なりきり御巫神楽

 なりきり御巫神楽


 「うそっ、勃たない」

 それはフゥリにとって想像だにしていない事態だった

 アラヒメの依代である彼女を神と同一視せず一人の女性として愛してくれた青年とのはじめての情事

 だが、彼のモノは硬くならずただ柔らかくふやけたままだ

 自惚れているわけではないが整った美しい顔立ちと鍛えられ引き締まっていながらも女性らしい丸みを損なわない自身の身体つきには自信をもっていた

 多少の不安こそあれどもきっと満足してくれるだろうと思っていた 

 「その、ごめんね…うまくできなくて」

 「いやフゥリはせいじゃなよ。悪いのは僕なんだ」

 青年はそう言って申し訳なさそうな表情で俯く

 「その、笑わないで聞いてくれる?」

 「うっ、うん」

 フゥリは青年の纏う空気の変化を感じとると気を引き締め真剣な面持ちで彼の言葉を待つ

 「その実は僕……甘えたいんだ」

 「へっ?」

 フゥリは呆気にとられた

 てっきり不能だとか女性に対して恐怖心を抱いているだとかそういう深刻な話が出てくるものだとばかり思っていたからだ

 「フゥリはがアラヒメ様の依代になって大変なことや辛いことがたくさんあるのはわかってた、だからそんなフゥリを支えるためにこれまで格好つけて頼りになる男を演じてきたつもりだったんだけど……」

 「だけど?」

 「もう限界なんだ。本当は優しく抱きしめられたり頭を撫でてもらえたりしたいんだ」

 その言葉に思わずフゥリは吹き出してしまう

 「あはは、なにそれ」

 「笑わないって言ったよね」

 「ごめんごめん」

 フゥリは青年の悩みがずいぶんとかわいらしいものだった安堵した

 「いいんだよ。いっぱい甘えても」

 フゥリはそういって青年を抱き寄せるとその頭を撫でる

 「いままでありがとう。君がいなかったら私はどこかで壊れてたかもしれない」

 「こちらこそだよ。君がいてくれてよかった」

 だが悲しいことに肝心の青年のモノはまったく反応をしめさない

  「なんで…」

 フゥリは単純に自身の魅力が足りないのではないかと自責の念にかられそうになったところで青年は口を開く

 「……足りないんだ」

 「足りない?」

 フゥリは言葉の意味がわからずそのまま聞き返してしまう

 「母性というのかな、包み込むような優しさというかその…アラヒメ様みたいな」

 「今さらっととんでもないこと言ってない!?」

 青年は最後の言葉は意図しないものだったらしく慌てて首を振る

 「いや違うんだ、アラヒメ様を性的に見てるとかじゃなくて……フゥリは大好きだしすごい魅力的だと思うけど……いや、その…ごめん」

 青年は沈痛な面持ちで謝罪をした

 「じゃあさ、私がアラヒメ様みたいになれば問題ないってこと」

 「……いや、ダメだよ」

 男はなんとか否定の言葉は引き出すが一瞬期待してしまったことを隠すことはできなかった

 「一つだけ約束して。今目の前にいるのも君を愛しているのもアラヒメ様じゃなくて私だってこと。それだけは忘れないで」

 「わかったよ」

 フゥリの言葉はどこか寂しげながらも決意のような固い意志を感じさせる

 「ふぅー、すぅー、はぁー」

 フゥリは深呼吸を繰り返す

 それはアラヒメを顯現させる前の準備運動といったところだが今行うのは神聖な御巫神楽ではなくアラヒメはどんな情交を行うかを想像しながらそれになりきって行為を行うというなんとも罰当たりなものだ

