のど拓SS「掌の鼓動」裏話

のど拓SS「掌の鼓動」裏話

空色胡椒

今回お題のリクエストをいただいて書き上げました、のど拓シリーズ「掌の鼓動」について、裏話をまとめさせていただきましたので、ここに掲載いたします。


初めにのど拓について書くにあたって絶対に入れたい要素が以下の2点でした。

・ダルイゼンとの因縁への1つのアンサー

・のどかが悲しい気持ちで終わることだけはしないこと

まずはそれぞれについて簡単に解説したいと思います。



ダルイゼンとの因縁についてはヒープリをご存知の方は既に重々承知と思います。主人公であるのどかの背景にあった5年間もの闘病生活、その原因となったビョーゲンズ。彼が生まれ落ちたことによってのどかは元気になりましたが、プリキュアとして改めて対峙することになったのがヒープリの物語の始まりでした。


上記については物語途中で明かされましたが、OPでの「この出会いは運命」とか、「生きてるって感じ」という口癖とかで今後どうなるのか気になる組み合わせでした。それだけにダルイゼンの最後は個人的に思うところもありました。


これについてはダルイゼンを救わないのはおかしい、ということではなく、なんだか決着がつかずに終わっちゃったな、という感じでした。ダルイゼンとの戦いは怪物と化して暴れるかれをもとの姿に戻したら意識不明のまま取り込まれちゃった、という形だったので、ちょっと物足りないな~、と思ってしまったわけですね。なので今回、折角なら彼にも登場してもらいたいなと思ったわけです…いやぁ、まさか全プリキュアライブのスペシャルステージで複製体だしセリフもなしだけど本当に彼が登場してデパプリチームとも対峙するとは…予想外でした。



もう一つが悲しい気持ちで終わらせないこと。これについてもこのスレの皆様ならご存知、のどかちゃんと言えば拓海との関係性的には悲恋・曇らせ・切ないという、思わず胸がキュウっとなるような展開が多いこと多いこと。ゆいと対比する形での考察も中々に深いところをついている印象があり、それもあってのどかの負けヒロインイメージが根付いてしまったところも正直ありました。当然拓ゆいが大前提であるのですが、登場してからのどかのハッピーエンドは本当に少ないですからね。


じゃあいざ自分が書くとなった時、最初にスレにコメントしたようにヒープリチームのキャラエミュがなかなかうまくいかなかったので改めて全話とはいかずとも数話見たり、他チームとの絡み方の参考として改めてミラクルリープと映画を見直したりしましたが…ほんとにのどかには報われて欲しくなっちゃうんですよ。ピンク主人公の中でも特に儚くて、大事にしたいって思わせるタイプ。だから自分が書くときはせめて悲しい気持ちで終わるのではなく、ほんの少し、光が見える終わり方をしたいと思ったのです。



ここからは各エピソードの振り返りと掘り下げですね。

まず舞台設定としてはおいしーなタウン、しかもナルシストルーとモットウバウゾー時代に設定しました。これについては品田拓海=ブラックペッパーであることを知らないタイミングでの邂逅にしたかったというのがメインの理由です。何故そうしたいと思ったのかと言いますと、のどかと拓海の距離が近づく今作において、ゆいもまだ知らない秘密の共有というシチュエーションを作り上げること、そして仮に拓海とのどかが親しくなってもゆいが曇らない無敵モードであって欲しいということからでした。


さて第1話では拓海の気遣い上手なところと、客とホスト側という関係性よりも同年代の友人関係になりやすい掴み部分を作りたいと考えました。それが「自家製柚子ジャムと黒胡椒のホットドリンク」ですね。なおこのドリンク、実際に私が愛飲しているものを使わせていただきました。本当に体が温まるのでおすすめです。ちなみに私はお湯ではなくバタフライピーティー(通常は青色、酸味に触れると紫に変わる、血流促進による緊張緩和、目にもいい)と合わせて飲むのがお気に入りです。


