とある追憶の追憶

とある追憶の追憶


さてさて

私のくだらない独り言に少しの間お付き合い……

とは言っても、もし聞いてるとしても書記ちゃん……えっと、今は司書ちゃんの方がメインの呼び方かな?——まあ、どっちも本名じゃないし本質でもないだろうけど——そう、司書ちゃんくらいしか聞いてないだろうし、その司書ちゃんはもう知ってる話だろうから、ホントに無駄な呟きなんだけど、ね


MTR部の源流がアリウスにあるというのは今となっては有名な話だけども、じゃあ初期の「MTR部」はどんなだったんだろうね?


……まあ、こんなもったいぶった言い方をしてしまって申し訳ないけど、実は私もよくは知らないんだ

私はそのときの——あるいは今の?——部長に拾ってもらって入部したって経緯なもので、だからホントのホントの初期の初期、結成直後のMTR部については私もよくは知らない


でも、「『先生』が来てから死んだ子はいない」わけだし、ある程度は察しがつくんじゃない?

まあ、端的に言って死がもっともっと身近にあったんだよね

……それに互いのMTR観についても喧喧諤諤って感じで、派閥争いみたいなのも過激だった


そしてなんと、私が入った時代はそんな派閥争いの真っ只中!

もちろん派閥争い以外にも普通に……普通に?……まあ、普通に事件とかに巻き込まれて、ってのも多かったけど、しょっちゅう致命症がどうとかヘイローがどうとか聞こえてた


一番睨み合ってたのは5W1H……いわゆる「いつ、誰に、どこで、なにで、何故、どのように」ってやつの、じゃあMTRシチュはどれを重視するのか?っていうので、まあこれが結構な派閥争いがあったんだよね


今だとMTR部も歴史を積んできて、知識の集積、経験の集積があるわけだけど、当時はそんなものはなかったからさ

だから、「ある事を重視する」ことの対になるのは「ある事以外を重視する」ことなんだってみんな信じきってた


まあ、ホントに唐突に死んじゃう時代だったから、一つを重視することは他を諦めることとほぼほぼトレードオフではあって、完全に間違いってわけじゃなかったんだけどね、あの時代は


……今はいいよねー

MTR部のシステムが整備されて、みんながそれぞれ望む5W1Hを叶えやすくなって、さ

と、嫉妬はこのくらいにして……

でもあるときみんな気がついたんだ


「ある事を重視する」ことの対になるのは「ある事を重視しない」ことなんだって

理想を追うことを諦めちゃいけないんだって


それで、まあ、派閥争いは静かになって、だんだんMTR部は変わっていって、ってそんな昔話でしたとさ

はい、おしまい


……えっと、あと、こういうときは自分の理想のMTRシチュを話すんだっけ

と言ってもねー、私実はMTRって苦手なんだよねー……


お守りが致命症を防いで欲しい。

流した涙で傷が治って欲しい。

目を覚ましておはようって言いたい。


なんて

そんなことばっかり考えちゃうから理想のMTRシチュなんてついぞ思いつかなかった

だから多分、私の理想のMTRシチュは、それこそ、死をしっかりと見つめて、そうして死ぬ瞬間まで精一杯に生きることだったんじゃないかな


……はい、今度こそおしまい

独り言に付き合ってくれてありがとね


またいつか会えたらいいな、なんてちょっと思っちゃったりして

じゃ、またね

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