アイリとカズサがいなくなった日

アイリとカズサがいなくなった日




「はぁ…はぁ…ここまで来れば…大丈夫かな…」

「はぁ…ふぅ…はぁ…ふぅ…」

息を切らせた二人の少女―杏山カズサと栗村アイリ―は、小さな廃倉庫へと隠れるように身を寄せ合っていた


見れば二人の制服はところどころか煤に汚れ、ほつれ、戦闘に巻き込まれた事が見て取れる

「あいつら…いきなり戦車まで出してどういうつもりよ…!」

今日も何気ない日常のはずだった

アイリとカズサは二人で―ヨシミとナツは都合がつかなかった―限定のスイーツを食べようと、朝から予定を立てていた

そうして普通にスイーツを満喫して、普通に帰路につく、はずだったのに


突然の爆音

ただそれだけなら、キヴォトスではよくある話だ

だが今回のそれは違った

明確に意思を込められた、指向性の爆発

カズサと…そしてその隣のアイリに向けて


突然の不良達の襲撃、更に巨大な戦車まで用意し明確に二人を狙っていた


多勢に無勢、いや、カズサ一人であるなら或いはどうにかなったかもしれないが、隣にはアイリがいる

逃げの一手を選ぶのは自然な事だった

不良達の追撃は熾烈なものだったが細かな裏路地―カズサの『昔』の経験でよく知っていた―を使い、なんとかこの廃倉庫へと逃げ込んだのだった


「アイリ、大丈夫?」

「はぁ…はぁ…うん、大丈夫…走れる」

アイリはしっかりとした目で応え、それが強がりややせ我慢ではないことがカズサへと伝わる

こういう所は凛々しいのだ、アイリは

カズサは薄く微笑み、そして安全な脱出ルートを頭の中で思い描き


カラン


物音


それは


「―アイリッ!!!」

一瞬のことだった

カズサがアイリに覆いかぶさる

アイリが状況を認識しようとしたその瞬間には



轟音


熱風



「カズサちゃん!?」


手榴弾だった

それが二人の目の前へと投げ込まれたのだ


「う゛…ぐ、クソ…」

アイリの無傷を確認するも、力が出ない

立ち上がろうにもカズサはそのまま倒れてしまう


「しっかりして!すぐに手当てを…きゅ、救護騎士団に連絡を…!」


―おかしい


カズサはこれまで―特に中学時代は―手榴弾の一つや二つ、不意打ちを食らう事は日常茶飯事だった

だが、これは違う

痛みが、ほとんど、無い

にもかかわらず身体に力が入らないだけ

これはまるで『ぶちのめすため』ではなく『無力化するため』の、ような―


「ぁ、アぃリ!ぅしろぉ!」

呂律がまわらない!

