てーる.
1.はじまり
それはすこしだけむかしのこと。
地上にたくさんの命が広がり、繁栄を謳歌している星のお話です。
その星はたくさんの子供達とつきあってきました。
小さなものから大きなもの、
力は弱いけど賢いもの、
自分の体を小さくできる不思議なもの、
一度も話した事はありませんが、とにかく大勢の子供達を育んできたのです。
ですが、いつのまにか賢い子供達の中からよくわからない目的のために他の子供達に迷惑をかける、悪い子供が現れました。
悪い子供達のほとんどは正しい心を持った子供達に退治されましたが、彼らがどんなに頑張っても悪い子供達は現れ続けます。
星は困り果てて、自分の行く末を案じたのでした。
考えた末に、星はあることを思いつきました。
「そうだ!彼らをこらしめる星の王様を作ろう!」
星は早速王様を作り始めました。
けれど、どんなに工夫しても納得のいく王様は作れません。
再び困り果てた星は、別の世界の星の王様の手を借りることにしました。
「良いだろう。調律者がいるに越した事はない」
別の世界の星の王様は、その金色に輝くきれいな目で約束します。
「だが、一つ忠告を。作ったからには面倒を見る事だ。何かのきっかけでバグが起こるかも知れんからな」
星は彼をおてほんにして、自分の星の王様を作ります。
陸と海と空の子供達にも手伝ってもらって、無事に星の王様は出来上がりました。
けれど、星は一つだけ大きな見落としをしてしまっていたのです。
星は知らなかったのです。おてほんにした星の王様が、すでに人の心を得ていた事に。
そんな彼をおてほんにした以上、王様が遅かれ早かれ同じようになってしまう事を。