つぎはぎの鼻緒
糊の効いた白いハンケチが、びりりと音を立てながら奇麗に裂けた。
お掴みなさいと、手を乗せた。
お辛いでしょうと、足を乗せた。
硬い肉と軟い人肌を戸惑ひながら踏みつけた。
照る日が燦燦と落ちる道の真ん中で、傅くつむじをヂっと眺めてカっと芯が熱くなる。
芯に灯った小さな火がちりちりと広がって、足袋を履いた足で溶け合った。
叩きつけられる熱ではなく。
浅ましくも湧き出る熱でもなく。
名も知らぬその熱は、想ひ描いた美しい夢であってくれと希ふ。
そっと差し出された履物に足を通す。
つぎはぎの鼻緒に戀願ふ。