「え?…うぁ!?」


ドン、という衝撃とともにアイリもまたカズサの隣に倒れ伏す


見ればアイリのその後ろには、見たことのないオートマタが立ち塞がっていた

その手元にはショットガン

アイリの無防備な背中がそれに撃ち抜かれた事を、銃口から立ち上る煙が表していた


「ぉ、ぉまえ…!」


その相手を睨みつけようとした瞬間


「うぁっ!」

カズサの背を、別なオートマタが踏みつける



「いやぁー、いい気味だなキャスパリーグ」

足音を響かせながら廃倉庫の入り口から現れたのは、襲いかかってきた不良達

それが、未知のオートマタを引き連れている

そして何より、カズサを「キャスパリーグ」と呼ぶ

つまりは


「ぐっ…狙い、は…狙いは私でしょ!アイリは関係ない!」


カズサへの復讐か、逆恨みか

つまりはそういう事だろう

そしてそれならば、アイリは関係が無いはず―


「うるせえよ!」

「ぅあ゛!」

より強くオートマタが踏みつける

「カズサちゃん!やめっ」

銃声

「ァイリッ!?」

頭めがけて至近距離からの発砲

いくら頑丈な生徒であってもダメージは免れないほどで


痛みにうずくまるアイリの隣で、身動きの取れないカズサはせめてもの敵意で不良達を睨みつける


「おーおー、威勢がいいねえ、そうでなくっちゃあ!」

「なに?逆恨み?群れなきゃ何もできないクセに…!」

ここで弱気な姿を見せるわけにはいかない

抵抗の意識は崩さない


「はん!強気でいられるのも今のうちだぜ?」

不良達は二人を見下ろしながら口々に嗤う

「キャスパリーグ、お前はもう助からねーよ」

「せいぜい隣のお友達と『楽しんで』きな!」

「無様な姿を見届けてやるぜ」

口々に言葉を吐き捨てる


だが、何故不良達はこんなものを用意できたのか

どうしてわざわざ、ここまでの事を

カズサに浮かんだその疑問の答えは、すぐに表れた


「じゃ、アタシらはこの辺りで、バトンタッチって事で」

気付かなかった

先ほどから不良達を睨みつけていたカズサは、その言葉が投げかけられるまで全く気付いていなかった

不良達の後ろに、倍の背丈はあるだろうか、スーツを着込んだ優男がいたことに


男はゆっくりと不良達の間から前に歩み、二人を見下ろした


「写真では確認しましたが…なるほど、どちらも素晴らしい『素質』がありそうですね」


次の瞬間


「ぐあっ!?」

「きゃあ!?」

突然オートマタがカズサとアイリの、その制服の襟を掴んだと思えば倉庫の中央へと放り投げた


突然の事に受け身も取れず、コンクリートの床へと叩きつけられる

一瞬、息が止まる

まずい

まずい、まずい!


本能が警鐘を鳴らす


早く、逃げなければ!


カズサの身体は動かない

アイリは痛みで動けない


それでも必死に立ち上がろうとし、そして


「それでは、お願いしますね」


気付けば、二人の周りには

無数の、見知らぬ、大人の男が


「な、なによ…あんたら…!?」

「なん…ですか…!」


わからない、目の前にいる存在が

二人のよく知る大人―『先生』―それとは全く別の

異質な存在

それが、二人を見下ろしていた


そして、ほんの数瞬の沈黙の後


「ひっ…きゃあぁあぁ!!!」

「アイリッ!?アイリぃ!離せええぇえ!!」


突然動き出した男達が二人へ殺到する


未だに痛みの残るアイリに向かった男達は、その長い髪を掴み無理矢理立ち上がらせる

そして、よどみのない動作で、一切の躊躇なく

その制服を引き裂いた

「いっいやあぁぁぁ!?」

アイリも高校生だ、『そういう知識』はある

だからこそ理解してしまった

制服を引き裂き、下着に手をかけられた今

これから、自分自身に何が起こるのか

男たちは何を目的にしているのかを


「お前らっ!お前らぁ!ぶっ飛ばす!絶対ぶん殴る!ふざけんな!ふざっ」

組み伏せられたカズサは動かない身体で必死に叫ぶ

叫んでいた、そのさなか


何かが、下着の上から、大切な、場所に、守るべき純潔がある、その場所に、触れる

熱い

熱い熱い、そして硬い


理解する


知識しか無くとも、理解、できて、しまった


「や、やめ…ふざけないでよ…そんなこと!」


おそるおそる、といった風に

カズサが視線を向けたその先には


見たことも無いような、グロテスクにそそり立つ肉棒を、カズサの下半身に擦り付ける男が一人


「…ひっ」


それは、本能的な恐怖か


未だに身体は動かないというのに、それでも足掻こうとする

逃げなければ!あんな、あんなものを入れられたら、どうにかなってしまう!

心臓の鼓動が早くなる

あんな、あんな、あんなもの!!


