だいぶ古いCPですが
あれだけ持て囃され、知らぬ者などいないと言えるぐらい人気だったのも今は昔。
まあそこそこに穏やかに暮らせていたある日、
「ラブホ行こうや」
同居人がそう言った。
───ラブホ?
「いくらお前でも分かるやろ?」
───いや、まあ…。
家でも、別にいいんじゃないかと。
たしかローションもゴムもまだあったはずだ。
とはいえ、自分が管理しているわけではなく、それらは同居人が買ってくるものであるので概算としてはボンヤリしたものなのだけど。
「たまにはええやろ、ゼータク」
───贅沢、か。
「旅行も行こうや。また、な?」
───別に。
同居人が行きたければと着いていく。
聞けば評価がとてもいいラブホテルだとか(評価のいいラブホテルとは?)。
「予約してたニシキノですぅ」
どうやら用意周到にも同居人は予約をしていたらしい。
それを思うと断っていても何かと理由をつけて連れてこられてたんだろうなあと、今更ながらに思う。
「おおきに」
受付を済ませた同居人がエレベーターへと歩く。
───あ、ちょっと。
「なんや?」
───その……、手とか繋ぐか?
「は?」
───いや、なんかラブホとか、恥ずかしいし……。
「アホやな」
いや、だってラブホだぞ?
男二人で入るのもどうよ?と思わなくもない。
そんな自分の気も知らず同居人は手を取る。
「今からもっと恥ずいことすんのに?」
───いや、まあ。そうなんだが……。
「それに」
エレベーターの扉が開くと同時に同居人が言う。
「手ぇなんて繋いでたら、今すぐお前のこと襲いたくなってしまうわ」
ああ、それは困るなと思わず笑ってしまった。
部屋は最上階の角部屋だった。
……贅沢ってそういうことか?どれだけ払ったんだ?などとどうでもいい(よくない。家計的には)ことを思う自分に苦笑していると同居人がさっさと部屋へと入っていくので自分もそれに続くように入る。
部屋の中はありふれた、しかし上品な本物のホテルのような…。
「さ、ヤろや」
────。
「朝までとっとるさかい」
──あ、朝までって…。
「うるさいなあ」
──んっ。
足をかけられ、寝転んだままにキスされる。
「今日もめちゃくちゃにしたるから、その───アイドルの顔グチャグチャにしぃや、なぁ?」