えがたいことであった

「ボクはこんなところで終わらない。あの化け物に木偶の坊と同じ末路を辿らせてやる」

アザレアはシトリスを打倒する決意を固める

それと同時に冷静かつ客観的に自分を分析し、次に打つべき手を考える

自身を生け捕りにするほどの力を持つシトリスであってもアザレアの閃刀システムには手を出せないのか、武器等は問題なく使用できた

その上で野放しにしているということはたとえ反逆されたとしてもシトリスにとっては脅威にならないということだろうと考える

それに今の自分は養分を吸われている

このまま時が経てばシトリスを倒すどころか生命維持すら危うい

「つまりは力押しで倒せる相手ではないということ……」

アザレアは目を閉じて深く思考を巡らせる

「ならば今は雌伏のときか…」

アザレアは野心を抑え男に尽くし成果を出してキープとなりシトリスから信頼を得ることを決めた

アザレアは支配者となる野望を実現する上でかねてより人間の身体構造や人心掌握の知識を高めており、それらを活かして男に取り入りキープとして重用されることとなった

「はぁ……ありがとうご主人様、気持ちよかったよ」

アザレアを男を抱き寄せて頭を撫でながら褒める

男はアザレアが褒めてくれるこの瞬間を楽しみにしていた

「すごいわアザレア。あなたは本当に優秀ね。とてもここに来るまで経験がなかっとは思えないほどよ」

シトリスもまたアザレアの働きには目を見張るものを感じている

「ありがとう。実はボク、こういうことに憧れていたんだ。ボクの世界では男性は絶滅してしまった。だからシトリスにここに連れてきてもらえて、ご主人様を甘やかすことができてとても幸せなんだ」

アザレアは息を吸うように嘘を吐き出しながら媚びるような上目遣いでシトリスを見つめる

「そう、あなたの願いが叶ってよかったわ。これからも期待しているから」

アザレアの瞳にはシトリスへの敵意や憎悪といったものは一切映っていなかったがその奥深くでは野心の炎が燃え盛っていた

「そうだ。ちょっとふたりでおはなししないかしら?あなたには聞きたいことがあるの」

「ボクで答えられるならなんでも聞いてよ」

アザレアはシトリスに手を引かれて奥の部屋へと連れられていく

「じゃあ質問。幸せになるために大切なことってなんだと思う?」

シトリスの質問にアザレアの表情がわずかに変わる

「愛……かな?互いを思いやる気持ち、相手を尊重すること。独りよがりではいけないと思うんだ」

アザレアは答える

そんなものは存在しないと揶揄しながら

「そうね、それも大切なことよ。でも正解はもっと単純で簡単なことなの」

シトリスはアザレアに近寄り、耳元で囁く

「それはね……諦めること」

「なっ」

動揺するアザレアにシトリスは頭にそっと手を添える

相手への慈しみに満ちた表情でシトリスは続ける

「受け取れる幸せには限りがあるの。無理をして手を伸ばしすぎると持っていた幸せを溢してしまう」

「それはどういう?」

「無理はしないでってこと。あなたはがんばり屋さんだからもっと自分を大切にしてほしいの。私にとってあなたは特別だから、代わりなんていないの。だからあまり無茶はしないで」