「…ぁ」


下着を脱がす手間も惜しんだのか

カズサの最も大切な『そこ』を隠していた布は

男の持っていたナイフで

いともたやすく断ち切られ


「まって、まって…くそっ!この!この!このおおおお!!!」


どくどくと脈打つその暴力的な肉の塊が

ぴとり、と

カズサの、閉じられた、その場所に、触れて

気付けば、カズサのその腰を、男の両手が、力強く、掴んでいて


「やめろ!やめろ!やめろ!…やめて!!!」


ゆっくりと、ゆっくりと、込められていく力が


突然、加速し


「…ぁ」


最奥まで、貫いた


「ぅぁああああああああああああああああ!!!!!」


絶叫


男を知らぬその聖域は、邪悪な欲望に蹂躙された

前戯も無く一切の準備の整わない乱暴な侵攻は、身を引き裂かれるような痛みを伴い

カズサの心に染み込んでいく


「やだっやめでっ!いだぁっ!?あ゛っ!う゛っ!?」


現実を受け入れる間もなく、強引にソレが動き出す

カズサの腰を掴み、それはまるで、オナホールでも扱うかのように、乱雑に

コンクリートの地面を身体が擦り制服がボロボロになっていく事も気にせず、男は続ける


「うぐぅ!?がぁ!?あ゛あ゛あ゛あ゛っ!?」


子を宿すべき小部屋、その入り口に、一切の躊躇なく先端が叩きつけられる

余裕のないカズサは気付かないが、ある種、気付かない方が幸せであったのかもしれないが、男の『ソレ』は

カズサの最奥を押しつぶしてもなお、有り余る長さをしていた

だからこそ、その腹の上から形が分かるほどに浮かび上がる、情け容赦のない蹂躙は、終わらない


「カ、カズサ…ちゃん…!?」

そしてその光景は、アイリの目にも入っていた

カズサが汚され、蹂躙されるその姿が


そして、目の前の男が突き出した、その酷悪な欲望の塊が

アイリも後を追うと告げていた


「ひ…ぁ…ぃ…」


言葉も出ない

声を出そうにも、息が漏れるだけで

呼吸がおぼつかない

身体が震える

見上げるほどの高さの男が

アイリの身体を、その腰を掴み

まるで、赤子のように、軽々と、持ち上げ


「ゆ…ゆるして、ください…ごめ…ごめんなさい…ごめんなさい…」


それは、何に対する謝罪か

何に対して許しを請いているのか

アイリ自身にすらわからない

わからないが、そうせずにはいられなかった


だって、もう、なにも、できないから

ほら、ゆっくりと、『ソレ』が、アイリの、大切な場所に、近づいて


どすん


「き゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!???!」


男が突き上げる腰と、アイリの体重と、男が動かした腕が

その全てでアイリを貫く

それはまるで串刺しの処刑の如く

あるのは、痛み

何も、考えられない

男に抱えられ、地面に足もつかず

アイリの身体は、男の欲望に刺し貫かれた


だが、休む暇も与えられない


「あ゛あ゛っ!いやあ!やだあ!やだあ!!」


アイリの都合など一切無視した強引な上下運動

暴力的なその動きは地獄のような痛みを伴う

文字通り肉を切り裂かれるかの如き乱雑な交尾

いや、それはもはや交尾とも言えない、ただの『性処理』のようなもの

ただただアイリという少女を『使って』『欲を満たそうとしている』


「ア゛ッ…アイリぃ…!うあ゛あ゛!」

その叫びはカズサの耳にも入っていた

痛みに襲われ、我を忘れても、その声だけは確かに耳に届き

僅かに動くようになっていた身体を、その手を、アイリに、伸ばそうと、その瞬間


「う゛っ!?」


突然、今まで以上の力で、男のソレが、カズサの一番奥の部分へと、押し付けられた

内蔵が潰れるかのような圧力

だが

何かが

さっきまでとは

違う


男の、動きが、止まった

だが、感じる

男の、肉欲の塊が

強く感じられるほどに、脈打っている

まるで、まるで、まるで、ナニカを、出して、いるように


「や、め…あ…ぅあ…」

吐き気


自らの下半身に、目をやれば

引き抜かれた男の肉棒は、白く濁った、粘着質の液体に濡れていて

ほんの数刻前まで純潔を保っていたそこもまた、白濁液があふれ出し


男の精が吐き出されたと、否応なく突き付けられた


「あ…ぁ…あ…あ…」

言葉が、出ない

なにも、考え、られない

カズサはただただ、現実を見せられていた


そして、その目の前には

一度出したにも関わらず、衰える事を知らぬとばかりに未だその形を維持し、あろうことか更に太さを増す、欲望の権化が

そして周りには、同じように肉欲を滾らせた男達が


その瞬間、カズサの脳裏に浮かぶのは


「お、お願い、します…」


抵抗は、できない

できようはずがない


「わ、私を、どれだけ、使っても、良いです、から…」


心にあるのは、カズサにとっての希望


「だから、だから!アイリは!アイリは関係ないから!私の事はどれだけ滅茶苦茶にしたっていいから!アイリは離して!」


交渉ですらない、命乞い

それしか無かった

抵抗もできず、逃げる事もできず、ならせめて、アイリだけはと


だが


男達にとって、そんなことを

『子供』が言う事を『大人』が聞く道理など、持ち合わせてはいなかった


「やあああああぁああぁぁぁあああ!!!」


アイリの叫びが響き渡る

見れば、アイリを貫いていたその肉棒は、カズサのように最奥に押し付けられ

そして、その結合部からは

ボコボコと泡立った白濁液が、流れ落ちた


「あぁ…あ…アイリ…」

カズサはそれを、ただ眺める事しかできなかった


だが、悲しみに浸る時間など与えられはしない


「ひっ…お、お願いしま」

再びカズサの腰が乱雑に掴まれ

一切の情け容赦なく、貫かれた


しかし


「んあぁぁぁぁああぁ!?」

痛みだけではない

その瞬間、カズサの頭を駆け抜けたのは


快楽


感じたことのないような、甘い甘い刺激

視界が明滅する

強い痛みすら、その快楽を盛り上げるアクセントになってしまう


「なんっ…でぇ!?おかしい…おかし、い゛!?」

耐えられない!

