まさかの出会い

 まさかの出会い


新世界に存在するとある港町

その町にある少女がいた



彼女の名は『シュガー』

元王下七武海ドフラミンゴが率いる

ドフラミンゴファミリーの幹部だった少女だ

自身が食べた『ホビホビの実』の力で

ドレスローザの人々を玩具にし

『麦わらの一味』の最古参ウタを人形にした張本人である


そんな彼女がなぜこの町にいるのかというと特に理由などない

ドレスローザにてウタに敗れた後

ファミリー達が海軍に捕縛されていく中

海賊船に積んでいた小型の船で脱出した後

当てもなく放浪したまたまついた島がここだっただけだ


そんな彼女はとある理由によって絶賛困惑の中にあった


なぜ?どうして?


そんな言葉が彼女の中で繰り返される

彼女の目の前にあるその異様な光景が目について離れない


 「どうして・・・!?」





「大切にするのよ?その『お人形』」

「うん!これからもよろしくね!

『ウタ』ちゃん!」


かつて自分がオモチャに変えた友達の姿をした人形を持った子供の姿だった



「いったいどういうこと・・・?」


落ち着きを取り戻した彼女は状況を整理するどうしてか自分がかつて変えた友達の姿をした人形がこの町に広まっている

もしや航海中の彼女を見た誰かが流行らせたのか?はたまた単なる金稼ぎか?


「確かめる必要があるわね・・・」


これが善意からの行為なら自分が口出すこともない

だがもし人間に戻れた彼女を貶める為だったとしたら・・・

そんなことを考えながら彼女は町の人々が集まる場所に向かった




 「さー!!よってらっしゃい!!みてらっしゃい!!麦わらの一味の通信士!!新時代の歌姫ウタ先輩を模した人形だべぇ!!!さぁ買った買ったぁ!!」


「・・・・・」


シュガーが見たのは人相の悪い男がウタ人形を叩き売りしてる光景だった


(あれは確かドレスローザにいた・・・バルトロメオ)


『人食い』の異名を持ち様々な犯罪を犯した極悪海賊

それがなぜ彼女の姿をした人形を売っているのか?それを確かめるべくその海賊に近づいていく

もしもの場合は自身の能力を使うことも考えながら


「ねぇ」


「ん?なんだべ?お前もウタ先輩の人形がほしいんだべか?」


「あなたどうしてこの人形を売っているの?」


「?このウタ先輩人形をなぜ売っているかだと?そりゃおめぇ・・・」


「・・・・・」


「そりゃおめぇウタ先輩の魅力を全世界に広める為に決まってるべ!!」


「!ウタの・・・魅力を?」


「その通りだべ!!俺はこの目でウタ先輩を見た!!あの美しさに力強さに心の強さ!!俺は確信した!!あのお方ならばきっとルフィ先輩と共に新時代を作り上げるべ~!!」


「そ・・・そう」


その勢いに少し引いたがウタに悪い感情を持っていないようだ

なら能力を使うこともないだろう

だがそれとは別に言及せねばならないことがある


「そう・・・あなたのウタに対する想いはわかったわ・・・」


「おお!お前もウタ先輩の素晴らしさが解ったべか!?」


「だけどね・・・この人形の出来は何!?」


「べ!?」


「縫い目は甘い!ボタンの目はずれてる!布の色もまばら!こんなのでウタを再現しているとか片腹痛いわぁ!!!」


「ええ~!?唐突の罵倒~!?なんなんだべお前は!?俺達が夜なべして作ったウタ先輩人形にケチつける気かぁ!?」


「うるさい!文句言われたくなければもっと上手くなりなさい!!」


まさに一触即発お互いに譲れない部分があるため口論はより一層激しくなるかと思ったが


「そこのお二人さん・・・少し大人しくして貰おうか?」


「「ああ!?」」


二人がその声に反応し視線を動かすと海賊と思しき男達が周りを囲んでいた


「今からこの町は俺達ファンシー海賊団が占拠した!!無駄な抵抗はやめるんだな!!」


(・・・海賊)