第2話ではエレメントさんと似た存在、レシピッピについて知ってもらおうと思い、実際に見かけるところを入れたいと思いました。そのついでではありますが、3人の拓海評をちょっと出してみましたね。3人がそれぞれ評価しそうなポイントを考えてみましたが、果たして解釈としてあっていたのかどうか…そしてレシピッピについて教えてくれるのを誰にしようかと思った時、登場してもらいました我らがヒロイン菓彩あまねさん。

レシピッピが見えるということに関心を持って話しかけたというのもありますが、彼女なりにブンドル団のこともあってレシピッピを日ごろから気にかけていそうだな、と思ったのでこの役割を担ってもらいました。また、テイクアウトする時に一番いろんなお店について詳しそうだと思ったのもその理由の一つですね。


第3話ではスレでは当たり前に行われているけれども、時系列のことを考えると珍しい拓海とあまねの会話、ゆいについての話とそれによって軽くですが、のどかに気になってもらいました。あとはタイトル通り、「食」というのは「人を良くする」とおばあちゃんが言っていたので、食べることを大事にするデパプリと人(だけじゃないけど)を良くすることを大事にするヒープリということもあり、そこに触れてみました。まぁ実際にそう言ったのは和実家のおばあちゃんではなく、天の道を往くおばあちゃんなんですけどね…

あとはやっぱり食に関する共通の話題も展開しやすいこと、コンプリのインタビューで並んでも馴染む想定という話があったことを踏まえ、「この出会いは運命」かもしれないという話を拓海とのどかにしてもらっちゃいました。こういう軽いいちゃつきはなんぼあってもいいですからね。


さぁさぁ第4話、今回のストーリーでは基本的にはヒープリ映画における5GoGo組のような立ち位置となった拓海のヒロインゆいとここね、らんが登場。ご飯と共に交流する様子を描いてみました。まぁ最初の方で示したように、悲しい気持ちで終わらないようにというのもあったので、あまりバチバチさせたくないし、折角並ぶなら仲良くなって欲しいということもあり、「ご飯は笑顔」と「生きてるって感じ」を互いに伝え合う感じにしました。

そしてゆいが加われば当然食べ物の量が心配になりますよね?ということでおむすびというシンプルでありながらもすぐに用意できるものを拓海が準備して、のどかがそれを食べるという流れに持っていきました。やっぱり、拓海の料理に特別感を覚えてほしかったので。いろいろなお店のこだわり料理を食べたのに、何故か特別に思えたのが拓海のおむすびだった、というちょっとした乙女心の演出になったんじゃないかな、と思っています。


第4話の終わりでは、改めて食の町に来たことでのどかが感じたことを何か描きたいなと思いました。農家が育てた食材を、母やすこやいろんな人が運んで、それを料理人が美味しいご飯にして、食べた人に力を与える。そして力を貰った自分たちが今度は、その食材が育つ場所を守るという循環、間接的にせよ直接的にせよ確かにそこにある他者との「繋がり」というのを実感して大切にしたいと思うのどか、と言うのを描きました。

この時点で最後の決戦での展開についてはこの「繋がり」をフィーチャーしたいと思っていたんですよね。だからこの前の復活上映で鷲尾さんがプリキュアとは「手を繋ぐこと」と答えたことに、ちょっとだけ驚いてました。


第5話は所謂恋バナですね。のどかはそれが初めての感情だからよくわかっていない。ただ、拓海がゆいを特別に思っているんだろうな、というのは察している。だからどうするもないとちょっと思ってしまっていたわけです。その背中を押すとしたら、ひなたなんじゃないかと思いました。

ひなたは確かにちょっとネガティブになってしまうこと、自己肯定感が低くなってしまうことはありますが、それでも楽しいことはめっちゃ楽しみたいし、嬉しいことはめっちゃ喜びたい。そんなひなただからこそ、実はこういう時にどーんと背中を押せるんじゃないかと思いました。反対にちゆは拓海の気持ちがゆいに向いているなら下手に傷つかないようにした方がいいんじゃ、と冷静になってしまうタイプかと思ったので最初は口を出せない、でもひなたの考えを聞いて、それも理にかなっていると思えたらのどかが望むなら背中を押すだろうという解釈で、今回描きました。

