どうしてこんなに暖かい
トクン、トクンと自分の心臓の音だけが聞こえる部屋の中で、ゆっくりと体を起こした
窓も無ければ時計も無い。今が昼なのか夜なのかも何も分からない一定の明るさの部屋の中で、あいつの糸でできた鳥かごの格子に寄り掛かって別段何もせずに、ぼうっと部屋の壁を見つめていた
「……寒い」
空調は効いていて常人には丁度良い温度なのだろうが、残念ながら今の自分にはそんな物は関係ない
血を流して体温が下がった体は自然と寒くて震えていた
片腕だけで必死に体を擦って温める
薄くても良いから毛布があればなんて思っていたら高い音の靴の音が聞こえてくる
バサバサと羽のような音が聞こえてくると、フッと影がさして暗く感じた
「ロー」
名前を呼ばれて顔を上げれば、こんな所に閉じ込めている張本人がそこにいた
以前であれば憎まれ口の一つでも吐き出せただろう口は、意識が少し薄いせいで一言も出てこない
何も言わずにいたら不機嫌そうな顔をされた
「おいロー、俺が来たら言う事があるだろう?」
あぁ面倒だな
なんて考えながらもまるで鉛のように感じる重たい唇を開く
「おかえり、ドフィ……」
そう言えば満足そうに笑う
シュルシュルと音を立てて鳥かごの格子が開くと、人差し指をクイと動かして近寄ってくるように伝えてくる
口で言わなくても分かるように躾けられた事に嫌悪感を抱きつつも、拒否出来ない俺は動かしづらい下半身を引き摺る形でドフラミンゴに近付く
軽くなった体をこいつは片腕で抱き上げてきた
「良い子だな、ロー?」
「……」
俺を抱き上げた腕が暖かくて、少し安堵した自分がどうしようもなく腹立たしい
その暖かさがコラさんと重なって仕方がなかったから