突然のその快感は、痛みで混濁していたカズサの思考を、心を、バラバラにする事は容易かった

先ほどまでと変わらない、暴力的で一方的な性行為


しかしその一突きごとに、その肉棒が引き抜かれカズサのその入り口まで下がり、再び最奥へと勢いよく打ち付けられるその一度ごとに

耐え切れないほどの、気持ちの良い『毒』が、身体中を駆け回る


「ちがうぅ…こん、こんなあ!?わたしじゃないぃ!わたしはあぁ!?」

当然、長くは持たない

濁流のように押し寄せる快楽は、いとも簡単に限界に到達し、そして


「うわああぁああああぁあああああ!!!」


達した


達してしまった


見知らぬ男に、無理矢理に交尾をされて


同時

男は再び、カズサのその中に精を放つ

それさえも、強い快楽となる


「ちがっあっちがうっわたあっわたしいっこんっなあっ」


同じ言葉ばかりが口をつく

もはや考える事もできない


だがそれは、アイリも同じだった

「いやっああんっ!?おねっぃしまあっ!やめっやめてぇっ!?くあっ!?んんんっ!」

休む間もなく再び上下に激しく動かされていたアイリもまた、耐えがたい刺激に襲われていた


一度、そう、たったの一度、男の精が吐き出されただけだというのに


アイリも女子高生だ

一人で『そういうこと』をしたこともある

けれどその時は、ただの興味本位で、少し、気持ちが良いとは、感じた、けれど、最後まで達する事は、とても、なんだか、恐ろしい事の、ように、思え、て


「やあああああああああああああ!!!」


絶頂


簡単に、とても簡単に

アイリはその身を震わせた

男と繋がっている『そこ』からは、男のものではない、アイリ自身から湧き出る蜜が、絶え間なく噴き出し男の身体を濡らす


「あっ!ああっ!やめっ!?いまっ!いまあっ!わたっわたしっ!?」


だが、男は止まらない

アイリが絶頂を迎えてもなお、その速度は衰えず、むしろ速めている

それはもうアイリの感情を滅茶苦茶にするのは十分なもので


「ああああああああああああ!!!!」


言葉にならない叫びが、轟いた


アイリの胎に、二度目の精が、注がれた


どさり、と、アイリの身体が倒れ伏す

男が手を離したという事を、しかし、アイリは気付けない

絶え間ない快楽の波に、今なお身体を震わせている


そんなアイリの腕を男は掴み取り、無理矢理に引きずる

進む先は、ぐったりと倒れ伏す、カズサが


徐々に、徐々に快楽から思考が戻っていく二人


目の前には、かけがえのない、友人の顔が


「カズサ…ちゃ…」

「ァィリ…」


笑顔が眩しいその瞳が

一緒にスイーツを食べたその口が

目の前に、大切な友人の、顔、が


「んう!?」

「んんっ!?」


それが口づけであると気づいたのは、数瞬の後だった


互いの頭が男達によって無理矢理掴まれ、そして、口を、押し付けられている

キスなどと甘いものではない

本来愛すべき人と、愛を育むべきそれを、ただ男たちの欲望で、押し付けられている


「んんんーっ!!」


男達の力は緩まない

愛情の欠片も無い、ただただ暴力的に、二人の粘液が交わる


わからない、なんで、こんな、ことを

二人は混乱した

混乱してしまったから、自分が今、どうなっているか、気にすることもできなかった


瞬間


「ん゛ん゛ん゛ん゛!?!?!?!?!」


みたび、貫かれた

大切な親友と、無理やり口づけをさせられて

そのまま、男たちの欲望に、蹂躙される


「んぐぅ!んあぁ!んんん!!!」


先ほどと変わらない、乱雑なストローク

しかし二人の身体は、先ほど以上に快感を受容する

おかしい、おかしい、おかしい!

