やめなよAL-1S 敗北

やめなよAL-1S 敗北

鳥籠


「マダム!どういう事だ!?」

サオリが息を切らしながらもベアトリーチェのいる聖堂に入って来る

「どう…とは?」

「しらばっくれるな!姫が…アツコが傷ついた状態で運ばれていたぞ!?一体何をした!」

サオリは激しい剣幕でベアトリーチェを問い詰める。しかし、ベアトリーチェの方は涼しい顔で流す

「ああ。彼女については仕方なかったのです。何せ、こちらに対して歯向かったのですから。少し痛めつけてしまいました」

「…ッ!約束とちが」

「約束?先に破ったのはそちらの方では?私はあなたとの約束通り彼女には手を出してこなかった。それなのに彼女の方からこちらに危害を加えようとしたのですよ?正当防衛というやつです」

ベアトリーチェの言葉にサオリは勢いが弱くなる。確かに、話を総合すれば今回の件で非難されるべきはベアトリーチェではなくアツコの方だった

「それよりもあなたの方はどうなったのですか?」

「……犯人は白洲アズサだった。…アイツはカタコンベを通って逃げたから二度とアリウスには戻って来ません」

「手心を加えて逃した、と?」

「! いえ、違います!」

サオリの顔をベアトリーチェは扇子ではたく

「2人ともあなたが面倒を見ていたのではなかったのですか?もしや、あなたが今回の件を企てたのですか?アリウスを分断するために」

サオリは蒼白になった顔でただ、すみませんと謝り続けるしかなかった

「正直アツコは罰として『処分』してもいいですがあなたとの約束がありますからね。あなたがもっと働くというなら彼女は幽閉という形で見逃してあげてもいいですよ」

ベアトリーチェの言葉にサオリは従う以外の選択肢は無かった


サオリがいなくなって、ベアトリーチェは辺りを見渡すとガスマスクを見つけた。それはアツコの着けてたマスクだった。先程の戦闘の余波で外れていたのだ。それを拾い上げる。見ているとあの時の満身創痍ながらもこちらを睨み続けた生意気な目を思い出す。苛立ちからマスクを叩きつけようとしたが、あるものが目に留まり動きを止める。ベアトリーチェはマスクを持ったまま聖堂を後にした




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