アウトロ・ジャパン
「あぁ………どう造ったのだったか…」
女は独り、溜め息を吐く。
「いや…アレを造った時は私ではなかった…あの人格は何処に追いやったか…」
妖艶な女だ。顔立ちは中性的であり、性を問わず魅了する容貌であった。ただ美しいのではない。妖しかった。
「まぁ…もう良いか。やっと私の…私"達"の生は終われるのだから」
女は振り返り、天井から垂らされる糸を吊たる蜘蛛へと話しかける。
「そうでしょう…アヴェンジャー?」
『………そうだな。最も…私は貴女と違い、命半ばで斃れた側だが』
蜘蛛の狭角が開き、人語を語る。
『サーヴァントが出揃った。貴女の計画通り、聖杯は全て正常に稼働している』
「そう……アインツベルンの真似事だけど、上手くいって良かったわ」
女は立ち上がり、掌に蜘蛛を乗せ、嘯く。
「後は………この邦を終わらすだけ………」
女はただ独り、過去に囚われ続ける。
蜘蛛の糸にかかった、蝶が如く。