シュガーにとってはどうでもいいことだ

この大海賊時代町一つ襲われても何もおかしくないそう思いここからどうやって逃げ出そうか考えていると


「悪いが・・・そいつは出来ねぇ相談だな」


「不器用男・・・あんた・・・」


「この町の人間にはウタ先輩の素晴らしさを末代まで語って貰うっていう大役がある!それを邪魔するんならぶっ飛ばしてやるべ!」


少しズレてはいるがどうやらこの男はこの町の為に戦うようだ

何故かその姿に大切な友達の面影を見た気がした

そんなわけないと思い早くここから立ち去ることを考えていると目に入ってしまった

あのウタ人形を抱えて怯えている親子の姿を

ため息を吐いて海賊を蹴散らしているバルトロメオの元に走る


「退きなさい!不器用男!」


「!?おめぇは!?」


そう言って飛び出したシュガーが触れた海賊達が巨大な頭割り人形と変わる


「おめぇ!?その能力!?」


「話は後よ・・・今はこいつらを」


「・・・・・おう!」




そして・・・

海賊達は二人の前になす術無くボコボコにされ全員お縄についた

そして共闘した二人はというと・・・


「助けてくれてありがとうな!チビスケ!」


「・・・・・」


「おい?聴こえているべかぁ?」


「・・・なによその反応」


「?」


「さっきの見て解ったでしょ?私がドレスローザで人を玩具に変えていた張本人、あんたが尊敬するウタを人形にしていたやつよ?なのに何でそんな素直に感謝するのよ!?」


「・・・・・」


「あんたにとっては私は恩人の仇みたいなものでしょ!?私を攻撃するタイミングだってあった!!なのにどうして「そりゃおめぇウタ先輩の友人を攻撃するわけにはいかんべ?」・・・は?」


「実は俺よ、ウタ先輩に聞いたことがあってな・・・」



ドレスローザにて



『と・・・とと・・・友達ィィィィィ!?』


『うん』


『ウタ先輩とホビホビの能力者が友達って・・・恨んだりしなかったんだべか?』


『恨んだよ・・・とても悲しかったし・・・どうしてこんなことをしたの?ってずっと疑問だった・・・けど戦ってお互いの想いを吐き出したらスッキリしちゃってね』


『ウタ先輩・・・』


『だからさ・・・もしどこかでその子に・・・シュガー会ったら私は元気だよって伝えてくれる?』


『・・・・・!!その大役引き受けましたべぇ!!!!』






「だからよウタ先輩が許しているんなら俺は何も文句はねぇべ!これで解ったべか!」


「はぁ・・・解ったわあんたら全員バカってことがね」


「いやーそれほどでもー!・・・ん?」


「でもそんなあなた達だから私達は負けたのかもね」


そんなシュガーの前にバルトロメオの手が差し出される


「・・・何?」


「何って友情の握手だべ!一緒に共闘したならそれはもう俺達は友達だべ!」


「何それ・・・意味わかんない」


(でも・・・・・悪くないかもね)


そう思ったシュガーはバルトロメオの手を取る


「今度はもっと上手く人形を縫いなさいよ」


「ああ!これからもよろしく頼むべ!













我がバルトクラブの裁縫指導係として!!」


「・・・・・・・・・・・・・は?」


「バリアボール!!」


そう叫んだバルトロメオはシュガーをバリアの中にいれるとそのまま転がして自身の海賊船に乗せる


「あんた何を!?」


「俺達は友達でお前はウタ先輩の友達!ってことは俺達は同士ってことだべ!!」


「意味わかんないわよ!?」


「俺はルフィ先輩を海賊王にしたい!!お前はウタ先輩を新時代の歌姫にしたい!!そこに何の違いもありゃしないだろうが!?」


「全然違うし私は別にウタを歌姫したいなんて一言も言って無いわよ!?」


「気にすんな!!」


「気にするわぁ!!」


こうして無理矢理バルトロメオの船に乗せられたシュガー

彼女が新時代の歌姫に再開するのはそう遠くない未来の話・・・

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