そしてその裏で復活したのがあいつ…そう、ダルイゼンですね。今回もうちょっとそのきっかけになったナルシストルーをうまく動かすことができればなぁ~、と言うのがちょっとした後悔ですね。ほんとにダルイゼンが復活するきっかけを作っただけになってしまった…ごめんね。


第6話では拓海と3人が行動を共にします。作中でも描いたように、ちゆやひなたは拓海の周りにいるあの4人と共通する部分がわりとあるため、拓海としてもそう緊張はしないけれども、のどかのような女の子はあまり見てこなかったから戸惑う様子を入れました。実際デパプリメンバーに慣れていたら、のどかはほんとに新鮮な相手になると思うんですよね。

ゆいとの違いはまぁ既に沢山出ていたと思いますが、実際他と比べてもここねとは違った儚い風のおしとやかさ、背の低さはらんとは違い幼い印象はあまり与えず、時折見せる大人びた雰囲気はあまねの凛とした立ち居振る舞いとは違う柔らかい方面で、と似てるようなそうじゃないようなという部分が多い印象を受けましたね。だからこそついどぎまぎしてしまう男子中学生としては仕方のない拓海のそういう部分を入れてみました。


第7話ではいよいよダルイゼンとの再会ですね。本来可能かどうかは度外視したうえでですが、今回彼がメガビョーゲンに選んだのはレシピッピ。これは2つのプリキュアチームが共闘するための伏線としてその流れにしました。また、レシピッピからのSOSが必ずしもブンドル団関係にはならないだろうという予想から、これをきっかけにゆい達が合流する展開にしました。

ここでは拓海に一度気絶する形で離脱してもらいました。これも共闘のために必要な要素と思ったからです。デパプリが戦うことになって、マリちゃんがいるなら絶対デリシャスフィールドの中になる、でもそうしたら後から来るアスミやヒーリングアニマルがどうやって合流するか、と考えた時に、だったらブラペが連れてこれるように彼も遅れてくる形にしたらいいんじゃない?となったわけですね。またこれにより拓海=ブラペという秘密がまだ守られている流れを作ろうとしたわけです。


第8話のキーポイントは2つ。デパプリが初めて戦うメガビョーゲンについての知識を補うためのプリキュアバレ、そしてのどかとダルイゼンの会話。まず当然ながらウバウゾーとメガビョーゲンは敵という共通点こそあれども全く別の存在。オールスターとかだと同じように技が効くときもありますが、ヒープリの戦闘で重要なポイントとなったのが「キュアスキャン」だと思うのです。作中ではっきりと先に正確にエレメントが捕らわれている場所を見つけて、そこに浄化技を当てて救出する形で対処していることから、ただやみくもに浄化技を使えばいいというわけではなく、ヒーリングアニマルが来るまで持ちこたえる必要があるという形に落とし込みました。これによりヒーリングっどプリキュアが再度変身できるようになる必要性と、それまで世界を蝕ませないためのマリちゃんとデリシャスパーティープリキュアの必要性を見せられたらな、となったわけですね。


そしてダルイゼンとのどかの会話についてですね。

ここに関しては正直どう手を出すか一番悩んだところでした。あくまで個人の印象ではありますが、仮に本編通りのダルイゼンが何かしらの形でまたのどかの前に現れた場合、自分の経験したことをベースに意趣返しのように語りそうだな、と思ったのです。これについては本編では和解も理解もなされない終わり方だったこともあります。のどかの「わかってない」という発言に対して、「じゃあお前はわかるのかよ」って返す、それがダルイゼンかな、と。実際年数はともかくとして、のどかがダルイゼンが寄生していたことによって与えられた苦しみとダルイゼンが最後にキングビョーゲンに取り込まれることになって感じた苦しみは互いには完全に理解することは難しいことでしょうし、相手にとってはそれが生きるために必要だったこと(相手を傷つける自覚のありなしは異なりますが)という点からのどかに突きつける絶好の問いかけになりそうだな、と思ったのでそれを入れました。


