とりもぶ最終回
それは、正に、夢のような日々だった。
毎週のように、護衛をしてもらい、その度にトラブルが起きる。
何度も、何度も、変わることのないときめき。
「それが、あなたの頭の中を焦がした……ってところ?」
そう、だから、夢は覚めるものであった。
「社長があまりに護衛に失敗するから、おかしいと思った。いくら、かっこつけでも。そんなのよっぽどじゃないと起こらない」
鬼方カヨコ。
便利屋68の一員。
彼女の手には、私の携帯端末。
その中に入っている連絡先には、……。
私の『悪事』の証拠がびっしりと詰まっている。
「最初の一回は偶然。けれど、それ以降は狙ってやった。違う?」
彼女ににらまれれば、私の体はこわばる
「少なくとも三回。確かに、そこらのチンピラは簡単に雇えるけれどそれでも、安いお金じゃないでしょ?目的、言える?」
顎の下に、彼女の拳銃。
体が震え……、下半身が冷たくなる。
「……だって、そうしたら、毎回、きてもらえるって……」
彼女のやさしさに甘えて、こうなってしまった自分の惨めさに、涙があふれてくる。
「……はぁ、もう……そういう依頼だってないわけじゃないのに。なんでこんな面倒なやり方を……」
そういいながら、彼女は、拘束を解いてくれる。
私のやった行いが許されたわけではなく、単に、彼女への敵意からのものではないと理解したからだろう。
「……ごめんなさい、アル、様」
私は、それまで、こちらをただ、見下ろしていた彼女に、頭を下げる。
こちらの、勝手な事情で、ただの片思いで振り回してしまった彼女に。
そんな彼女は、一歩、また一歩とこちらに近づいてこちらを見下ろしてくる。
私は、怖くて顔を上げることができなかった。
あの笑顔をもう、見られない。
未だに自分勝手な思考に自嘲さえしたくなるけれど、それでも、彼女に、失望の目線を向けられることは、弱い私には、耐えられなかった。
「……本当に、仕方ない子ね。このくらいいいわよ。許してあげる」
けれど、彼女が口にしたのは、そんな優しい響き。
「でも、お仕置きはしてあげないとね?」
ごりっ、と、私の体に当たる、硬くて、熱い何か。
それが何か、私は知っている。
ふたなり。
陸八魔アルは、男性器の生えた特殊な生徒。
それをしっているから、私はその情報を必死に頭に取り込んだ。
だから、私は、知っている。
「だって、仕方ないでしょう?依頼の間、あなた、ずっとくっついてたんだし」
濃い、臭い。
私の知らない。性の臭い。
それを、彼女が、私に向けて漂わせてる。
「社長……ほどほどにね」
「分かってるわよ」
少し何かを言おうとしていた彼女は、そういって、部屋から出ていく。
残されたのは、私と、アル様だけ。
「さて、行っておくけど、優しくなんてしないわよ?これ、お仕置きだもの」
そういった彼女に、私の体はすっと、抱き上げられて、ふたなりの上に降ろされる。
「もう濡れてるじゃない、ひょっとして、さっきまでので興奮しちゃったの?」
耳元で聞こえる囁き声に頭の奥まで茹ってしまう。
「これなら準備もいらないわね……じゃあ、落とすわよ?」
けれど、そんな私を次に襲ったのは、どすんっという重たい一撃だった。
それが、私のナカにアル様のモノが突き入れられた結果に生じたものだと理解するのに、ほんの一瞬だけ時間がかかった。
次に来るのは痛み。
強引に処女膜を破られた痛みだと理解するのは、間に合わない。
何故なら、私の体は、そのままアル様に使われるから。
「大丈夫、壊したりしないから」
耳元で、アル様の囁き声が頭を揺さぶる。
そういいながらも、彼女は軽く腰を引いて、突き上げられる。
壊さない、なんて、嘘だ。
私の頭の中にある何かは、たった一度突き上げられただけで粉々に砕かれている。
「ふふ、すっごい締め付け……お嬢様なのに……いいのかしら」
だめ、なんて、言えない。
「きてくださいっ♡アルさまっ」
もう、私は、ずっと前から、彼女のための雌穴だった。
自分から腰を押し付けて、奥の奥に、アル様のモノをぶちまけてもらおうと、私は必死に動く。
「ちゃんと反省して、イきなさい?」
「はいっ♡アル様のこと、だまして、ごめんなさいっっ・……!!!だから、あなたの、メス奴隷に、してくださいっ」
「よく言えたわ……。じゃあ、お仕置きは終わりにして、ご褒美を上げないと」
そういって、アル様は、私のナカに、熱いご褒美を吐き出す。
ピストンによって与えられる快楽と、苦しみと、中に広がる、熱い幸せに、私はそのまま、達っしてしまう。
私は、そのままアル様の奴隷になれた幸せをかみしめながら、膝の上で意識を失った。
目が覚めると、私は、どこかのホテルのベッドで眠っていた。
勿論、そこには二人の痕跡はなく、まるで夢のよう。
けれど……ちゃりっと首元でなったアル様からの贈り物(くびわ)は、私が彼女の奴隷になった証としてこれが現実なのだと私に教えてくれた。