ふたなりある×イオリ
「起きなさい」
「っ……~~~~~、どういうつもりだ!」
パシン、と乾いた音が響く。
普段の私は、こんな風にしただろうか。
あるいは、そんな普段通りに振舞えないほどに、私の性欲は抑えられないのか。
とはいえ、目的は果たされる。
彼女は、痛みに目を覚まし、そして。今の状況を把握し、顔を真っ赤にして噛みつくようにこちらをにらみつける。
そうだ、この場所を理解したのだろう。
ここは、ブラックマーケット。
キヴォトスの暗部の一つ。そのホテル。
基本的には生徒以外の大人が使う場所だけれど。
いつだって例外は存在する。……私も、カヨコに誘われて初めて知ったのだけれど。
「おい、聞いてるのか!べんりっ~~~」
よく吠えるその口を、私は唇で塞ぐ。
唐突過ぎるその感触に、彼女は驚いて動きが固まったのをみて、ちょっとだけ普段はムツキに制限されてる舌遣いを解禁する。
こうなってしまったなら、一度、足腰断たなくなるくらいにまでしてしまうほうがいい。
ムツキ曰く、私のキスはそういったレベルらしいから。
舌をそのまま彼女の口内に滑り込ませて、絡め、吸い、蹂躙する。
「……もしかして初めてだった?」
今から一方的に使いつぶすつもりだというのに、私の体は無意識に彼女の体を堪能するように、抱きしめていた。
うるんだ彼女の瞳は、とろりと蕩けて、先ほどまで噛みつかんばかりに吠えていた彼女の側面は塗りつぶされて、ただ、かわいらしい年ごろの女の子がこちらを見つめていた。
「今から、あなたを使うわ、……私のことなんてしってるでしょ?いやなら、逃げなさい」
スカートをたくし上げて、私は、自分のモノを見せつける。
彼女からの、応答はなく、ただ、唾を飲み込む小さな音が防音の効いた部屋に響く。
1,2,3。
少しだけ時間を空けて私は、彼女の肩を押す。
抵抗はなく、あっさりと、イオリはベッドへと倒れこむ。
視線が、彼女と交わる。赤い瞳が、私を捉えて潤む。
怯えているのか、初めてが不安なのか。
「安心なさい、ちゃんと、リードして上げるわ」
滅茶苦茶にはするけれど、その言葉を飲み込んで、私はもう一度彼女の唇に、今度は優しくキスを落とした