ふたなりあるちゃん×ひな導入編

ふたなりあるちゃん×ひな導入編


「お疲れさま、アル……しかし、一日で終わらせたのね」


「……えぇ、見積もりは、あなたの部下が出してくれたわ」


その後、引っ越しと布団の処分を終えた私は、風紀のオフィスに呼び出された。


「銀行は私たちが凍結しているから振り込みはできないもの」


そう、あっけからんといった彼女により、私は彼女の部屋に来なければいけなかった


少なくともそれは礼儀として、それと実力的にも。みんなを危険にさらすわけにはいかない。


「……これ、貴女の字ね」


「いくら計算手伝ってもらったからって、外部の子に自分のところの会計任せきりにはできないでしょ」


「そう、……意外だったわ」


そういって、彼女はアタッシュケースを取り出して机に置く。


「アコから連絡は受けていたから、準備はしておいたわ。確認して」


「えぇ……」


なんだか、すっごくアウトローらしい展開に少しだけドキドキしながら、ケースを開ける。

そこに詰められているのは、当然のようにお札の束。

普段見ない額数がきっちりと詰められて……って。


「……多いわよこれ」


そう、多い。

勿論、弾薬代はもちろん引っ越しの費用も請求しているのだからある程度の金額にはなる。

けれど、アタッシュケース一杯に札束が詰められるほどの金額ではない。


「えぇ、実は、もう一つ依頼があるの」


そういって、彼女は私へと近寄りこちらを見上げる。

武器はない。私も、彼女の手にも。

だが、彼女の間合いにスルリと入られてしまった。


絶体絶命な状態に、息をのみ、背中に僅かばかりに冷や汗をかいて。

けれどそんなものを見せるわけにはいかない。


指先が、私の首筋を伝い、顎へと届く。

その短い時間。彼女が次に紡ぐ言葉を黙って待つ。


「……私を抱いてくれないかしら、陸八魔アル」


「……は?」


思いがけない彼女のそんな一言に、私は、ただ、間抜けにそんな声を上げるのだった。

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