やまない拍手を。

やまない拍手を。

#天童アリス

『一日のおわりに手を振って、すべり台の終点に感情を捨てたことを。いつまでも浮なされています』

『解答用紙はもう配られてしまいましたから、また、間違いばかりの喜劇を始めます』



治療を見込めず、かと言って衰弱死もできない。

そんな中毒者を前に、アリスが出した答え。


「光よ」


胡乱な目で縋ってくる者、狂ったように恨みつらみを述べてくる者、最期まで無気力に身動ぎ一つしない者。

そんな人達を探しては、行って介錯を続けた。


そして、いつしか思うこともなくなって、ただひたすらに解答を書き込むのでした。



(先生。アリスは、塵ほどにも悲しくないお別れで涙を流すための訓練をしています)

(大切な宝物を潔く殺すことのできる子になれるよう頑張ります)



そう勇む少女は心を忘れるため、今日も必死に教科書を飲み込んでいる。

いつの日かあの宙の向こうまで飛べると信じていたのに、その翼の羽根は次々に毟られていって、終いに残ったのは重いだけの機体だ。

彼女はすっかり空を諦め、それを無くための涙も泣くしてしまっていた。


毎日の穴を砂で埋めては掘り返す。

命に意味も退屈も感じなくなることが大きくなることだと知ってから、おもちゃの剣は鳴るばかりで、いつまでも彼女を英雄にはしない。



『先生、あの頃の私は』


『大切な宝物を潔く壊すことのできる生徒になりました』


『それなのにこんなにも哀しいのは……』


『……私にとってどうしても不思議なことです』

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