そんなことは絶対にありえない

にも関わらず、アイリとカズサは


「んんんんーッ!!!!」


またしても、達した


達するまでが、早くなっている


自分たちは、どうなってしまうのか


何も、わからない


わからないまま、男達によって、汚され

そして、また、大切な、その、聖域に


「んんんんんッ!んんッ!?んんんーッ!!!」


また、注ぎ込まれる


「ぷはっ!?」


やっと口が離される

鼻で呼吸ができていたとはいえこの乱暴な行為では呼吸もままならず、二人は必死に酸素を取り込もうと荒い息を繰り返す


目の前にあるのは、無二の親友


望まぬ快楽で頬を赤く染め、瞳からは大粒の涙を流す、大切な人


「アイリ…」

「カズサちゃん…」


手を伸ばす

せめて、互いの存在を、感じたい


指が、掌が、触れ、掴む

硬く、硬く、離れないように


身体が、心が、何もかもが、バラバラになるような、痛みも、快楽も

その中でもせめて、せめて、二人だけは、離れたくないから


男達の手が、その欲望がまた、アイリとカズサの身体へと



……

………


「ふむ、やはり実に良さそうですね、この様子なら十分に『元』が取れるでしょう」


アイリとカズサが蹂躙されるその姿を、かの優男は特等席で眺めていた

その近くには、最初に二人を襲った、この男へ『協力』を取り付けた、不良達の姿


「どうです?あなたたちが恐れ、復讐したいと願った子供の末路です」


振り返る男


「あ、ああ!ざまぁないな!」

「そう!そうだぜ!そう!ああ!」

「ああああんなやつ、こんな姿がお似合いだよ!!」

不良達は口々に言葉を吐き出すが、その姿は


―自分がそちら側になる可能性があると、恐怖している


男は冷静に観察する


       雌

―やはり、弱い子供でしかありませんか


―損失を出す前に出荷してしまいましょうか、二束三文にはなるでしょう


男は静かに不良達に見切りをつけ

一通りの行為が終わり、静かになったメインステージを見つめた


……

………


静かになった


アイリとカズサは、床に横たわっていた

いまだに身体は快楽の余波で時折びくりびくりと震え

制服はとうに引き裂かれ、ぼろ布として残るだけで

その全身は、美しかった髪でさえ、男達の欲望によって、余すところなく汚されていた

それでも、なお


二人の手は、握られていて


「みなさん、お疲れさまでした」


優男が現れる

相変わらず張り付けたような笑みを浮かべ、男達に労いの言葉をかける


終わった


そう、この地獄のような時間は、今、終わりを告げたのだ


二人は、安堵した

もう、終わるのだと

また、日常に、帰れるのだと

その時は、そう思っていた


「さて、それでは…そちらの髪の長いお嬢さん、そちらは…調教棟Cに収容を」


いま、なんと、いった?


「それとこちらの短い髪のお嬢さんは、調教棟Bへ収容を」


なにを、言って


理解する間もなく、それぞれ別の男が、カズサの腕を、アイリの腕を掴む


「やめ…アイ…リ…」

「や、だ…カズサ…ちゃ…」


言葉が出ない

力が出ない


なんとか繋いだ手を、離さないように、力を込めて


ぐい、と


呆気なく


その手は


ほどけた




そして、その日を境に

杏山カズサと栗村アイリの二人は、姿を消した







<補足>

男達も調教師の一種で二人を犯し尽くしてその人間性や快楽への感じ方などを示し調教の方向性を決める情報収集を担っている、特殊な薬物などで通常の人間とは異なった肉体となっている

(二人が急激に性感が強化されてしまったのもこのせいである)

そして今回、アイリの場合は『一般的な生徒』を対象にした調教を、カズサの場合は『気の強い生徒』を対象にした調教が選択されたため、二人は別々の場所へと収容されそれぞれ最適な調教師で『加工』される運びとなった

二人が再会できるのか、助け出される事はあるのか、そして再会した時二人は二人のままなのか、それは誰にもわからない


不良達:カズサに逆恨みをして復讐の為に危険な場所に協力を持ちかけてしまった

優男の言葉の通り、この後は娼館の商売道具として使い潰される運命にある

あの場で少しでも長く生きるのなら『自分達はカズサとアイリの二人とは違って絶対に安全な場所にいると理由も無く信じる愚かな子供』である事が正解だった

(捕えた子供へ同情する事は無い価値観と自分達はそのようにはならないと無邪気に上の立場にいると信じる単純さ、それらがあれば娼館としても末端の仕入れ要員として雇う事も考えていたが、結果として行為に恐怖を抱くほどだったため情報を売る、商売敵に捕まって吐いてしまう、などの『損害』が出る前に処分されるに至った)

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