とあるフロ屋の客

とあるフロ屋の客


・ゾロがおフロ屋で働いてます

・現パロっぽい世界観ですが、能力者やミンク族が普通にいます

・元スレの内容の都合上、どこかいかがわしい部分もあったりします

以上が大丈夫な方、このままどうぞ




















『え…?』

その日、おれは人生史上最大の衝撃を受けた


おれはしがないサラリーマン

数年前に雑誌の懸賞で当たった変なフルーツを食べてニシキヘビに変身できるようになったが、仕事の役に立った試しはない

そんなおれは今日も仕事に疲れ、一時の癒しと欲を満たすためとあるフロ屋に入った

初めて入る店だったが、店頭に「初めての方も大歓迎!」と書かれていたのでとりあえず安心した

写真付きリストを見ながらどんなコがいいかと考えていたところ、それはおれの目に飛び込んできた

指名トップランキング、つまりこの店で特に人気のコ達が紹介されているページ

そこのNo.2のところには、


「えんま birth:11月11日 XF型」


という紹介文と共に緑色の髪の仏頂面の男の写真が載っていた


えっ、男!?

マジで男!?

なんで男がこんなところに載ってるの!?

しかも2番人気って書いてあるし!

もしかして、ここって“ソッチ”系の店!?

いやでも、No.1とNo.3のコは普通に女の子だし…

なんかの冗談…だよね

などと考えながら一応スタッフに確認をとるために「あの、このえんまって子…」と言うと、

「えんまちゃんですね。了解しましたー」

と勝手に指名した扱いにされてしまった

「アンタ、見ない顔だな。もしかして初めてさんか?初めてでえんまを指名するたァ、なかなかやるじゃねェか。まっ、ズル剥けにされねェよう頑張んな!」

『ええ…?』

待合室にいた常連っぽいオジサンの声援を受け、不安いっぱいになりながらもおれは個室に案内された

そして案内された先でご対面したのは…

「よお。はじめまして…でいいんだよな?えんまだ、よろしく」

写真と全く同じ顔をした、グレーの作務衣を着た男だった


ホントだった!

マジで男だったよ!!

めっちゃ喉仏あるし!

写真で見てもそうだったけど、めっちゃイケメンじゃん!

背も高いし、イケボだし!

なんて脳内が大パニックを起こすおれをよそに、えんま…ちゃんは手馴れた様子で準備を済ませていた

「おい。そろそろ始めるけどいいか?」

「えっ!?あっ、はい。よろしく、お願いします…」

未だ脳内はパニックだったが、時間は限られている

とりあえずおれは彼のサービスを受けるため、座椅子に座った


その洗われ心地はというと……痛かった

めっっっっっちゃくちゃ痛かった!!!

亀の子タワシでも使ってるんじゃないかってぐらい痛かったし、実際本当にタワシでこすられてたし力めっちゃ強かった!!

もう皮膚がズタズタになって剥がれるんじゃないかと思った

もしかして、常連のオジサンが言ってた「ズル剥け」ってこの事だったの!?

などと来た時以上にパニックになりながらも、60分しっかりと洗われたおれはなんとか帰路についた


後日、おれはあの店の店内ブログを見ていた

これは店のオンナノコ達が書いているブログで、日々の仕事のことやそれぞれの趣味に関することが綴られている

これを見れば何かわかるかもしれない

そんな期待を持ちながら、彼の書いたブログ記事を見た

その内容は、


「剥がれたウロコ 記念にもらった」


「アイツらもそろそろ換毛期か」


「脱皮の皮 キレイに剥けた」


「客からのプレゼント 新しいデッキブラシ」


という一言コメントと共に添えられた写真1枚というシンプル過ぎるものだった

念の為他のオンナノコ達のブログも見ると、そこにはみんなで仕事終わりに居酒屋で飲んだり、控え室らしきばしょで和気あいあいとしている中に混ざる筋肉質な男の姿があった

この日えんまちゃんついてはわかったことは、彼を指名する客の多くはミンク族だったりすることと、オンナノコ達と仲良しだということだった



*****



あの衝撃から半年、おれはすっかりえんまちゃんの常連になっていた

あの店に通ううちに、少しずつ彼のこともわかってきた

まずえんまちゃんは小さい頃から剣道をやっていて、腕っぷしも相当強いらしい

だからしばしば他のコ達のヘルプ(物理)に入ったりするらしい

店にきたのは本人曰く「成り行き」で、プライベートの知り合いには特に隠してないらしい(訊かれたら答えるぐらいのスタンスみたい)

それと、彼はこの業界にいることに対する後ろめたさを持ってない

ある時ふと「こんな所にいる事、恥ずかしくなったりしない?」と言ったことがある

別に説教するつもりはなかったけど、ついつい気になってしまった

するとえんまちゃんは、

「世間からどう言われてるかは知らねェが、おれはおれの信念に後悔するような事は何一つやっちゃいねェ!」

と言い放った

この時のおれは『えんまちゃん、カッコイイ…!』としか思えなくて何も言えなくなったし、いつもより念入りにサービスされた


それからそれから、えんまちゃんはお酒が大好きで、ビールもワインも清酒もなんでもペロッといけちゃう

誕生日プレゼントにちょっと高めのお酒を持っていったら、「これくれんのか?ありがとう!」ってすっごく喜んでくれた

そんな誰よりも漢前で豪快な洗いっぷりなえんまちゃんは、いつしかおれにとって最高の推しになっていた


そんな今日もおれはえんまちゃんを指名する

今日も彼の洗われ心地は安心安定の痛さだった(だがそれがいい!)

そして今日は店の開店記念日で、会計時に好きなコのブロマイドが貰えるらしい

おれが選んだのはもちろんえんまちゃん

期待に胸をふくらませながら帰宅し、ブロマイドを開封した

そこに写っていたのは、デッキブラシを肩に担いで仁王立ちする、真っ赤なふんどし姿のえんまちゃんだった

『ヤバイ!超カッケェ!漢前すぎだろえんまちゃん!!』

普段は作務衣に包まれたムキムキ筋肉を拝めるってだけでもヤバイのに、ふんどしとか最強すぎるだろ!

この堂々とした佇まいもいい!

もう全てが最高!!

おれはしばらくえんまちゃんを堪能した後、ブロマイドをそっとパスケースに入れた

『明日も仕事頑張ろう』

そう思いながら、おれは布団に入って眠りについた

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