 アラヒメの神格は依代であるフゥリとは対象的に穏やかで包容力のある女性である

 これまでフゥリはなにかとそのことを周囲から比較されて不快な思いをしたこともあるがよもや自身が彼女を演じながら交わることになるなど考えもしなかった

 「辛かったですよね。いままずっと我慢してきたのでしょう。今は私の胸の中で存分に甘えてくださいね」

 フゥリは青年の耳元で囁くように語りかける、その口調は普段とは異なりアラヒメそのものといった風だ

 フゥリは優しく微笑みかけながら青年を抱きしめる 

 「いままでよくがんばりましたね。ご褒美をあげましょう」

 そういってフゥリは少し顔を赤らめながらも乳房を青年の口元に寄せると青年はそれを口に咥える

 「んっ…」

 フゥリがピクンと反応をみせると青年はそれに気をよくしたのかさらに強く吸い付き舌先で乳首を転がしたりしている

 これまで冷めた反応しかしなかった青年の打って変わって態度にフゥリは思わず苦笑いを浮かべそうになるがそれをグッと堪えてアラヒメを演じ、慈愛に満ちた表情を作る

 「かわいいですね」

 そういってフゥリは青年の頭を撫でるがその胸中は複雑である

 今彼が見ているのは自身ではなくアラヒメなのではないかと不安に思ってしまう

 「フゥリ…」

 青年はそう小さく呟く

 ただそれだけのことなのに、その不安は拭い去り心は満たされてしまう

 フゥリはそんな自身の単純さに呆れるがそれでも青年が自分を見てくれているという幸福感に包まれる 

 「いいこ、いいこ母乳は出せませんが好きなだけ吸ってもいいのですよ」

 青年はまるで赤ん坊のようにフゥリの母性を貪っている

 そんな青年をフゥリは優しくあやし続ける

 「上手ですね」

 そういってただ甘えるだけの青年をフゥリは褒め称え青年の中にある自尊心をグズグズに溶かしていく

 「あっ…」

 フゥリの視線は青年の肉棒に移る普段の自分ではうんともすんともいなかったそれは大きくそそりたち、痛いほどにいきりたっている

 「苦しそうですね。大丈夫、私に身を委ねて」

 フゥリは青年のモノを握るとゆっくりと上下にしごく

 「うっ……」

 青年の口から甘い吐息が漏れる

 「我慢しなくてもいいんですよ。たくさん気持ち良くなってください」

 フゥリの手の動きはだんだんと早くなっていく

 「あ、あの僕もう……」

 「いいですよ。いっぱい出して下さい」

 フゥリは手を動かす速度を上げると青年は身体を大きく震わせると同時に白濁液を放出する

 「よくできました。たくさんだせて偉いですよ」

 フゥリは手にかかった精液をペロリと舐める

 「まあ、出したばかりだというのに…もうこんなになって」

 青年のモノは再び元気を取り戻していた

 「……フゥリ」

 「どうしましたか?」

 青年は恥ずかしさからなのかフゥリから目をそらす

 「……もっと、したい」

 青年の言葉にフゥリは微笑む

 「もちろんです」

 フゥリは青年を寝かせるとその上にまたがる

 「今度は私がしてあげますね」

 青年はフゥリの秘部に挿入すると腰を動かし始める

 「んっ…だめっ」

 流石に挿入してしまうとアラヒメを演じる余裕はなくなってしまいフゥリは普段の調子に戻ってしまうが青年は乳房を口に咥えたままフゥリの膣内から与えられる快楽に翻弄されそのことに気づいていないようだ

 「気持ちいいで…うぐっ…はあん」

 それでもなんとかアラヒメを演じようと努力するがフゥリもまた身体を駆け巡る快感には抗えずアラヒメになりきることもできずフゥリとして喘いでしまう

 「ああん…もうだめ!わけわかんない!イクッ!」

 「ああっ…出る!!」

 2人は同時に絶頂を迎える 青年はフゥリの中に大量に射精する

 「ふふ、また出ちゃいましたね」

 フゥリは青年のモノを引き抜くとそのまま倒れこむ

 「その、どうだった?ちゃんとできたかなアラヒメ様みたいにできてたかわからないけど」

 フゥリは不安げに聞く

 「うん、すごく良かったよ。ありがとうフゥリ」

 青年は満足そうな笑顔を見せる

 「えへへ、よかった。ねえもう一回いいかな?」

 「うん、嬉しいけど…その」

 どうやら彼は『あっち』でないとできないようだ

 「もうっ、ばか!」

 それはそれとしてもう一度やった

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