ゆいのお泊まり

ゆいのお泊まり

モテパニ作者

ゆい「拓海、今日泊まるね」

拓海「はぁっ!?」

それはある日の夕方頃、お泊まりセットを持ったゆいが拓海の家にやって来た。

拓海「い、いきなりなんだ!?」

ゆい「あれ?聞いてない?お母さんたち今日帰らないみたいなの。だから一人じゃ心配だからって拓海の家に泊まったらって言われたよ。あんさんにはもう話いってるって聞いたけど」

拓海「そういや母さんも帰らないって言ってたな。ゆいが泊まるのは初耳だけど」

いきなりの事に面食らったが、話を聞いてみれば行き違いがあったというだけの事、拓海も素直に了承する。

拓海「(ま、うちにはダークドリームもいるしな)」

なにも男女二人きりというわけではない、問題が起ころうはずもないのだ。

そしてゆいを連れて部屋に入る拓海。

それを夕飯を作っていたダークドリームが迎える。

ゆい「こんばんわー、ダークドリームちゃん」

ダークドリーム「いらっしゃいゆい」

拓海「ん?ダークドリームはゆいが泊まりにくるの知ってたのか?」

ダークドリーム「ええ、あんから聞いたから」

拓海「俺にも教えてくれよ…」

ダークドリーム「え、拓海も聞いてると思ってた」

拓海「たくっ…」

ゆい「あはは、まあいいじゃん。それよりごはん作ってるの?あたしも一緒に作るよ」

そう言ってゆいがキッチンに入っていく、さっきまで拓海が一緒に作っていたのだが、三人はキッチンが狭くなるので黙ってゆいにエプロンを渡した。

拓海「俺は風呂の準備でもしてくるか」

〜〜〜

ゆい「デリシャスマイル〜」

ダークドリーム「うん、美味しかった」

そして夕飯を食べ終わった三人。

拓海「風呂の準備終わってるから二人とも入ってこいよ」

ゆい「そう?どうしよっかダークドリームちゃん」

ダークドリーム「んーなんだったら一緒に入る?」

ゆい「うん!だったらそうしよっか」

二人は拓海の前でそんな会話をする。

拓海「(ゆいが俺の家の風呂に…)」

自分から話を振っておきながら目の前の会話で好きな子が自分の家のお風呂に入ることに気恥ずかしさを覚えた。

そんなそわそわしてる拓海を見たダークドリームは。

ダークドリーム「どうかした拓海?」

拓海「あ、いや…」

ダークドリーム「…言っとくけど今日は一緒に入らないからね」

ゆい「え?」

拓海「!!!!????」

まさかの爆弾発言にゆいはもちろん拓海も大きな衝撃を受けた。

ゆい「…どういうこと拓海?ダークドリームちゃんと普段一緒にお風呂入ってるの?」

拓海「いや一度もねえよ!いきなり何言ってんだ!?」

ダークドリーム「だって三人だとさすがに狭いでしょ?」

拓海「人数関係なく一緒に入らねえっての!はぁ〜、いいから入ってこい」

ダークドリーム「そう、じゃあ行きましょゆい」

ゆい「あ、うん」

一騒動を起こしたダークドリームはなんのことも無いようにゆいを連れてお風呂に行ってしまった。

拓海「…まだいろいろ教えとかないとな」

ダークドリームの常識力を気にする拓海であった。

〜〜〜

ゆい「上がったよ〜」

拓海「おう、じゃあ俺も入るよ」

ゆいとダークドリームが上がったのを確認すると拓海もお風呂の準備をした。

ダークドリーム「さてと、ゆいアイス食べる?」

ゆい「食べる〜!」

ゆいはダークドリームからアイスを受け取り食べた。

アイスを食べ終わるとダークドリームはリビングを出る。

ゆい「どこ行くの?」

ダークドリーム「部屋だけど」

ゆい「じゃああたしも行くね」

ダークドリーム「ゆいならいいんじゃない?」

ゆい「?」

ゆいはダークドリームの部屋で寝る予定なのでダークドリームの部屋へお邪魔しようとついて行こうとするが、なんだかおかしな返答をされた。

そしてついて行くと。

ゆい「あれ?ここって拓海の部屋じゃなかったっけ?」

ダークドリーム「そうだけど?」

ゆい「え!?」

ダークドリームはなんでもないように部屋に入っていき、我が物顔でベッドに座った。

ダークドリーム「なにか読む?お菓子もあるけど?」