第9話、いよいよヒーリングアニマルとアスミの登場です。と言いましたが、今回あまり彼らに活躍の場を設けられなかったのは悔やまれますね。ひろプリwithデパプリの時は別れのシーンや拓ゆい疑似親子感を出せたのですが…そんな中で活躍が大きめだったのがラテ様でしたね。先にもありましたように、拓海がデリシャスフィールドに彼女たちを案内する役割をするという流れのため、気絶した彼を助け起こすところから始めました。

そしてこの頃は正体を隠しているため、一度離れてからの変身、そこからの登場とプロセスを踏みましたが、当然アスミにとっては得体の知れない相手ですから警戒するわけです。が、流石ラテ様、鼻がいい!それによってラテは彼が先ほどの少年だとわかった、だから警戒しない、だったらアスミもラテが信じる彼を信じる、という流れを生むことができました。


第10話。のどかとダルイゼンの話はまだ続きました。ここで大事にしようと思ったのは、のどかが後悔しているわけではないし、ダルイゼンがこのまま続けるならもう一度倒すくらいの覚悟でいることを崩させないことでした。あくまで個人的にですが、あの時のどかは何も間違っていないと思うし、周りもその選択を責めるものはいないだろうと思ったからですね。助けてもらったから誰かを助けないといけない、そんな自己犠牲だけで成り立った優しさじゃなくて、自分を大切にできるから生じる正しい優しさを身に着けたのどかだから、その終わり方にだけ少し思うところがあった、というところに落とした感じですね。

あと、ここではできる限りダルイゼンには悪辣になってもらいましたね。メガビョーゲンの蝕んだ泥のようなものを相手に塗るような行為も平気でやりますから、これくらいならやりかねないかな、と。本人としては今重要なのはのどかであって、それを邪魔させないためにそうしているだけなんですけどね。

そんなダルイゼンですが、邪魔が入り続けそうだったので手っ取り早くのどかに最大の意趣返しをしようとするわけですが、そこに現れるのがヒーリングっどプリキュアのエース、キュアアースと我らが主役(ここだけ)ブラックペッパーですね。ちなみにダルイゼンの悪辣さについては彼ののどかの扱い方とブラックペッパーの優しく抱き留めたり支えたりする対応と対比させる意味合いも持っていますね。


そしてのどかとダルイゼンの決着、の前に、ブラックペッパーが割り込みます。本当にするべき事は何か?作中でも目の前のダルイゼンよりも苦しんでいるエレメントさんを助けることを優先できるのどかならどっちを選びたいと思うか。詳しく知らなくても、自然とそうできるように背中を押せる気遣い上手なブラックペッパーと、託して仲間のもとへ向かうのどか。こういうところの積み重ねが、のどかの中でブラックペッパーと拓海の関係への気づきへと繋がるわけですね。

あと、単純に自分もダルイゼンとブラックペッパーが戦うところが見たかったんですよね。以前もスレでそんな展開の想像があがってましたし、ひろプリwithデパプリのシナモンの役割を担ってもらったわけですね。ただパワーバランスについては大事にしようとは思ってました。プリキュア複数人を相手に戦えるダルイゼン相手にブラックペッパーが勝つことだけはないと決めてました。ゴーダッツとも渡り合えたシナモンや、スレに時折描かれる成長した後のブラックペッパーならともかく、この時の彼はプリキュア1人とほとんど変わらない戦力なので。全力の時間稼ぎをしてもらう方向で描かせていただきました。


第11話ではヒープリが加わったことによってお手当てが可能になったこともあり、プリキュア達が攻勢に出ます。ちょっとした連携もはさみながらですが、ここは基本的にはエキスパートであるヒープリのフォローにデパプリがまわる形で描いてますね。そしてレシピッピを助けられる、となった時にダルイゼンがまた邪魔するわけです。本人が来るんじゃなくて、メガパーツを使って強化させる形で。