アザレアは溢れ出そうになる感情をグッと抑えて平静を装う

「ありがとうシトリス。心配してくれて」

「よかった、それを聞いて安心したわ」

シトリスは静かに微笑むだけだった

「あいつはボクを見下しているんだ」

シトリスから離れたあとアザレアは拳を握りしめる

「あの化け物はボクの野心を見抜いている。だから身の程を知れと言っている」

アザレアは怒りに震える だが彼女の心は折れていない……むしろ逆に燃え上がっていた

「あんな化け物の思惑通りになどされてたまるか。必ずあいつの足元を掬ってやる」

シトリスへの憎悪と野心がより強くなっていくのを感じながらもアザレアはキープとして選ばれ続けながらその命を繋ぎ続けた

「選んでくれてありがとう」

アザレアは男から指名されるとさり気なく肢体をくねらせアピールする

15歳相当だった肉体は淫やかな成長を遂げていた

乳房はより大きく、ウエストはくびれ、ヒップラインも引き締まりながらも丸みを帯びている

全身から立ちのぼる妖艶な色香が漂っており

また重ねた経験によってその立ち振る舞いには気品と優雅さを感じさせた 

そういえばご主人様にはまだ言ってなかったね。ボクは何歳だと思う?」

男はアザレアの身体を値踏みするかのように執拗かつ滑るように見つめていた

「恥ずかしいな、そんなに見つめられたらもっと好きになってしまうじゃないか」

男の心臓はドキリと跳ね上がる

やがてわからないといった様子で首を振る

「実は……」

アザレアは実年齢を耳打ちすると男は驚愕するまさか一桁だとは思いもしなかったようだ

「そうよ。アザレアはあなたよりずっと年下なの」

シトリスが言うのなら冗談ではないのだろうと男は興奮を覚える

「ご主人様はいやらしいな。ボクのことをそんな目で見ていたなんて」

男はそれに羞恥を覚えて首を振る

「それだけで大きくするなんていけない子だな」

アザレアはすでに硬く張り詰めている男の肉棒を見つめる

「ボクのことが好きで好きで堪らなくなったボクなしでは生きていけない身体にしてあげるよ」

アザレアの強い言葉反して声はどこか甘ったるく、妖艶な響きを持っていた

するとアザレアは不意を突くように熱を帯びた吐息とともに唇を這わせる

その瞬間、男は稲妻にでも撃たれたかのような感覚に襲われる

「ふふっ、かわいいな」

それからしばらくアザレアの甘い吐息と男の情けない喘ぎ声だけが響く

いつもならなにかしら声をかけているシトリスもアザレアを信頼しているのかニコニコと笑っているだけでなにもする様子はなかった

アザレアは身体を包み込むように身体を密着させる絶えず男の全身を撫でていく

だが肉棒だけには触れることはなく、その周囲だけは責め立てない

「どう?きもちいい?」

アザレアは蠱惑的な微笑みを浮かべながら問いかける

男は言葉にする余裕もなく、ただ快楽に身を委ねていた

やがてアザレアは男の耳元に口を寄せ、優しく囁く

「どうしたんだい?他の女の子だったらおっぱいをちゅうちゅう吸ったり、おちんちんを可愛がってもらっているのにどうしてボクにはダンマリなんだい?」

男は普段なら欲望の赴くままに甘えたいという欲求を爆発させていた

しかし、アザレアに対してはそれと同時に苛められたいという感情が湧いてくる

相反する感情に戸惑いながら男はただアザレアを見ることしかできなかった

「ご主人様、素直にならないと気持ちよくなれないよ」

その間にも男は乳首をカリカリと爪で引っ掻かれたり、耳をペロペロと舐められたり、尻をペシンと叩かれたりと、アザレアに責め立てられる

「ご主人様とは何度もしてるから、どこが弱いのか、どこが好きなのか、全部覚えてるよ」

その言葉を体現するようにアザレアは的確に男の性感帯を責めていく

「ほら、ボクにどうしてほしいのか言ってみて?」

アザレアは手を緩めず、しかし決して絶頂に達することのない程度の快楽を与え続ける

「ボクはご主人様のためだったらなんでもしてあげるのに。ちゃんとおねだりしてくれたらいつでも気持ちよくしてあげるのに」

その言葉で男の中でぶつかり合っていた甘えたい感情と苛められたい感情は均衡を崩し一気に甘えたいという欲求が爆発する

男は顔を真っ赤にさせながらアザレアを求める

「よくできたね」

アザレアは慈愛の笑みを浮かべながら男の頭を撫でる

「素直になってくれたご主人様にはご褒美をあげよう」

