Cパートのアウトロ
ちょっとだけ暗くて不健康な話
SSではないです
ぐるわらの一味が全員生存していたルートだと、全てが終わった後の最後の最後に正史ローはifローの胸に小さな赤い点が落ちたのを感じるかもしれない。
「いいな…」って、みんな生きていて再会を喜ぶ生き残ったぐるわらを羨む感情。
ぐるわらのみんなもまたクルーの半数を喪って船長まで亡くしているのだから、決して羨める状況ではないけど、それでも羨ましい。ifハートの海賊団は皆殺しにされてしまったから。
雪原に血を一雫落としたような、燃え広がる火種ではなく、ただ確かに赤い。
雪が音を吸うようにifローはその感情を決してくちにはしなかったし、火の赤ならすぐに落ちて消えるだろうもの。
正史ローは共有された感情の確かな異物感をなにもなかったことにして、そっとしておいてあげたんじゃないかな。
自分だって妬まずに済むとは断言できないし、むしろ一船の船長なら大半がそうだろうと。誰もifローの赤い感情を罪だと告発することも、罰だと傷つけてやることはできない。
同時にその汚れた感情こそifローが自由になって、思う存分人間で在ることができている証左なのかもしれない。身を挺するあまり本当に人間性すら捨てられるifローだから。
小康のifロー。
if世界残留したとして、自称兄の悪霊が取り憑くならこの赤い点にだよなぁ…って考えちゃってもうやだ。