この強化も単純に強くなるわけではなく、12話ではメガビョーゲンが変化することによって救出が困難になるように描きました。でもヒープリがいれば大丈夫、となるのではなく、レシピッピというこれまでに被害を受けたエレメントさんとは異なる存在であるために、ヒープリやヒーリングアニマルの常識が通用しないという形での強敵として立ちふさがるようにですね。


キュアスキャンがうまくいかない、レシピッピを助けるための手段を確保するしかないがその方法が分からない、じゃあどうしたらいいのか。ここで大人でありブレインでもあるマリちゃんに思考してもらいました。今回注目したのはハートキュアウォッチのレシピッピのSOSを受信する機能。それを用いることで危機に瀕したレシピッピの居場所が、ゆい達には伝わっていましたが、その機能を今回のお手当てに応用できないかと考えたわけです。メガビョーゲンの身体を精密に検査することができるキュアスキャンと、レシピッピからのSOSを居場所ごと受信することができるウォッチの機能。これを組み合わせればこの特殊な状況を打破できる、という流れですね。先ほどまではヒープリメインでフォローがデパプリでしたが、ここからは対等に、まさにチームアップでのオペレーションを開始するわけですね。

今回ステッキ持ちが3人、またメガビョーゲン相手には原則ファイナルヒーリングっど・シャワーではなくヒーリングオアシスを使用していたことから、アースとウォッチではなくペンダントを持っているフィナーレは足止めがかりになってもらい、プレシャス達のウォッチを巻いた方の手と、ラビリン達が一体化してるステッキで、キュアタッチからのキュアスキャンを発動してもらう方向にもっていきました。

そこからは時系列的にデパプリ最大の浄化技のMIXハートアタックと、ヒープリチームのヒーリングオアシスの連携技でレシピッピを救出する方向に繋げたわけですね。あくまでも同時に命中という方向にしなかったのは、オペレーション=医療行為である以上、そこはエキスパートであるヒープリの技でしめることに意味があると個人的に思ったからです。


そしていよいよ目玉であるダルイゼンとの決着。放送当時はGoプリのクローズみたいにラスボス的な感じになるのかと思っていましたので、ある意味それを実行した形になりました。決戦前にグレースとダルイゼンが交わし合った言葉、そこがヒープリでの2人の関係性に関する自分なりに描けたアンサーじゃないかと思ってます。のどかは人間としてビョーゲンズとも生きられるかもしれない(エゴエゴの件も踏まえて)という考え、ダルイゼンはビョーゲンズとして生きることの主張、それがどうしても相いれないから戦う。最終的には戦うしかなくても、互いの考えを最後までぶつけられたことは、のどかにとっても一つ踏ん切りがつくイベントになりえたのかな、と思います。


そのままのダルイゼンで8人を相手にするのは流石に分が悪いだろうと思ったため、特殊な経緯で誕生した強化型メガビョーゲンのエネルギーだけを吸収する形でパワーアップしてもらいました。名前については本人は特にこだわりがないだろうから、多分キングビョーゲンとかグアイワルを真似てそれでいいや、ってなると思ったのでキングダルイゼンとしました。プリキュア達の最大の浄化技を受けきり、それを打ち破ると、割と圧倒的に描きましたがこれも最後の展開が先にイメージに合ったため、そこに繋げる形でこういう描かれ方になりました。


ダルイゼンがラスボスである以上、ヒープリ要素が強くなりがちなところで、最初に立ち上がるのはあえてプレシャスにしてもらいました。理由は主に2つ、この中で一番フィジカルが強そうだからということと、時系列的にメンタル無敵モードなゆいだから。おばあちゃんの言葉を胸に、どんな時でも笑顔を見せながら立ち上がる。その姿が、のどかが最終決戦で抱いた、「負けないために戦う」を体現できそうだなと思ったので、ヒーローっぽい活躍をしてもらいました。そしてこの物語の中でのどかが感じた地球で命が繋がっていること、ゆいがいつも感じているご飯が結ぶみんなの想い。その2つが重なり合う中で他のメンバーやブラペの力を借りたことで新たな力に目覚めるという流れにしました。