ついにアザレアの手は男の肉棒へと伸びていく

「意地悪されて辛かったね。そのぶんたくさん気持ちよくしてあげるよう」

しかし、その刺激は男の想像よりもずっと小さかった

竿を優しく握って上下に擦り、焦らすような愛撫、亀頭を軽く爪で引っ掻くだけの意地悪な刺激

どれも心地良いのにどこか物足りない

男は快楽を得ようとペチペチと腰を打ち付けるが、アザレアはそれを優しく受け止めるだけだった

「ご主人様はボクのおててとエッチしたいのかな?かわいい」

そういいながらもアザレアは肉棒への責めを続けていく

時には睾丸に触れて刺激し、時には亀頭やカリ首をくすぐるようにほどほどに弄びながら男の理性を削り取っていく

「ご主人様はたくさんのおまんこの味知ってるのに気持ちよくなれなくて可哀想」

男は恥ずかしい、惨めだと思いながらも腰を振り肉棒を擦りつけようとするがのらりくらりと躱される

アザレアは心の奥底で愉悦する

シトリスにおだてられ甘やかされることが当然だと思い込んでいるこの男が自分に翻弄されてるにも関わらずキープに選んで何度も指名する姿は滑稽でたまらない

だがこれ以上は流石に不興を買いかねないのでこの辺でやめることにした

「ごめんね。ご主人様があまりにかわいいからやりすぎたよ。恥ずがしいの我慢してご主人様のすっごくかっこよかったよ」

アザレアは男の身体を抱き寄せ、耳元で囁くように男を褒める

男はアザレアの胸元に顔を埋め、匂いを嗅いだり柔肌の感覚を楽しむことで多幸感を得ていた

「ご主人様の大好きなボクのおっぱい。好きなだけチュウチュウしていいよ。その間ボクがおちんちん気持ちよくしてあげるから」

男は夢中で吸い付くとアザレアはこれまでのゆったりとした動きが嘘のように激しく、リズミカルに擦り始める

「ほら、ボクのおっぱい美味しい?もっと気持ちよくなっていいんだよ」

男は乳首から口を離すと今度は乳房へとむしゃぶりつき、歯を立てて噛みつくように刺激する

アザレアもそれに合わせるかのように肉棒を責める強さを強めていた 

「いいこ、いいこ。このまま気持ちよくなることだけ考えてね」

アザレアは男への奉仕に全神経を集中すると、ほどなくして射精の兆しを感じる

「もう出ちゃいそうなんだ。いいよ、そのままお漏らししちゃおうか。びゅー、びゅーってかっこいいのボクにみせてほしいな」

追い詰めて、辱めて、嘲笑い、最後だけは甘やかす

それがアザレアのやり方であり、男はそんなアザレアの奉仕に完全に骨抜きになっていた

「ご主人様、大好き。イっちゃえ、ボクの手でイっちゃえ」

その言葉が止めになって男は情けない声で叫びながらアザレアの手の中で果てた

「ご主人様、かっこよかったよ」

アザレアが男の頭を撫で回すと男は嬉しそうに目を細める

「次も選んでくれたらおまんこでしてあげるよ。ご主人様の男らしいところ見たいからね」

男はすっかりアザレアの責めの虜になっているためうんうんと頷いた

「アザレア、とてもよかったわよ。またあの子をよろしくね」

その様子をシトリスは嬉しそうに笑っていた

「くそっ、誰が噛めといった」

アザレアは一人になると男につけられた噛み跡をみて不愉快そうに顔を歪める

「そろそろ頃合いか……」

アザレアはシトリスに戦いを挑む決意をする

シトリスに対しては直接的な有効打は見つけていないが、自身が男のお気に入りである点は利用できると考えていた

男に直接粗相を働いていないアザレアを下手に殺せば男の幸福に深い影を落とす、それはシトリスが望むことではないからだ

そのころシトリスは

「ねぇママ、アタシもご主人様にご奉仕したい」

アザレアと瓜二つの姿をした女性がシトリスに甘えている

シトリスが制作したアザレアのクローンである

「ダメよ。あなたの出番はアザレアが我慢できなくなってからよ。いまのあの子はちゃんといいこだから」

「わかった。そのときはアタシがお姉ちゃんの代わりになるね」

「ちゃんとアザレアの真似しないとだめよ」

「大丈夫。いっぱい練習したから。『人間が機械より優秀なのは平気で嘘をつけることだ』ってね」

「ふふっ、そっくりね。でも、もしアザレアが本当にあの子のことを好きになってくれたら『アザレア姉妹!』なんてのも悪くないかもね」


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