ぽにおと添い寝するだけ

ぽにおと添い寝するだけ


注意

・sv主人公視点(性別はどちらでも)

・デリバードポーチの商品捏造

・オーガポンと主人公の距離が物理的に近い

・筆者は対戦をしたことがありません  このssに出る戦略はサイトで調べて出たものです


時々、オーガポンは私と並んで寝る。身体は私よりずっと小さいはずなのに、柔らかな腕が私を包み込んでいるような気分になる。それから、決まってほのかに香る柑橘の匂いが私を優しく眠りへ誘うのだ。


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その日は祝賀会だった。


話題の中心はオーガポン。勝利の立役者となった彼女に対して、手持ち達は対抗心を示したり、褒めたり労ったりと反応はさまざまだ。


クレッフィの壁張りの後に満を持して現れた彼女は、つるぎのまいを舞い、ツタこんぼうで相手を薙ぎ払う八面六臂の大活躍。おもいだしたウッドホーンで体力を維持しつつ攻められたのも強かった。

試合運びを振り返りつつ、手持ち達にもみくちゃにされている彼女に声をかけると、満更でもなさそうな反応をした。馴染めていそうで一安心だ。

皆で料理をつまみつつ騒いでいるうちに1匹、また1匹と離脱して眠りに落ちていき、残ったのは私とオーガポンだけになった。腹が満たされてうつらうつらしている彼女を隣に寝るように誘うと、ちらとこちらを見て離れていってしまった。今日は気分ではなかったのだろうか。


しかし、おやすみと声を掛けて灯りを消す前、オーガポンの目に逡巡を見た気がしてやまなかった。


物音で意識が浮上した。薄目を開けると、オーガポンが手鏡を持っているのが見えた。月明かりを頼りに彼女が鏡を覗き込んでいる。空いた片手は角に添えられ、するりとひと撫でした後、悩ましげなため息がかすかに聞こえた。そこで理解が追いついた。彼女は今日の試合で自身の角の鋭さを再確認したのだと。角が私を害さないか心配しているのだと。私の配慮が足りなかった。明日、朝一番にデリバードポーチへ行こう。


翌日、朝の支度は早々に店へ向かった。私がオーガポンを連れたのはカバー売り場。トゲや角、刃を持つポケモンが、日常生活でうっかり傷をつけないように装着するものだ。オーガポンは珍しいポケモンだが、これだけの品揃えがあれば合うものは見つかるだろう。


その日の夜、オーガポンが私の前に立ち、いそいそとデリバードポーチの袋を差し出した。袋からカバーを取り出して角を持ち、カバーをそっとはめる。付け終わると、終始じっとしていた彼女が期待のこもった声を上げた。私は意図を察し手鏡を渡した。彼女が鏡を覗き込んだ瞬間、彼女の大きな目が輝く。よほど楽しみにしていたのだろう、逆に寝られるか心配なくらいの喜びようだ。

寝床のスペースを空けてすぐに、オーガポンが隣に入り込んだ。半纏の袖に似た腕が私の肩を抱き、横になった視界いっぱいに橙色の顔が映った。瞬間視界が暗転し、彼女の顔が離れた数拍後に頬擦りされたと理解した。頬に木質の構造物のゆるいざらつきと温もりがないまぜになって残る。それから私を抱き寄せ、私の胸に顔を押し当てるような格好で寝息を立てはじめた。ああ良かった、しっかり寝られたようだ。目を閉じると、身体に触れるオーガポンの感触と漂う柑橘の香りがより一層強く感じられる。安心感と満足感と共に私の意識も静かな夜に沈んでいった。


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