とある賞金稼ぎの不運2 Another
「‥‥埒が明かないわね、もうそろそろいいんじゃない?」
最初に口火を切ったのはロビンだった。
長年の海賊生活が、得体の知れぬ賞金稼ぎに対し見切りをつけた‥‥というのもあるが。
彼女は、一味の中で意外と"沸点が低い"。
「でもよ、ロビン‥‥!!」
「ここは正確さよりも"速さ"を重視すべきよ。一分一秒でも早くウタのいるところにたどり着かなきゃ」
「~~~~ッ!!わかった!!!!」
ルフィが詰め寄っていた賞金稼ぎから距離をとり、ドスンと尻をついて座る。
できないこと、苦手なことはクルーに任せる‥‥その意思表示だと、賞金稼ぎ含めて、誰もが理解した。
「ええっと、今度はお姉さんが話を聞くんですかい?え?お?おわァ!?ちょちょ、一体何を‥‥!!」
「少し違うわね、私がこれからやるのは‥‥」
"腕の花"が咲き乱れ、賞金稼ぎの全身を拘束する。
まるでイナイイナイバァでもするかのように、掌で眼を覆う。
しかしながらその用途は遊びなどではなく──。
「拷問よ」
「は?いやいやそn‥‥ぎィィアアアアアァァァァ?!!!?」
右足親指、第一関節骨折。
「お前、どういう方法か知らねーけど、見聞色で感情を隠してるだろ?けどそんなんやってても、お前の表情でウソがバレバレなんだよ」
「カタギの頃のワシなら、即逮捕モンの態度じゃわい」
言葉だけみれば、ウソップとジンベエが呆れ半分で賞金稼ぎのマヌケさを突いてるようにみえる。
しかしもし賞金稼ぎの視界が健在なら。ウソップとジンベエのみらならず、一味全員が凍土の如く冷徹な目で己を睨んでいることに戦慄しただろう。
要は、全員が茶番に付き合っていただけに過ぎない。
彼は、逃げ時を間違えた。
「待って、待ってくれ!!おれ、おれはただの賞金稼ぎだ、アンタらに敵対するつもr‥‥ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァ!!!!」
左股関節脱臼、筋断裂。右腕肘、粉砕骨折および筋組織破断。
「船長の質問に答えないつもりかしら?ウタはどこに連れ去られたの?」
「き、きちだ、ももと、元、海軍基地‥‥放棄支部、ここから、南に50kmいった"凪の帯"付近の基地だ……元は"人間屋"の資金洗浄場所で‥‥ぎィィィ?!?!」
右足首脱臼のち捻転、アキレス腱伸長破断。
「ま゛ぢがいじゃね゛ェ!!ぼんど!!ぼんどな゛ん゛だ!!‥‥ばァッア゛ッ、ゴッ‥‥!!!!」
左上歯親知らず、強制抜歯。
「ぼんどでぶ!!ぼんどな゛ん゛でず!!!!じんぢてぐだざい!!!!」
「雇い主は誰?」
「ブリード!!ブリードっでいうぶでぶ!!」
「‥‥ブリード?」
「"麦ばら"ざんにだおざれだ、べどべどのミ゛の能力じゃデずッ!!」