にく

にく


注意

不快感のある表現、短めなど



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「はァ…はァ…腹減った…」ヘロ

 海賊達の死体の山の上でルフィは大きく腹を鳴らし息を切らしていた。

 幼少期からジャングルに幾度となく放り込まれたルフィは猛獣だらけの場所だろうと生きて来れた。

 だが、彼が今いる島は猛獣どころか生き物すら居ない島だった。必然、獣狩りをする訳にもいかず釣りと食べられる植物を集めて食べる事となる。

 そんな生活が数日続いた中での強襲して来た海賊との戦闘で、ルフィは完全にスタミナ切れを起こしていた。

「肉…」

 肉が好物のルフィにとって現状は最悪のものであり、そんな極限状態の中で思い当たってしまった。

「にく…」ゴクリ

 目の前に積み重なった“肉塊”を。人間としての禁忌であると理解していても喉がなる。

 積み重なった肉塊から一つを取り出す。本能が拒絶反応を起こし理性が警鐘を鳴らす。

 空腹では戦えない。戦えなければ守れない。それは当たり前の事だ。それが例え禁忌であろうと、人の道を踏み外す行為であろうと。

「ウタを守る為なら…おれは…」

 ルフィは意を決し目の前の肉に齧り付く。調理も何もされてない肉は無駄に筋肉質で硬く、噛む度に血が噴き出し口の中で混ざり合う。

「うっ…ぐっ…」ゴクン

 余りの不快感に吐き出しそうになるのを決意で押さえ込み喉に肉を通す。脳と胃が拒絶反応を起こし逆流しそうになるのを、ゴムの内臓を動かす事により強引に堰き止める。

 ただ死ぬ気で貪り食う。ルフィは人生で初めて起こる肉への拒絶感を捩じ伏せ、ただ目の前の肉を口に運ぶ。

 胸に手を突っ込み内臓を引き摺り出す。肉の中は生暖かく、うにょうにょとした感触がまだ生きてる様に錯覚させる。

 取り出した内臓は生温かさが残っており、生臭くてとても食べられた物では無いため、息を止め一気に流し込む。

「まだこんなにあるのか…」

 肉を一つ分食べ終わった後、ルフィは眼前に広がる肉塊の山を見てそう呟く。

 一つ分といえども大食感のルフィの胃袋を満たすには足らず、むしろもっと寄越せと胃袋は音を鳴らす。

 ルフィはまた一つ新しい肉を掴み上げると不快感をねじ伏せ齧り付く。今度の肉は血が全身に染みておりとても食べられる味ではなかった。

「食った食った。これで何日かは大丈夫だな…体だけ洗って早くウタの所に戻ってやらねェと。」

 肉の山が片付きルフィの前には割れた頭部の骨や肉に付いていた骨ばかりになっていた。

 ルフィはそれらの海の中から立ち上がるとフラフラと吐き気を抑えながら水場に歩いて行った。

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