そして今作で登場しましたオリジナルのフォーム、というよりオリジナルのプリキュアと言ってもいいですね。


「「重なる2つの笑顔のパワー!キュアグレーシャス!」」


こちら、名前については確か過去にスレで見かけた…と思うんですよ。なんか頭にずっと残ってて。なんかその時はほんとに小ネタとしてどこかのレスで出ただけだったような気がしますが、折角ならそれを本当に登場させようと思ったので、名前だけいただきました。


何故オリジナルフォームでなくオリジナルプリキュアと言ったか、それはこの2人の力が完全に1つになっているからです。2人に新しい力が宿ったというよりも、1つの新しい力を2人が振るっているというパターン。他の作品で例えるならコス〇スとジャ〇ティスが合体して現れるレ〇ェンドですかね?2人いるけどその力は1つ。2人で(1つの)プリキュア。だからこそ互いに呼び合う時にはグレースやプレシャスではなく、のどかちゃんとゆいちゃんと呼び合うようにしたのです。またそれぞれがしていた金色の指輪については、後に登場予定のデパプリのパーティーアップスタイルの時にしている指輪の先行登場っぽい演出として取り入れましたし、時系列上は1000キロカロリーパンチまでの頃だったので、2人で発動したものは5000キロカロリーと、お子様ランチドレスの時(4000キロカロリー)を上回り、最終的なプレシャスの到達地点にあえて置きました。


また、この時の戦闘においてゆいとのどかがダルイゼンへとかけた言葉、キュアグレーシャスという存在、そして戦闘。これらはヒープリの映画、ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!の挿入歌、Grace Flowersをモデルにしてますね。歌詞を見ていただいたらわかりやすいですが、多分に影響を受けています。(以下一部抜粋)


「誰かを思う時 誰かと笑う時 確かに世界は輝きを増す


あたたかい奇跡に 包まれた同じ星で生きてる Grace Flowers」


上記の曲から連想した決め技が、「グレーシャスエンブレイスメント」


グレーシャス(Gracious)は優雅な、恵み深い、親切な

エンブレイスメント(Embracement)は両腕で抱きしめる


両腕で抱きしめる、というのが今回のミソですかね。片手じゃなくて、両手。単純に一人の人間がそうしているのもいいですが、個人的なイメージとしては片手ずつを繋いだのどかとゆいの空いている方の手同士が伸ばされたイメージですね。恵み深いという意味も込められた姿からの抱擁により、ダルイゼンの中に満たされた気持ちを与えるという流れは、個人的には気に入っています。ゆいに関してはダルイゼンと因縁ないじゃん!と思うところもありますが、ゆいは映画で心も体も飢えていたケットシーに初対面でも手を差し伸べる子なので、今回もその気質があったから、詳しく知らないけれども、自分が共感したのどかの「生きてるって感じ」を伝える手伝いができるんじゃないか、そう考えました。


こうして激闘を終えたエピローグ第15話。今回は賑やかな大団円というよりも、のどかと拓海の2人にフォーカスした形にしました。拓海と長い付き合いがあるから調子が悪いのもすぐ見抜けるし、かっこ悪いところもたくさん見てきたと肩を貸せるゆい。ラテ以外はまだ知らなかったブラックペッパーの正体、それに彼の態度や接触の際の感覚で唯一気づいたのどか。この辺はちょっとした対比として入れました。そして最初の方でひなたに言ってもらったように、のどかとの出会いは拓海の世界も広がるきっかけになり、それによって図らずも拓海の中で大きな存在になったわけですね。デパプリ本編からは乖離してしまう完全IFの世界戦ができたことになるわけですが、こういう形ならのどかと拓海の関係にも希望があり、悲恋では終わらないかもしれない…そんな可能性を残したいと思ったわけです。



いやしかし、のど拓のほのぼのいちゃラブとかの方が多分シンプルに書けただろうに、どうして自分が書くとこうなってしまうのやら…


次はどんなものを書くかは全然決めていないのですが、また何か面白そうな題材があればぜひとも教えてください笑


以上、空色胡椒より「掌の鼓動」裏話でした~。


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