なるべくほんわかさせてみた

 なるべくほんわかさせてみた


 小僧、俺にも作れ。耳元にぐぱぁ、と口が開いてそんな声がした。

 せっかく伏黒と肉団子を作っていたのに、急に聞こえてきた。その時は、勝手にぐぱぁ、と開いた口に肉団子を投げたのだ。その内、自分用の夜食を捕られるようになった。




「小僧、宿儺様に何を……」


 それを咎めてきたのは、裏梅という男?いや、女?だった。食い指しをうんたらかんたら、宿儺様の食事がうんたらかんたら。

 氷を腕に纏わせる裏梅にびっくりして、五条先生に連絡したのだ。

「ゆーじ?うん、食材?量がわかんなくてさ。うん、そう、今から」

いくね?

 がら、と急に空いた窓、風に揺れる白い髪。ふわ、と浮いた俺の体。

 着いたのは高級オーガニックスーパー。卵一個500円、豚肉100gが850円、食パン1斤1200円。肉団子に必要な材料を買ってくれる筈が、五条先生が増やしていく。卵は2個でいいのに、「いいの?半熟の目玉焼きを鰹節と一緒にご飯に乗せたら美味しいのに…」なんて言われたら食べたいじゃん!バターで焼いた方が美味しいよ、と言われてバターを入れ、パン粉のついでと食パンも買い、値段はかるく5桁。あれ?

 帰りが遅いと裏梅に蹴られつつ、肉団子を作る。先属料理人というだけあって、みじん切りが細かいし手先は器用。下茹でした肉団子の茹で汁があまりに美味しくて、白菜とワカメと味噌汁を突っ込んだ。


 小僧、と睨まれていた筈が、裏梅さん?ちゃん?くん?が色々アレンジを教えてくれる。流石専属料理人。



「五条先生!なんか宿儺と仲良くなった?」

「え?なんで?」




 

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