やめなよAL-1S 作戦前夜

やめなよAL-1S 作戦前夜

鳥籠

決行前日、アリスが星空が綺麗に見える夜の道を散歩していた。もっとよく見える場所に行こう、そう思って歩いていると1人の少女を見つける。アリスが『ガスマスクさん』と呼ぶ少女だった。

少女が星空を見ているとアリスが近づいてくるのに気づく。彼女はアリスが隣に座っても大きく反応は示さない。2人の間を沈黙が支配する。しかしそれは気まずさを意味するのではなく、お互い相手を理解し始めてるが故の沈黙だった

「私、花が好き」

「花…ですか?」

少女のポツリと言った言葉にアリスが反応する。彼女は花が好きだと言う。しかし、アリウスのようなボロボロの大地では花はあまり咲かない

「だから…ここを花でいっぱいになるような場所にしたい…それが私の夢」

最初はただ咲いてくれたらいいのに、という願望だった。しかし、モモイが貼ってくれた『花』のシールを毎日見て他人任せの望みではなく自分の手で叶えたい夢となった

「いい夢だと思います。アリスは…」

アリスの言葉が詰まる。それは自分がここにやって来たのがベアトリーチェを倒す為だと思っているからだ。

(ベアトリーチェを倒した後、アリスはどうなるのでしょうか?ここに残り続けるのか、元の世界に戻れるのか)

アリスにも元の世界に仲間がいる。みんなに会いたいという気持ちが強いが、同時にここで仲良くなった人達と別れるのは…

アリスはパンッ!と自らの頬を叩く

(作戦を始める前に悲観的なのはいけません)

気を引き締めなおしアリスは言葉を続ける

「ガスマスクさんの夢、とても良いと思います!アリスも応援します!」

「…ガスマスクさんじゃない」

少女は自らのガスマスクを外す。露わになった彼女の目が真っ直ぐアリスを見る

「私の名前は秤アツコ。アリスちゃん、明日は頑張ろう」

素顔を晒し、笑うアツコにアリスは信頼を感じ、力強く答える

「はい!一緒に頑張りましょう!」


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