とある調査員のメモ1
疑うことはない。怪しむ必要もない。神聖なこの場所に存在している霧は特別なのだ。疑うことなく、ただ、受け入れればいい。それだけさ。諸君もそう思うだろう?ようこそ、我々の城へ。歓迎しよう。諸君はこの城を、きっと気にいるだろう。さあ、目一杯に深呼吸をして。■調査メモ
level内の天気:空の色は紺に近い紫。雲は見当たらず大きな月の様なものが浮かんでいる。
level内の空気:在り。しかし霧が濃い。
level内の状態:オレンジ色をしている霧が充満している。毒性は無く吸い込んでも特に問題はない。
level143 調査担当:■■■・■■、ケイト・オブライエン
新しいlevelに移動した。
このlevelにはオレンジ色の霧が立ち込めているが、空気中の毒素を検査したところ反応はなく、吸っても問題はなさそうだと判断する。霧を吸った時と吸わない時との経過を比べるため、オレはガスマスクを、ケイトはマスクを着用せずに調査を進める事にする。なお、持参した腕時計とコンパスはこのlevelに侵入してからおかしくなってしまったようで使い物にならなくなってしまっている。地図は大雑把なものしか作ることができなさそうである。
ここには城壁に囲まれた大きな城と、葉の生えていない木々、オレンジの草が生えているだけで他に特徴的なものはない。薄くぼんやりと光っている城は嫌な雰囲気がありあまり入りたくはない…が、侵入しなければ調査は進まない。オレとケイトは城の内部へと侵入した。城の入口には橋が掛かっていたから、そこから侵入ができた。
追記:侵入可能エリアには〇印を振ることにする。入れない部屋には×を振る。
広い城の中は薄暗かった。壁にかかったランプには灯りはなく、オレはフラッシュライトで先を照らさないと先に進めないと思った。だが、ケイトは違った。白色の球体が浮いていて、辺りが明るくて歩きやすいからフラッシュライトは必要ないとオレに言ってきた。フラッシュライトで建物の劣化が進むから使うなとも言っていた。おかしな話だろ、そんなものオレには見えないし、辺りも暗くて仕方が無いのに。とにかく、ハウンドがいた場合目くらましにもできるからと念の為と言ってフラッシュライトをつけたまま進んだ。ケイトは不服そうだった。
奥には大きな扉があり、開くとホールに辿り着いた。ああ、それは見事なホールだったとも。広くて、外観も凝っていた。ただ一つ、中央にぶちまけられた血だまりを除けばね。この場所で何人の放浪者が、何人の調査員が死んだんだろうか?情報も何もない場所だと思っていたが違うらしい、ここに入った奴らは死んだから、調査が進んでいないだけだったんだとすぐに分かった。このlevelは危ないし、何かによっておかしくなりつつあるケイトにアーモンドウォーターを飲まそうともした。だがケイトは「なんて美しい場所なんだ」と言って言う事を聞かなかった。置かれている蜘蛛の巣が張った壺や穴の開いた甲冑を触って、壁に手を触れて…。とにかく調査を一刻も早く終わらせて外に出ようとオレはケイトの手を引いたさ。ケイトは渋々ながらオレについてきたね。
…調査記録は後でまとめる。ここに残すのはメモ書きだけだから、書くことが多くなるとどうしようもない。だから簡潔に書く。少しでも情報を残すべきだ。
まずひとつ。ここには騎士のエンティティがいる。そいつらは様々な場所をパトロールしているみたいだ、出会った途端奴が持っていた剣で刺殺されかけた。二階にあったパーティ用の部屋には幽霊の様なエンティティがいる。奴らはオレたちのことは認識しないらしい。一階の奥の部屋には魔女のようなエンティティがいてオレたちに攻撃を仕掛けてきた。そいつが投げてくる薬剤は危険だ。非常に強い酸性の液体を奴は投げてくる。あそこにはいかない方が身のためだ。そして武器庫のような場所、あそこには騎士のエンティティが山ほどいる。だが使えそうな武器が山ほどあった。もし奴らを排除することができれば武器としてそれらを使えるだろう。
そしてもうひとつ。二階にあったパーティ用の部屋には沢山の食事が置いてあった。灯りもあったし、そこは比較的安全かもしれない。そして、食べられるものがほとんどだった為、わかりやすく「EAT OK」と床に描いておいた。ここに来る放浪者はわかってくれるだろうか。
(メモ1/3)