わかってる
ーー達視点わかってる。おれにはなにも出来ないんだって
わかってる。他の人には見えないようなバケモノが見えるわたしは変だって
わかってる。不思議な力を使えるからって現実では小説みたいに上手く行かないって
わかってるけど、これはあまりに酷いだろう
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「おねぇさん、ありがとう。」
わたしをバケモノから助けてくれたおねぇさんにお礼を言う。おねぇさんは少しだけ驚いた顔をしていった。
「どういたしまして?なんでお礼を?」
どうしてって、何故そんなことを聞くんだろう。
「そこのバケモノ、倒してくれたから。」
そういうと、おねぇさんはまた驚いたような顔をした。
「君、これ見えるの?私が宙に向かって技かけてる変な奴に見えてたりしないの?」
「わたしはべつに......バケモノ見えるし......でも皆にはそう見えるんじゃないかな。」
そう答えると、おねぇさんは驚きとも喜びとも恐怖ともつかないような、変な顔をした。
「あ、でもここでバケモノが見えるのは私だけだけど、もう一人不思議な子は居るよ。」
というと、おねぇさんは興味を持ったみたいでへぇ、どんな子?と聞いてくる。なんだかもやっとした。けど言ったのに紹介しないのは少し嘘つきっぽいし、と思って紹介する。
「ここのお家。あ、普通に親いるからバレないように注意してね。って居ない?!」
あーもう、勝手に行動されると困るんだけどなぁ......と、家の中へ入ろうとすると、
「ちょっと、貴方誰なんですか!」
「誰だって良いでしょ別に......不法侵入者に誰かとか普通聞きます?」
「いや、不法侵入って普通人の居ない時に......って私は何を説明してるんでしょうか。とりあえず、出ていって下さいよ!」
大きな怒鳴りつけるような声と、変に落ち着き払って変な主張をする声が聞こえてくる。
「本当に、勝手な行動されると困る……」
いっつも勝手なこと言うなと思ってる先生も、この状態に比べたら意外とキチンとしたことを言っているのではないだろうか。
「いや、無いか。宿題無いって言った後日に宿題持ってきてないの?とか言う先生だもんね。」
と、急に冷静になると、喧嘩してる?一方が一方に一方的に怒ってる?人達の向こうから声がすることに気づいた。
たったったっと走って見に行く。
わたしは小さいし、怒ってる方は冷静じゃないので全くバレなかった。