ちえのき

ちえのき




あるところに ちえのき という おおきなきが ありました

ひとびとは ちえのきを たいせつに たいせつに おせわしました

ちえのきは すごいきです

ちえのきに おねがいを いうと つぎのひには おねがいが かなっているのです

おねがいのしかたは きまっています

まず くにの いちばん えらいひとに おねがいを いいます

くにの いちばん えらいひとが すんでいるひとたちに どの おねがいを かなえて もらうかを ききます

そのなかで いちばん かなえてほしい おねがいを きめて くにの いちばん えらいひとが きのまえで おねがいを します

すると ちえのきは つぎのひに おおきな かじつを つけます

おねがいが たべもの ならば たくさんの たべものが かじつのなか から でてきました

おねがいが みず ならば たくさんの みずが かじつのなか から あふれました

ちえのきは ひとびとに おんがえしとして あたえて くれたのです

あるひ そのやくそくを やぶった ひとが いました

そのひとは ちえのきに ねがいます 

どうか どうか わたしに つよいちからを ください

つぎのひ ちえのきは かじつを つけました

そのひとは あさひが のぼるまえに ひとくち そのかじつを たべました

すると どうでしょう そのひとの てから ほのおが でました

おおよろこびで そのひとは いえにかえって かぞくに いいました

ほのおをだす そのひとを みて かぞくは おどろきました 

そのうわさは だんだんと ちからをもつひとびと によって ひろまりました

いろいろな ひとが ちえのきに おねがいを してしまったのです

えらいひとは おこりました

なぜ かじつを たべたのか いつも わたしは かじつを たべなかったのに

ひとびとは えらいひとが しっと していると あいてに しませんでした

つぎのひ そのしまを あらしが おそいました

ひとびとは きゅうな あらしに にげおくれました

おおきな なみは ひとびとを のみこみます

のみこまれても しぜんと いっしょに くらしてきた ひとびとは いつもどおり へいきでした

でも このひは ちがいました

およごうとした かじつを たべた ひとびとは うみへ ながされて しまったのです

おしろに にげてきた ひとびとを たすけながら えらいひとは いいました

だから いったのだ かじつを たべては いけないよ

ひとびとは ふかく はんせいして かってに ちえのきに おねがい することは なくなりました

こうして くには もとどおり

えらいひとは ひとびとの おねがいを あつめて ちえのきに おねがいします

どうか みなを えがおに してください

おわり


Report Page