とある賞金稼ぎの不運3

とある賞金稼ぎの不運3



四皇麦わらの一味は、“海で溺れていたオッサン”に教えられた島に向けて進んでいた。

その目的は、皆が眠っている間に消えた仲間、ウタを探すためである。

状況的に、誰かに攫われたとしか思えない。なので、ルフィ達は例のオッサンから悪人が隠れられそうな場所を聞いていたのだ。

尤も、そのオッサンこそがウタを攫った張本人…“億狩り”の異名を持つ賞金稼ぎだったのだが…。


何はともあれ、一行は例の島に来ることができた。

その島の森は鬱蒼としており、とても人がいるようには見えない。だが裏を返せば、人目を避けたい者が居着きそうな雰囲気があった。

「この島だな…。スゥ…ウタ〜〜!!いるかぁ〜〜!!?」

「ちょっと煩い!ここには危険な野獣がいるって、あのオジサンも言ってたじゃない!」

早速ウタの名を大音声で叫ぶルフィに、それを止めるナミ。

「しっかし、ザ・野生の島って感じだなァ。ホントにウタちゃんがここにいんのかよ、オイ…」

「ああ。でも…スンスン、微かにウタの匂いがするぞ!」

「ホントか、チョッパー!?よし、じゃあ全員でくまなくこの島を…」

すると…

ジリリリ…

「?電伝虫」

「一体どこから…」

「!あそこだ!」

電伝虫を見つけたのはウソップ。未だにジリジリ鳴るそれを丁寧に持ち上げ、皆の元に運んだ。

その受話器を手に取ったのはルフィ。

「もしもし!俺はルフィ、海賊王になる…」

お決まりの名乗り文句を言おうとしたが…

『知ってるよ、ペトトト…』

「!この声…」

「お前…!ブリードか!?」

受話器の向こう側にいる存在が、忌むべき宿敵であったことに、驚愕するルフィ。

「お前がウタを攫ったのか!?言え!今アイツはどこにーー」

『そう焦るな…。俺様の言う通りに動けば、例の“歌姫”とはすぐに会わせてやる。まず貴様等10人には、今から俺様が指定する場所に行ってもらう』

「…そこにウタがいるのか?」

『…さぁな。だが、行かなきゃあの娘の命がどうなっても…』

「わかった!今すぐ行くから、その場所を教えろ!!」

『ペトトト…貴様等に行って貰う場所は…』


「ここ…だよな?」

ブリードが指定した場所は、森の奥にある古びた建築物。元はなんらかの工場であったらしく、それなりに大きなものであった。

「ウタの匂いもするぞ…!」

「よし、じゃあ入るぞ…!」

船長ルフィをはじめとした10人は、静かに頷き、彼に続いて建物の中に入った。

その建物には奥行があり、一行はゾロを先頭にしないように注意しながら先へ進む。

「一体どこまで歩かせるつもりよ…!」

「うへェ…薄暗ェ…!」

「ヨホホ!なんかオバケが出そうな雰囲気ですね。思わず鳥肌が立っちゃいそうです!…私、立つ肌ないんですけどー!!」

バコン!

「お、ここが次のドアか…」

そしてサンジが、次のドアを開くと…


「ふー…ふー…」

「!ウタ!!!」

そこには、檻の中にて猿轡をつけられ、さらには海楼石の手錠を嵌めた状態で横たわっている、ウタの姿があった。


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