棚からお菓子を取り出し本棚を指差すダークドリーム。

ゆい「えっと…それ食べちゃっていいの?拓海のじゃ…」

ダークドリーム「ああ大丈夫。これ私が持ち込んだ物だから、この漫画も」

ゆい「ええ…」

ダークドリーム「前に拓海のお菓子食べたら怒られたのよね。それ以来自分で持ち込むようにしてる」

ゆい「でもベッドの上で食べていいの?」

ダークドリーム「大丈夫、それも前に怒られてからコロコロも持参するようにしたから」

ダークドリームは誇らしげにコロコロ、正式名称粘着カーペットクリーナー見せつけてきた。

ダークドリームが拓海を頼りにしてるのは知っていたが、ゆいが思っていた以上に甘えていたようだ。

そんな風に驚いていると扉が開いた。

拓海「うおっ、ゆい…」

どうやら拓海がお風呂から上がってきたらしい。

男子だけあって女子のゆいたちより早い。

拓海の部屋だから当然だがノックも何もなく入ってきたが、ゆいには驚いてもダークドリームにはまったく驚いていなかった。

ゆい「ダークドリームちゃんって毎日拓海の部屋に来てるの?」

拓海「ん?ああ。だいたい毎日な」

ゆい「…そっか。それで毎日おしゃべりとか」

拓海「いや?部屋にはいるけどあんまり喋ったりとかしないぞ。俺この時間だいたい課題とか自習してるし」

ゆい「うーん」

改めてみる拓海とダークドリームの関係。

正直独特過ぎてゆいは何を感じればいいのか自分でもわからなかった。

拓海「ダークドリーム、今日はゆいも来てるんだし自分の部屋でゆいとなんかしたらどうだ?どうせ寝るのはあっちなんだし」

ダークドリーム「えー」

拓海「えーじゃない」

ダークドリームは不満を露わにしながらも言うこと聞いて渋々部屋を出た。

拓海「おやすみゆい」

ゆい「うん、おやすみ拓海」

拓海とゆいは就寝の挨拶をして別れるのだった。

拓海「さてと」

それから拓海は寝る前にいつも通り机に向かうのだった。

〜〜〜

それから数時間後、すっかり真夜中になり拓海もベッドで就寝していた。

するとふと目を覚ます。

なにか違和感を感じたからだ、その正体を探るべく目線を動かすと。

ゆい「あっ」

隣にいたゆいと目が合った。

拓海「ゆい!?いったいなにして…」

ゆい「しー、部屋離れてるとはいえうるさくしたらダークドリームちゃん起きちゃうよ」

驚きを隠さずそのまま伝えようとするも諌められてしまう。

動揺しつつも声量は抑えてゆいへ質問する。

拓海「なんでこんな時間にここに?」

ゆい「今日拓海とダークドリームちゃん見てたらなんだか寂しくて…」

拓海「寂しい?」

ゆい「うん。ダークドリームちゃんすっごく距離が近くて拓海もそれを受け入れてて、なんだか拓海が少し遠くに感じちゃって」

拓海「…俺とダークドリームってそんなに距離近いか?」

ゆい「自覚無いんだ…」

拓海「でもそれでなんでこんなことを?」

ゆい「だってダークドリームちゃんとはこんなことしてないでしょ?」

少し言葉に詰まる拓海。

しかし以前映画を観た時寝落ちしてしまったことはあるが一緒に寝たことはない。

ゆいの言葉に頷く。

ゆい「でもあたしは何度もあるよ。…だったら今もいいよね?」

正直好きな子にこんなことされていたら気が気でない。

しかし拓海はこれを拒む気にはならなかった。

拓海は黙ってゆいを受け入れるのだった…

〜〜〜

翌日拓海はゆいより先に目を覚ました。

寝ているゆいの手が拓海を掴んでいたが、起こすのも悪いので優しく引き剥がし朝の準備を始めるのだった。

キッチンに行くとダークドリームが先に起きていたようでなにかを探していた。

拓海「おはようダークドリーム。なに探してんだ?」

ダークドリーム「おはよう拓海。小豆って無いの?」

拓海「小豆?なんのために?」

ダークドリーム「こういう時って赤飯炊くんでしょ?」

拓海「そういうんじゃ無いから!?」

拓海の弁解は虚しく響くのだった…


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