やめなよAL-1S 爪痕
鳥籠「あっ、アリス…言い過ぎたよね。ごめん。ただ、私はアリスにこんな事して欲しくないと思って…。今ならマダムに謝ればほんの少しの罰で済むかもしれないし…」
モモイはカッとなって言ってしまった事を謝罪した。アリスがマダムに逆らってるのは状況証拠からしてあり得る。だが、アリスはミドリを奪ったAL-1Sではない事も理屈上は理解していたのだ。先程ミドリに関する怒りをアリスにぶつけてしまったのは流石に酷い事だったと思ったのである。しかし、アリスに反応がない
「アリス…?」
不審に思うが、もしかしたら怪我をしたのかもしれない。気まずさを感じながらもアリスに近づくと…アリスが急に起き上がった
「うわぁ!びっくりした。…えっと、さっきのことだけどアリスには」
「私はアリスではありません。彼女は消えました」
モモイは鳩が豆鉄砲を食らった顔のようになる
(アリスが消えた…?)
確かに、目の前の彼女は今までの雰囲気と違って何か落ち着いた印象を感じた
「…じゃあ、あなたは…?」
「私の名前は…………こう書きます」
彼女は名前を言わずに壁に『Key』と書いた。モモイはそれを読む
「ケイ……?」
ケイ、と呼ばれたKeyは呆れた顔をしながらモモイに背を向けて歩き出す
「ちょっと!何か言ってよー!」
(やはりモモイが馬鹿みたいな名前をつけたのですね…『アリス』や『ケイ』などと)
Keyはモモイを馬鹿にする。しかし『ケイ』
と呼ばれた時、彼女は自分の中に暖かい感情と悲しい感情が生まれていた事に気づいていなかった
ケイ?が去ってモモイは落ちてたミドリの銃を拾う。アリスは消えた。さっき言ってた言葉を思い返す
「そっか…私はアリスに謝れなかったんだ…」
銃を抱きしめて歩き出す。ここにいては不審がられるだろう。しかし、視界がボヤけたりして足が上手く動かない。きっとアリスは消える間際深く傷ついたのだろう。酷い形で別れる事になった事を理解したモモイは
「ごめん、ごめんね。アリス」
その場でうずくまるしかなかった