まだそこそこ元気でイトイトに縛られてる時のロー

まだそこそこ元気でイトイトに縛られてる時のロー


※痛い



 真っ白な箱の中央に、彼岸花が咲いている。

 この状況を作り出した張本人はそれぐらいのことを言いかねない。芸術と詩文、いかにもな成金の嗜好に反吐が出る。

 ローの置かれた現況は、実際、そんなかわいらしいものではなかった。


▼ ▼ ▼


「純白」の概念を型に詰めたら、きっとこの部屋になる。それほどに、天井も壁も床も、全てが真っ白に作られた部屋だった。

 窓は無い。

 天井は、ワンフロア分としてはかなり高い。床面積も、キングサイズのベッドがいくつも入りそうな広さがある。

 高級ホテルもかくやという風情のこの空間は、しかし、全景を見通すことができない。

 その上、異様な音と臭いが漂っている。


 ……ギィ……ギッ…………。


 背骨を舐め上げられるような、二の腕をさすらずにはいられない音がする。

 ロッキングチェアーが揺れるように――首吊り縄が揺れるように。

 一人の男が吊られていた。

 磔のように、半端に宙に浮かされた状態でロープに絡め取られている、一人の人間。

 右肩の少し下から先の無い痩躯の男。

 白いロープは、彼に近いところほど赤く染まっている。

 男の体を幾重にも絡め取る白いロープは、彼の体から血液を吸い上げ続けているのだ。


未完


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