よくある地獄のはなし

よくある地獄のはなし



…生まれた時から地獄だった。

私がこの世に落とされた時、その髪色は既に道を外れていた。

「生まれた時から白髪なんて…!!」

「お前浮気したんじゃないのか!?」

「貴方の方じゃないの、気持ち悪い!」

「こんな子産まなきゃ良かった」

…育ってからも地獄だった。

「うわ、〇〇ちゃんだけかみのけしろーい」

「きもー、バイキンがうつるぞ」

「いつも黙ってて気持ち悪いぞ」

…力を得てからも地獄だった。

「お前ストーカーじゃないのか!?」

「酷い!無害なフリして…!!」

「気持ち悪、視界に入るな」

両親でさえ、罪人だった。

「こんな子、私の子じゃないわ!変な能力、気持ち悪い!貴方が育てなさいよ!」

「俺だって育てたくない!こんな気味悪いの、産んだのはお前だろう!!」

この世は地獄だった。

そんな地獄に産まれた私も罪人だと、運命に出逢うまでは勘違いしていた。


断末魔は福音だった。

飛び散る血飛沫は救いの光だった。

崩れ落ちる肉体は私の糧となった。

差し伸べられた手のひらは、罪人に垂らされた蜘蛛の糸のように優しく、暖かかった。


「私達と来ませんか」

運命(いとしいひと)は、私を罪人から処刑人に引き上げてくれた。

「パラノーマルへようこそ」

同胞(おにいたち)は、私を仲間として迎え入れてくれた。

千里の人生(みち)は、ここから始まる。


xxxx年x月x日

千里千里、パラノーマル入隊

これより彼女は、敵対者を屠る処刑人となる。





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